はじめに
「第1回:BO定義とインターフェース定義」ではBPIの具体的な実装例として、天然の原木一枚板を使ったダイニング・テーブルの販売を行っているO社のネット注文システムを取り上げた。ネット注文システムを構成する各システムの構成を整理し、それぞれのシステムのインターフェースとなり、成果物であるWSDLおよびXSDを作成する流れを説明した。
前回から引き続いて、今回もビジネスプロセスの実装について説明する。
ビジネスプロセスフローの設計
ビジネスプロセスフローの設計では、ビジネスプロセスを実現するために個々のロジックやサービスをどのような順番で呼び出していくなど、処理のコントロールに関する仕様を決めていく。ビジネスプロセスの成果物はビジネスプロセスを定義するための標準言語であるWSBPELによって記述される。本連載では執筆時点(2005年12月)で最新版であるVersion1.1に基づいて解説を行う。WSBPELについては「第2回:BPIのビジネス要件とそれを実現するための機能」も参照して頂きたい。
定義されるアクティビティ
WSBPELでは基本アクティビティと呼ばれる各ステップでの処理を規定するアクティビティが定義されている。これには処理の受付を行う"Receive"やサービスの呼び出しを行う"Invoke"、補償を行うための"Compensate"などが含まれる。
| Receive | メッセージの到着を待ち受ける。メッセージが到着した際に新規プロセス・インスタンスを作成することもできる。 | |
| Reply | 受け取ったメッセージに対する返信を返す。 | |
| Invoke | Partnerにより提供される一方向、および要求・応答の操作を実行する。 | |
| Assign | 変数の値を新しい値でアップデートする。 | |
| Throw | ビジネスプロセス内でfaultを生成する。 | |
| Rethrow | Fault handlerの中でキャッチしたfaultと同じfaultを生成する。 | |
| Wait | 指定期間または指定時刻まで処理を停止する。 | |
| Compensate | Compensation handlerを起動する。 | |
| Terminate | プロセス・インスタンスをすぐに停止する。 | |
| Empty | 何もしない。 |
画像はWID Version 6.0でのエディタ上の表記に基づいている
また、構造化アクティビティと呼ばれる処理の流れを制御するためのアクティビティも定義されている。一連のシーケンシャルな処理を行なうため の"Sequence"や複数のパスから特定のパスを選択して実行する"Switch"、複数のパスを並列して実行するための"Flow"などがこれにあたる。以下にこれらアクティビティの一覧を示す。
| Sequence | 複数のアクティビティが順番に実行される。 | |
| Flow | 複数のアクティビティが平行して実行される。 | |
| Swith(Choice) | 複数のパスから1つのパスを選んで実行する。 | |
| Link | 実行順序を制御するためにFlow内の2つのアクティビティを同期する。 | |
| While | 条件が満たされるまでアクティビティを実行し続ける。 | |
| Pick(Receive Choice) | 複数のメッセージを待ち受けて、そのどれか1つに対応する処理を実行する。 |
画像はWID Version 6.0でのエディタ上の表記に基づいている