英語って本当に必要? 自分に合った「目標設定」と「学び方」
はじめに
世間では「成功するために英語が必須」と言われていますよね。ただ、英語が苦手な人や嫌いな人など「できれば英語は避けたい」という人がいるのも事実です。そういった人の中には、実際「英語って本当に必要?」と疑問に思っている人もいます。
筆者の意見としては「必ずしも全員にとって英語は必要ではない」というのが答えです。海外に住んでいるという人は別として、日本に住んでいる人にとって英語ができないと生きていけないということはありません。「絶対に必要」という人も、その環境に自分の身を置く選択をして必要になっていることがほとんどで、他の選択をすれば、そのような環境から抜け出すことができます。そういう意味で、英語は本当に必要かと聞かれたら「NO」と答えます。
ただし、英語ができることで可能性が広がり、様々な選択肢が増えることは間違いありません。そして、英語ができるようになるためには「目標」がとても重要です。これは、英語を自発的に身につけようとしている方でも、自分の意思に関わらず身につける必要がある方でも同じです。この目標が明確でなかったり、設定を誤ったりすることで途中で挫折したり、必要以上に時間を要してしまうことにもつながります。
今回は、英語学習における「目標設定」と「学習法」について紹介します。
自身のレベルに合った目標を設定する
英語が必要な人の中には、自己啓発や昇進等のために自分で英語を学びたいという方、または自発的ではないけれど、業務で必要だったり、会社から求められているので学習しているという方もいると思います。
どのような理由で英語が必要かに違いはあっても、「なぜ英語が必要なのか」を明確にすることが英語力を伸ばすためには大切です。単に「英語ができるようになりたい」という目標の場合、「できる」ということがどの程度なのかが明確ではないからです。
具体的ではない目標に対して具体的な学習方法を設定することは難しいため、時間をかけて勉強しても、実は目標に必ずしも必要、または効果的ではないことをやってしまっているということにもなりかねません。
重要なのは、一度「なぜ英語が必要なのか」をしっかりと考えることです。そして、そのためにどのような英語レベルに到達する必要があるのか理解しましょう。
到達目標を明確にして自分自身の現在のレベルを理解することで、目標とのギャップが分かります。そのギャップを理解することで、目標にたどり着くために必要な小さなゴールを設定することもできるようになります。
例えば、今レベル1の方が、最終的にレベル10まで行きたいとします。いきなり目標を10に設定すると、あまりにも目指す目標が高いため、徐々にやる気を失うことになってしまう可能性が高いと言えます。それよりも、ゴールをまずレベル2、次にレベル3、その後はレベル4のように細かく設定することで、達成感を得ながら最終的にはレベル10までたどり着けるようになります。
このような目標を立てるために指標とできるものは色々とあります。TOEICのスコアや英検〇級合格、文法書を1冊終わらせる、会社説明をできるようにする、自社商品のプレゼンができるようになるなど、自分のレベルに合うものであれば何でもOKです。
このように、自身のレベルに合った目標を設定して学習を頑張りましょう。
英語学習の落とし穴
筆者は講師としても英語を教えていますが、ときおり「まずは単語を覚えてから文法を学習しようと思うのですが、それで大丈夫ですか?」というような質問を受けることがあります。これは、純粋に何から始めて良いか分からない学習者が、色々と考えた上で無理のない範囲で頑張ろうとして聞いてきたものだと思います。
ただ、ここに1つ英語学習の落とし穴があります。例えば「単語」を終えてから「文法」を学習して、その後に「リスニング」といった感じで「1つのことを終えてから次へ」という流れは、実は英語学習においてとても非効率的なのです。
その理由は2つあります。1つは、英語を使えるために必要な知識(単語や文法等)と能力(リスニングやスピーキング等)は全て関連性が高いため、そもそも「どれか1つだけ伸ばす」ということができないのです。例えば、仮に「文法」を最初にマスターしようとした場合は、単語や表現の知識がなければ、与えられた例文以外の文を自分で作ることはできないですよね。
2つ目は、それぞれの知識や能力の学習には終わりがないに等しいということです。これはほとんどの方が理解されていると思いますが、例えば単語ならそれこそ数えきれないほどたくさんあるため「それをできるようにしてから」となると途方もない時間がかかってしまい、挫折してしまう原因にもなりかねません。
