企業でのWindows Phone活用事例
前回も触れたとおり、Windows Phoneの企業導入が進んでいる。今回は、日本最大級のスマートフォン導入事例を含め、いくつかの典型的な導入事例を紹介しながら、導入のメリットを紹介していきたい。
日本最大のスマートフォン導入事例
~佐川急便のセールスドライバーがWindows Phoneを持って全国を走る~
佐川急便は、2010年10月からバーコードスキャナ付きWindows Phone F-05B 24,000台を、NTTドコモから全国のセールスドライバー向けに導入する。導入の目的は3点、「顧客サービスの強化」、「業務効率の向上」そして「コスト削減」である。
これまで、顧客とドライバーのコミュニケーションは、センターと店舗経由となっていた。ドライバーがスマートフォンを装備すれば、メールなどで顧客からドライバーへ直接問い合わせができるなど、コミュニケーションを確実に、そしてスピードアップができ、「顧客サービスの強化」へとつながる。
富士通製Windows Phone端末では、集荷/配達メールの詳細確認、貨物追跡、メール便ラベル発行、梱包(こんぽう)資材などのマテリアル発注ができるほか、赤外線通信機能とBluetoothを利用した、決済プリンタとのスムーズなペアリング通信にも対応し、「業務効率の向上」が望めるという。
また、ドライバーが携行する機器をこれまでの4台から2台に統合し、分散していた通信機能をWindows Phone端末に一本化し、年間8億円セーブできるようになると見込んでいるそうだ。今後は、年間12億円以上の効果を目標にして、圧縮されたIT関連コストを新たな分野に投資していくと前向きな姿勢を示されている。
図1: NTTドコモの法人向け端末「F-05B」 |
【参考記事】法人向け端末「F-05B」の販売を開始(NTTドコモ プレスリリース)
また同業界では、ヤマト運輸も「次世代NEKOシステム」の中で、堅牢・防水・タッチパネルに対応したWindows Phone端末を数万台規模でKDDIから調達し、「軒先クラウドコンピューティング」を実現することを公表している。
競争を制するための“迅速な”情報活用へ
~ファイザーがMRの活動を支えるセキュアなモバイル環境を実現~
ファイザーは、“時と場所を選ばない情報活用”と“コミュニケーションの活性化”に貢献するツールとして 、ソフトバンクモバイルからWindows phone約 3,300 台を導入。多忙を極める全国約2,400人の医薬情報担当者(MR:Medical Representatives)をメインユーザーとして、携帯電話機能だけでなく、電子メール利用、Web 検索、ドキュメント共有などが行えるモバイル環境を提供している。
日本国内におけるスマートフォン新規導入に際して、何よりも「セキュリティ」を重視した同社では、Microsoft System Center Mobile Device Manager(以下SCMDM)を活用した管理拠点をアメリカに構築し、日本で活用される Windows Phone のアクセスを厳重に管理。リモートでのセキュリティ管理機能はもとより、「ユーザーによるアプリケーションのインストール制限」など、同グループの厳格なセキュリティ ポリシーに基づく、安全な大規模運用を実現している。
「BlackBerryのほか、iPhoneも含めて検討しましたが、対象とはなりませんでした。一番肝心なことは、セキュリティの確保です。管理サーバーであるSCMDM 2008が登場したことで、セキュリティ要件が満たされるようになりました。」
「ファイザーでは150カ国に近い国々でオペレーションをしています。こうした多様な環境からアクセスしてくる携帯端末に対してセキュアなアクセス環境を担保するということは、非常に重要なことです。その点について“唯一安心して使える環境”と認識しています。」というコメントを頂いた。
また、約3,300台という大規模導入にかかわらず、「大きな問題もなくスムーズに進行した」ことも挙げている。