バグ管理のノウハウ 2

バグの管理者に任命されたあなたが、まず最初にすべきこと

バグの管理者に任命されたあなたが、まず最初にすべきこと

バグの管理者に任命されたあなたが、まず最初にすべきことは、バグ情報をとりまとめる仕組み(ルール)を作ることである。その仕組みに従って、バグがまず管理者の下へ集められるようになり、はじめてバグ管理のスタートラインに立つことができる。

バグをとりまとめる代表的な仕組みとして、「手書きの紙」「Word、Excel」「ツール(BTS)」の3つがある。それぞれのメリット・デメリットをみていこう。

  報告の
簡易さ
一覧性 環境準備の
容易さ
データ集計の
容易さ
手書きの紙に運用 ×
Word、Excelによる運用
ツール(BTS)による運用

バグ管理の運用方法の比較

手書きの紙による運用

バグ報告用のテンプレートを紙に印刷した状態で用意する。バグを発見した人はこの用紙にバグの内容・再現方法などを手書きで記載し、管理者に報告する(大きな紙に一覧を書いてまとめる方法もある)。

手書きの紙によるメリット

バグの内容をチェックするのにアナログの紙は意外と便利である。物理的な管理であるため、ファイル編集の衝突も避けられるのもよい点だ。実際に、Excelなどの管理に比べて、自分が見つけたいバグ票を探し出しやすい。

手書きの紙によるデメリット

一番の心配は物理的に紙を紛失してしまうことだ。例えば、バグ修正者の机の書類の山に埋もれてしまい、バグ票を紛失してしまうということもあるだろう。コピーを取ったり、スキャンして電子データ化するなど、バックアップ方法の検討が必要である。

また、バグの収束曲線や原因分布などの統計データを作成したい場合に、紙の情報を表計算ソフトに打ち込む必要があり、時間がかかる。

Word、Excelによる運用

バグ報告用のテンプレートをWordやExcelのファイルで用意する。1ファイル(1シート)に1つのバグを記載する。Excelで管理している場合、マクロを利用することで、各単票から一覧へ出力することも可能できる。

Word、Excelによるメリット

手書きに比べて入力が簡単である。また電子データとして管理するのでバグの統計が取りやすい。

Word、Excelによるデメリット

単票のみの管理の場合、全体を把握するのが難しい。また単票と一覧のダブルメンテナンスが発生してしまい、管理が大変である。データを紐付けることはそれほど難しくないが、単票側を修正するのか、一覧側を修正するのかなど、運用に混乱が生じる可能性が高い。

ツール(BTS)による運用

BugzillaやTrac、redmineなどのBTS(Bug Tracking System)を用いて管理する。

ツール(BTS)によるメリット

入力が簡単であり、一覧化も簡単にできるのが特徴だ。またデータをデータベースに格納するので、それらを自由に加工できる点も大きなメリットで ある。Excelと違いファイルのロックを気にしながら作業することがない。さらにネットワークの環境次第では、複数の異なるロケーションで同じシステム を共有することができる。

ツール(BTS)によるデメリット

他の方法と比べ、環境構築に時間がかかる。また運用方法などを利用者に教育するのに時間(コスト)がかかる。

バグ管理者はプロジェクトの状況を総合的に判断して、どの方法を選択するかを決める必要がある。それぞれにメリット・デメリットがあり、またこ こで紹介した以外の方法を選択することもあるだろう。筆者の場合は、まずツールによる運用を試み、環境構築やユーザ教育などの面で折り合いがつかなかった 場合、WordやExcelでの運用を選択している。

今回のまとめ

今回はバグ管理の全体的な流れをみながら、それぞれのポイントについて紹介した。次回は、バグ修正の優先順位付けについて解説していこう。

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