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2007年注目のキーワード
2007年注目のキーワード

前編:次世代ネットワーク、コミュニケーションナレッジマネジメント、CRM、2007年問題

著者:ThinkIT編集局   2007/1/10
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昨年は「Web 2.0」「SNS」「見える化」などが話題となり、様々なメディアで取り上げられてきた。そして2007年も、新たな潮流を巻き起こすようなキーワードが生まれてくるに違いない。そこでThinkIT流に、今年どのようなキーワードが注目されるのか、その背景や考察をまとめてみよう。
次世代ネットワーク
NGNは協調体制の構築が鍵となる

   旬のキーワードともいえる「Next Generation Network(NGN)」だが、取り組みそのものは、2000年台初頭から行われているものだ。第1段階としては、既存の電話網をIP化し、回線交換式の電話網をIPネットワーク上で再構築することを目的としている。現在導入が進んでいるVoIPもこのNGNの1つの姿といえる。さらに最近では、電話以外の通信に関しても統合した高度な次世代のネットワーク環境を目指す、といった意味も含もうとしている。

   このNGNについて、技術ベースで論じることはできるものの、それが実際に活用されるか否かについては疑問符付で語るほかない状況だ。それはなぜか。電話網について論じれば、一口に公衆電話網をIP化するとしても標準化が避けて通れない道だからである。

   既存の電話網には、単なる標準化では解消できない各国のローカルルールが存在する。「グローバル化」という1つの流れがあるものの、ローカルルールを無視してNGNを推進することを第1とするか、一定の標準を踏まえてローカルルールが運用可能な柔軟なシステムとするのか、といった部分はまだまだ未知数だ。

   その一例としては、火事や救急など緊急時の発信があげられる。従来の回線交換式の電話網では緊急発信の通話と同時に位置情報を得ることができる。しかしIP化された場合には新たな位置情報取得の仕組みが必要となる。このような機能をNGNでも実現するか切り捨てるのかといった点は、いまもなお議論が続いている。

   これは移動体通信が一般化しはじめた時の動きともよく似ている。移動体通信網がはじめから様々な問題を包括したシステムを備えていたわけではなく、技術面と運用面の両方からの歩み寄りがあって今の現状があるのだ。

   さらに事業者ごとの差も同様の問題を抱えており、乗り入れや相互運用性など、解決するまでの道のりはドッグイヤーともいわれるIT業界の中では比較的長いものであった。それを踏まえていうならば「2007年はブレークする年」という発言はできず、数年後に「2007年こそがブレークした年」という過去に振り返っての評価ができるにすぎない。


CRM
キーワード主導ではいけないCRM活用の時代へ

   改めて語る必要はないかと思われるが、CRMとは「Customer Relationship Management」の略であり、日本語では顧客管理システムと訳される。商品を企画・販売すれば顧客がついてくるという旧来型のビジネスは終わり、顧客のニーズにあわせた商品展開が求められられるようになり、CRMは業務システム構築の一環として重要視されている分野である。

   2006年はこのCRMに関するオープンソースソフトウェアの利用に注目が集まり、また導入事例も多く登場することとなった。企業ごとの商品やビジネス戦略の違いをシステムに盛り込むためには、1から開発するよりもオープンソースによるカスタマイズや機能強化に対する柔軟性の高さこそが必要とされた結果であろう。

   2005年にはじまったCRMの導入は、複雑化したビジネスを解体し、顧客とベンダーが直接ビジネスを行うシンプルな方向を目指したものであった。

   そして、2007年はさらにその利用に拍車がかかる年といえる。SugerCRMや国産のSalesLaborなどの様々なCRMソリューションが登場しており、検証から実運用まで企業各社の取り組みが本格化することは間違いない。

   その一方で、すでにCRMを検討する段階は済んだという向きもある。その次の段階としてCRMだけではなくPartner Relationship Management(PRM)との組み合わせこそが、ビジネスを円滑に進める手段であるというのだ。現在のビジネスは1社だけで行えるものではなく、複数のパートナー企業が連携して複雑なビジネスユニットが構築されている。このパートナー企業間での顧客情報の連携こそがPRMで実現できる。

   かみくだくと、実際に販売を行う代理店側でのCRMの活用、開発を行うベンダー間とのPRMの運用の2つが組み合わさってこそ、円滑なビジネスプロセスが実行できるというものだ。

   ある意味でCRMの導入理由に反しているという見方もできるが、これは旧来のプロセスに戻そうというものではない。複雑になったビジネスをCRMによってシンプル化し、より洗練した形でのビジネスユニット再構築を目標としたものだといえよう。

   業務の形は様々である。自社に適したビジネスは何か。2007年は、それぞれを自社の事業展開にあわせて見定める時期となるだろう。

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