スマート資産管理をするなら機械の声に耳を傾けることだ
工業IoT(IIoT)の登場により、企業が資産をより効率的に管理できる革命が訪れる。McKinseyによると、IoT市場は2025年までに1兆ドル規模に達するといい、その多くは素材に依存する分野におけるコネクテッドデバイスが生みだす知見からくるものだという。
スマート資産管理システムのおかげで、ビジネスに携わる人間は、リアルタイムに可視化し行動につながる知見をもたらすコネクテッドデバイスとデータドリブン意思決定の力を活用することができる。
これまでにないレベルのオートメーション
スマート資産管理の中心には、IoT対応のインテリジェンス資産があり、重要な情報を感知、保存、共有することができる。インテリジェントな機械が相互接続されたネットワークは、重要な業務上の知見とこれまでにないビジネス価値をもたらしてくれる。コストパフォーマンスが高いコネクテッドデバイスとセンサーは製品、乗り物、その他の資産のビジネスにおける重要ななデータをもたらしてくれる。ある国際的コングロマリットは機械の稼動データ(温度や圧力、湿度など)を計測することで作業のパフォーマンスを劇的に改善した。
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機械がよりインテリジェントになることで、企業はさらに上のレベルの生産オートメーションを実現できるようになる。これまでの縦割りの人手による作業はより合理化、統合化されるようになる。Industry 4.0による革命がビジネスプロセスを再定義するようになり、企業の資産管理を自動化するソリューションはジャストインタイムな生産や欠陥のない納品、生産性の向上のためにますます取り入れられるようになっている。ある先進的な電子部品製造工場では、約1000ものオートメーションコントローラがサプライチェーンの75%を管理しており、システムのダウンタイムの軽減と商品を市場に送り出すまでの時間の短縮化に役立てている。
全ての資産をあらゆるところからモニターする
スマート資産管理により、企業はサプライチェーン全体から資産の追跡を行うことができる。たとえば輸送トラック部隊や電力網、工業機械などにおいて、IoTは個々の資産に固有のIDを割り当てることができる。このIDは容易に追跡可能であり、資産の場所や状態などをリアルタイムで知らせてくれる。
リモートでの資産管理は固定資産やプロセス、リソース、製品のトラッキングを可能にし、需給調整の最適化につながる可視化を提供してくれる。アメリカに拠点を置くバイク製造業者は、工場内のすべての資産をIoT化し、生産ステップを事細かにリアルタイムで追跡することで、生産設備の再構築に成功した。
検知だけでなく予測もできる
スマート資産管理ソリューションはビジネス上の障害を予見する高度なアナリティクスを可能にし、企業がどこにビジネスニーズがあり、どうやって機械の故障や予期しない障害を回避するかを予測するためのプロアクティブかつ自己再生的な環境を提供する。ABI Researchの調査では、予測的アナリティクスとM2M通信をつかったメンテナンス分析が生みだす利益は2019年までに247億ドルになると予想されている。ある大手通信会社の場合、製造機械からリアルタイムで情報を集める仮想的な生産システムを構築することで品質の予測を可能にしている。
企業が高度にコネクテッドした知識のある世界に新しい方法を導入することは、顧客満足度が高められるほかにも総所有コストを削減し、企業のパフォーマンスを最適化することができる。
あるコネクテッドな製造業者のCOOがいたとする。同社の機械は互いにコミュニケーションを取り、工場の監督者はシステムがダウンするとリアルタイムでアラートをうけとる。そしてそのCOOは現場から数千マイルの距離にいながらも、世界中にある工場のオペレーションをユニット単位で把握することができる。彼にもたらされるビジネス上の知見は、その指先1つで正確な判断を最適な時に下すことを可能にし、収益性と企業のパフォーマンスが改善される。そんな世の中になったらどうだろう。
ところでおたくの会社はスマートに管理されているだろうか?
SHUVRO SARKAR
[原文4]