ショッピングモールからトイレまで、プライバシーを侵す人相認識技術(2)
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セキュリティ対プライバシー論争
問題の要点は人相認識技術の使われ方と、それがもたらす帰結にどうバランスを取らせるかということだろう。カメラは多くの公共スペースで導入済みではあるが、ショッピングモールやレストランでこの技術が用いられることを受け入れようという声は圧倒的多数だろう。モスクワでは既にカメラが15万台以上導入されているが、こうした公的監視の度合いが増すことについて、Kuharenko氏にコメントを求めた。
「ビデオによる監視で警察がテロリストや異常者をより効率的に見つけ、防犯に繋がるという観点から話をさせてもらいたいと思います。あらゆる角度からの監視という問題は、どういった技術を持ってくるかということではなく、それがどう使われるか、法的論拠は何であり、それはどのようにコントロールされるのかという点にあります。」
ほかの手段による犯罪検知は?
人相認識を防犯に役立てるというのは、想像の範疇でしかないのだろう。今のところ、フランスの教育業者が遠隔授業で生徒が集中しているかどうかを確認するのに使っているくらいのものだ。最近では北京の天壇公園でトイレットペーパーの使用の監視に6台が導入されたということだ。トイレットペーパーを大量に家に持って帰る人がいるという旅行客からの問い合わせが寄せられた結果、必要以上にトイレットペーパーを使用する前にその人の人相を記録するようになったのだという。
Kuharenko氏は次のようにコメントしている。
「中国の人口を考えれば、監視することによる紙の節約は馬鹿にできないものでしょう。とまぁ冗談はさておいて、この例はまさに人相認識を一般的でないシナリオにどう適用するかということを我々に付きつけるものであり、これに対して我々が提示するのはクラウドソリューションになります」
防犯を目的とする人相認識の利用には議論があるが、プライバシーの侵害を上回る利点があるのではないだろうか。AIが将来どれほどのものになるかわからない中、マーケティングやリテール目的での人相認識技術の利用は差し迫った問題ではないものの、Sarhan氏は次のようにコメントしている。
「この技術に対して批判しようというわけはありません。ただ我々が公の場で追跡されることなく、秘匿された存在であるにはどうすればいいかを議論するにはいい機会だと考えています。」
CATE LAWRENCE
[原文4]