多数の新機能を追加したDocker 1.13リリース、Mozillaが新ロゴ発表、他

2017年1月27日(金)
吉田 行男
OSS界隈に造詣が深い吉田行男氏が、この一週間に起きたOSS業界の注目すべきトピックをセレクトして、お届けします。

こんにちは、日立ソリューションズの吉田です。

気象庁の3ヵ月予報によると、2月から4月にかけての平均気温は全国的に平年並みだそうです。2月の上旬には九州から東海の一部で花粉の飛散が始まるようなので、花粉症の方は早めに対策をされたほうが良いでしょう。

今週もOSSに関する注目すべきトピックを取り上げましたので、ゆっくりとご覧下さい。

Mozillaが新ロゴを発表、7つの候補から最もシンプルなデザインを採用

米国Mozilla財団は1月18日、新しいMozillaのロゴを公表しました。オープンかつ自由で透明性のあるインターネットをめざすMozillaは、その理念を伝えるブランディングを行うために、ロゴ、表現、デザインを新たにするプロジェクトを7ヵ月前に開始しました。その方針はロゴデザインにも反映され、デザイン候補や選考プロセスを公開して広く意見を集め、議論を喚起するオープンな方法で進められていました。7つに絞り込まれたデザイン候補は、カラフルなデザイン、立体的なデザイン、「オープン」や「可能性」といった意味を込めたデザインなどさまざまでしたが、最終的には「Protocol」と呼ばれた最もシンプルなデザインが選ばれました。またロゴに用いられているフォントは、TypothequeがデザインしたZillaというもので、無料で公開されています。

(参照記事:http://news.mynavi.jp/news/2017/01/19/115/

マイクロソフト、インテルの「Clear Linux」をAzure Marketplaceで提供

米国マイクロソフト社は1月18日、Microsoft Azure上で稼働するクラウドアプリケーション/サービスのマーケットプレース「Azure Marketplace」で「Clear Linux OS for Intel Architecture」の提供を開始したと発表しました。「Clear Linux」は、米国インテル社が開発したオープンソースLinuxディストリビューションで、クラウドやデータセンター向けにコンテナでの稼働に最適化されたものです。インテルアーキテクチャのパフォーマンスを最大限に引き出せるようにチューニングされています。マイクロソフトによると、「Clear Linux」がパブリッククラウドサービスで提供されるのは今回が初めてとのことです。

(参照記事:http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1701/20/news043.html

世界各国でHadoopやMongoDBのデータ消去被害が続出

米国のセキュリティ企業Fidelis Cybersecurity社の1月18日のブログによると、2017年に入ってMongoDBやElasticsearchのデータベースが攻撃を受け、データを人質に身代金を要求される被害が続出しているようです。続いて、Hadoop Distributed File System(HDFS)インスタンスも同じような攻撃の標的にされ、システム上の全データが消去される被害が出ているようです。Fidelisはその原因について、「ビッグデータ分析のための新しいデータベースソリューションがこの10年ほどで多数導入されたものの、実装者が個別に対処すべきセキュリティ対策が施されていないケースが多い」と指摘しています。攻撃側の動機は不明ですが、セキュリティ対策に関する啓発の意図もあるらしいとFidelisは推測し、「適切な認証なしにインターネットに直接露呈されているデータベースサービスは、データを盗まれたり消去されたりする危険がある」と警鐘を鳴らしています。

(参照記事:http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1701/20/news062.html

「Docker 1.13」リリース、Swarmモードの強化など多数の新機能が導入される

米国Docker社は1月19日、アプリケーションコンテナエンジンの「Docker 1.13」をリリースしました。「Docker 1.13」は、2016年8月に公開された「Docker 1.12」に続く最新版で、大きな新機能としては、デプロイを行う「docker stack deploy」コマンドで、デプロイツール「Docker Compose」向け設定ファイルである「docker-compose.yml」ファイルを直接読み込めるようになった点が挙げられます。これにより、Docker組み込みのコンテナクラスタ機能であるSwarmモードへのデプロイがより容易になっています。また、Windowsサポートも強化され、Windows環境でのsyslogドライバサポートやWindows Server 2016のオーバーレイネットワークドライバサポートなども導入されました。これらに加え、AWSとAzure向けの「Docker for AWS」「Docker for Azure」もベータ段階を脱して、正式版として提供されています。

(参照記事:https://mag.osdn.jp/17/01/23/150000

Rubyのコアコミッター笹田耕一氏、クックパッドへ

Rubyのコアコミッターである笹田耕一氏が、レシピ共有サービスなどを展開しているクックパッドへ入社することが、1月21日に都内で開催されたイベント「Cookpad TechConf 2017」で発表されました。クックパッドのアプリケーションはおもにRubyで開発されており、これまで同社は巨大なRailsのアプリケーションをいかに速く動かすかに取り組んできました。そのなかで最近のRubyのアップデートはVMによる高速化や世代別ガベージコレクションの採用などによる性能向上が続いており、「じゃあ高速化に取り組んでいる人がクックパッドのコードを使って高速化に取り組むことができたらもっといいんじゃないか、という発想から笹田さんをお招きすることができました」と執行役CTOの成田一生氏が入社の経緯を説明しました。

(参照記事:http://www.publickey1.jp/blog/17/ruby.html

編集後記

全豪オープンテニスでは、錦織選手は残念ながらフェデラー選手に4回戦で負けてしまいましたが、女子のダブルスでは、穂積選手と加藤選手のペアが準決勝まで勝ち残りました。こちらも決勝には進めませんでしたが、今後がとても期待されるペアです。これからも注目していきたいと思います。

2000年頃からメーカー系SIerにて、Linux/OSSのビジネス推進、技術検証を実施、OSS全般の活用を目指したビジネスの立ち上げに従事。また、社内のみならず、講演執筆活動を社外でも積極的にOSSの普及活動を実施してきた。2019年より独立し、オープンソースの活用支援やコンプライアンス管理の社内フローの構築支援を実施している。

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