VJを始めてみませんか?
そもそも「VJ(ブイジェー)」って何の事?
VJの歴史は10年と言われていますが、実は筆者も10年ほど前からM.M.M(http://www.htmmm.com/)という男4人の集団でVJ活動を行っています。
さてここで、VJって何の事?というThink IT読者の方に質問です。週末、クラブに遊びに行く人はどのくらい居ますか?
ここで言うクラブとは、いわゆるディスコの事です。暗めの照明の中DJがターンテーブルを使ってレコードを回し、お客さんがフロア(会場)でステップを踏んでいる。そんな若者の社交場の事です。クラブに遊びに出掛けた事がある方ならご存じかもしれませんが、ここ最近のクラブでは、フロア正面にあるDJブースの後ろに映画館のような大きなスクリーンが設置されている所が多くなりました。
「VJ」とはそんなクラブのスクリーンにDJの音やフロアの雰囲気に合わせて、即興で楽器を操作するように映像を流す人やパフォーマンス行為そのものを表します。
今回の連載ではそんなクラブで活躍するVJについて、基本的な概要の紹介から専用アプリケーションを使ったVJの始め方、普段では知る事のできない裏舞台やちょっとしたVJテクニック、そしてVJとはどういうものなのかを紹介していきます。
百聞は一見にしかずということで、実際のクラブでのVJプレイの様子を、まずはご覧ください(図1)。
VJの歴史
まず、VJになるためにVJの歴史をおさらいしていきましょう。
VJとはビジュアルジョッキー(Visual Jockey)の略称で、クラブDJが複数のレコードを使いながらフロアの雰囲気をリアルタイムに組み上げていくように、VJも複数の映像を組み合わせて即興で空間を演出していきます。DJを聴覚の演出家だとするなら、VJはまさにビジュアル・視覚担当の演出家にあたります。
VJの歴史は意外に古く、1980年代中盤には当時「ビデオアート」と称される形で、さまざまな舞台やステージ演出の一環として今で言うVJ的な映像演出が取り入れられていました。1990年代後半になると、PCの普及やテクノロジーの進化に伴い、VJ専用のソフトウエアやハードウエアが登場します。
それまで、数台のVHSデッキやHi8カメラ、業務用ビデオ編集機材など、大きなアナログ機材を使ったVJから一転し、一気にPCを使ったコンパクトで手軽なVJに変わりました。VJにとって本当にありがたい事に持ち運び便利なノートPCを使ったVJパフォーマンスの基盤は、このころに完成したのです。
今でこそ笑い話ですが、筆者も当時はイベントのたびにレンタカーにビデオデッキ6台を積み込み、200本近いVHSテープを布団3枚入るほどの大きな衣装ケースに入れて、ぎゅうぎゅうの車の中、男くさいメンバーたちとクラブへ向かったものです。
そもそもなぜ、ビデオデッキが6台も必要かと言うと、VHSテープでVJをする訳なのでテープには「巻き戻し」が必要となります。そんな訳でプレイ用4台、巻き戻し用2台、常にいい映像を会場の画面に出すためには、少なくとも巻き戻し用が2台も必要だったのです。さて、持ち運んだ機材の総重量は約200kg、今ではたった1台のノートパソコン約3kgですむようになりました。
男数人で運んでいたほどの重い機材が、今では各メンバー個人のPCをクラブに持ち込む事で済んでいるのですから、技術革新の恩恵は計り知れません。PCやDVDを使ったVJが主流の今となっては、ちょっと考えられないエピソードです。