必要なツール群をセットし、チームの自主性も確保Atlassian Open DevOps がもたらす、効率的なDevOps実現
はじめに
DevOps実現には多くのツールが必要であり、それらの管理やガバナンスは開発現場の負担となる。とはいえ単一のベンダーソリューションを導入すると、チームの自主性が損なわれ、新しい手法の導入も難しくなる。「Atlassian Open DevOps」は、これらの問題を解決し、ツール群がセットされた状態で手軽にDevOps環境を構築できるようにするソリューションである。チームの自主性にも配慮したというソリューションの特徴について、開発・提供元であるアトラシアン株式会社のキーパーソンに聞いた。
アジャイルの理念で
ソフトウェアからビジネスまで支援
DevOpsにおいて最終的に目指すべきことは、ビジネスの成功である。しかしこれを具体化していくことは容易ではない。まず重要な要素となるのが企業文化であり、全員が同じ方向を向くという共通理解が不可欠である。縦割りとなった組織の壁を取払い、オープン性と透明性を育まねばならない。「DevOpsのチームは、様々な役割の人々から成り立っています。過去を省みると反面教師として、基本設計、詳細設計、コーディング、テスト、運用など、それぞれが特定の役割に分断され『何のために作っているのか』が見失われていました。これからは、それぞれが協働しながらプロジェクトに参加するチームが理想とされています」と語るのは、アトラシアン株式会社 ソリューションエンジニアの皆川 宜宏氏。
アトラシアンは、組織での共同作業を支援するツールやソリューションを提供する企業。2002年にオーストラリアで創業し、2013年には日本の拠点としてアトラシアン株式会社を設立、一貫してビジネスの成功を支えるソフトウェアプロダクトを提供してきた。アジャイルなソフトウェア開発を支援する「Jira Software」や、情報共有・コラボレーションツール「Confluence」が有名だ。DevOps関連ではコード管理の「Bitbucket」やアラート・インシデント管理の「Opsgenie」もある。
皆川氏は「アトラシアン製品の中心にはアジャイルの理念が存在しています。その定義は単なるソフトウェア開発手法というよりは、変化する状況に対して柔軟に対応するための考え方です」と語る。現代社会では未来を予測することが困難であるため、ソフトウェア開発だけでなく、ビジネス界においてもアジャイルの思想が注目を集めている。アトラシアンではITサービス管理の「Jira Service Management」、販促やビジネスチーム向けの業務管理製品「Jira Work Management」など、対象領域を広げてきた。これらアトラシアンのプロダクトは、全て統一された単一のクラウドプラットフォーム上で稼働しているのが特徴だ。製品間が一貫したエクスペリエンスで連携できるだけでなく、自動化やデータ連携によって、DevOpsチームからビジネスチームまで、強くつながる組織づくりができる。
好みのツールを組み合わせながら、
統一した体験・管理を提供
日々様々な企業と対話する皆川氏は「日本でのアジャイルやDevOpsの進展は著しいと感じています」と話す。日本でアジャイルやDevOpsに積極的な組織といえば、内製開発を行っているユーザー企業が挙げられるが、これまでアジャイルなアプローチが難しかったシステムインテグレータであってもユーザー企業を巻き込んだチーム編成で臨むケースが増えているという。
アトラシアンが2020年にグローバルで実施した調査では、DevOpsに取り組む組織の99%が、成果物の品質や市場投入スピードの向上などポジティブな結果につながっていると回答している。皆川氏が言うように日本でも徐々にDevOpsは浸透しているようだが、別の課題が現れている。それは、DevOpsに関連したツールの多さだ。
各チームが自律的に作業を進めるためには、メンバー自身が選んだツールを使用することが最善である。ただし、それによって企業内で利用するツールが乱立し、管理やメンテナンス、統制にかかるコストが増大するリスクもある。これに対して一つのベンダーから提供されるパッケージを一括導入するという動きもあるが、これによってチームの自主性が失われるリスクもある。
これらの問題を解消するのが Atlassian Open DevOps だ。Atlassian Open DevOpsは、セットアップ画面に従って数回クリックするだけで、Jira Software、Bitbucket、Confluence、Opsgenieの4製品を連携したDevOpsの基盤を簡単に構築し、無料で使用できる。さらに、アトラシアン製品だけでなく、コード管理の「GitHub」、ビルドやテスト・デプロイの自動化を支援する「Jenkins」、CI/CDプラットフォームの「CircleCI」といった外部ツールをもワンクリックで追加することができ、必要に応じて組み合わせながら全体として統一したスイート製品のような体験を提供することが最大のポイントとなる。
DevOpsのライフサイクルは、計画からアイデア出し、コーディング、ビルド、そして監視などの運用へと流れる。これにAtlassian Open DevOps と周辺のアトラシアン製品でできることをあてはめると、計画段階ではConfluenceやアイデア収集・整理の「Jira Product Discovery」を使って具体的なMVP(最小価値を提供するプロダクト)を明らかにする。開発のタスクはJira Softwareで管理し、BitbucketやGitHubでコード管理し、コードができてCI/CDプロセスに移るとCircleCIや「Bitbucket Pipelines」を使う。ビルドやデプロイが完了したら、OpsgenieやJira Service Management を使って監視や運用を行う(図参照)。
皆川氏は「チームごとに異なるツールを使用していても、どのような作業を行い、どのような成果物が得られるのかという情報は、Jiraという共通プラットフォームによってチーム間で共有され、オープンなコミュニケーションが可能となり、統制を図ることもできます」と説明を加えた。
組織へのDevOps文化浸透を促す
コンテンツも提供
アトラシアン製品と他のツールを組み合わせて使う方法は従来からあったが、個別の設定が困難だった。Atlassian Open DevOps であれば複数のツールを直ちにセットアップできる。皆川氏は「特に、アジャイルやスクラムに興味があるものの、まだ最初の一歩を踏み出せていないという方々におすすめです。全員が同じ方向を向くという共通理解やコラボレーションが重要であるとお伝えしましたが、実際にツールを使って体験するとその文化を理解し、活用しやすくなります。私どものプロダクトには、コラボレーションやコンプライアンスについての様々なモデルが組み込まれており、良いチームを作るためのプレイブックなども公開しています」と語った。
日本企業の中には保守的な姿勢がなかなか崩せないところもあるが、ツールを積極的に用いることで新しい発見や刺激を得られ、その方向に早く進むことができるのではないかと考えられる。しかし皆川氏は「ツールは手段であり、目的ではないことを忘れてはいけません。自分たちが何を達成したいのか、目指す方向性を持つことが大切です」とアドバイスした。
<お問合せ先>アトラシアン株式会社
URL:https://www.atlassian.com/ja/solutions/devops
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