特に「これから英語を頑張ろう」という初学者は、このような落とし穴には注意が必要です。
甘い言葉に惑わされない
英語を学習していると「聞くだけで英語が分かるようになる」「7日間で英語が話せる」「英語はこの20単語で大丈夫!」といった様々な甘い言葉を聞くことがあると思います。私もときどきYouTube等で英語学習の教材やプログラムを販売している会社の広告を、うんざりしつつも「こういった言葉を信じてしまう気持ちも理解できるな」と思いながら観ています。
「ピアノを数日で」または「聞いているだけで弾けるようになる」と言われても、信じる人は少ないですよね。英語も同じように考えてください。この記事を読んでいるあなたには、そういった甘い言葉には惑わされないでほしいと思っています。
英語は聞くだけで分かるようになったり、数日という短期間や20語ほどの単語の知識のみで話せるようにはならないと断言できます。こういった楽な方法を信じてしまうことで、逆に大切な時間を無駄に使ってしまうことにもなりかねません。
例えば、英語を聞き取れるようにするためには、英語の音を正しく認識する「音声知覚」と話されている内容を理解する「意味理解」が必要です。また、音声知覚には英語の文字の音を理解するだけではなく、音同士が繋がったり、落ちたりする「音の変化」も理解する必要があります。
さらに、その意味を理解するためには、文法や単語の知識が必要不可欠です。音だけ聞き取れても、その単語の意味が分からなければただの音ですから、当然ですよね。こういった知識や力を身につけることは、ただ英文を聞いているだけでは無理なのです。
英語の広告で甘い言葉を聞いて興味を持っても、まずはどういった仕組みなのかを確認してみるところから始めてください。ほとんどの場合は「あ、これは意味がないな」ということに気付くはずです。
「誰にでも役立つ」英語の学習法
英語にはさまざまな学習法があります。注意すべき点は、そういった学習方法の中には、例えば初学者が取り組むには難しすぎるものや、上級者には簡単すぎて効果が薄いものもあります。
最後に、扱う教材のレベルの調整は必要ではあるものの、どのレベルにおいても効果がある学習法を「5つ」紹介します。これらの学習法は恐らく多くの方が聞いたことがあるものだと思いますが、だからこそ「おすすめの学習法」と言えます。
精読
「精読」とは、文章を読んで構造等を含めしっかりと理解することを指します。時間をかけて英文を理解することで、英文の形の知識を身につけるというものです。英文の構造を理解することで、読み書きはもちろん、話す、聞くという能力にも生かすことができます。
精読に関しては、下記の記事の真ん中あたりで少し触れています。 英語のライティングが上達する勉強法
音読
「音読」は多くの方が行ったことがあると思います。特に学生の頃に、国語で音読の宿題が出たという方は多いはずなので、その効果も理解しているかと思います。英語で音読することで、発音やリズム、抑揚等を意識しながら話す練習ができます。
音読も全てのレベルの学習者に効果的な学習法です。詳しい学習法は、下記の記事で確認してください。 音読のススメー 真似するだけで英語力アップ! 楽しく学べる勉強法
速読
英語が話せるようになるには、自身が心地良いと感じる速度を上げていく必要もあります。そこで効果的な学習法が「速読」です。こちらも、音読で紹介した記事内で言及しています。
シャドーイング
4つ目の学習法は「シャドーイング」です。音読と同じくらい人気のある学習法ですが、音読の一部として取り組む人も多くいます。シャドーイングとは、簡単に言うと「音源を流し、聞こえた言葉をすぐに声に出して、影のように音源についていく」というものです。「聞く」に集中することはもちろん、ほどよい負荷をかけられるという意味でも効果的な学習法と言えます。
シャドーイングについては、下記の記事で学習法を少し解説しています。 英語が聞き取れる! リスニング力UP勉強法
ジャーナリング
最後の学習法は「ジャーナリング」です。自分が伝えたいことを書くというものです。ジャーナリングは「言いたいことを上手に伝えられない」という課題の解決につながります。また「書く」という学習法は、書いたものを自分の言葉として読むことで会話の練習にもなります。
ジャーナリングについては、下記の記事で詳細を解説しているので、読んでみてください。
「ジャーナリング」で身につけよう! 英語のアウトプット習慣おわりに
「英語を使えるようになりたい」という目標は素晴らしいのですが、実際にその目標を達成するには「自分にとってどの程度まで英語が使えるようになる必要があるのか」を明確にしておきましょう。そうすることでさらに細かい目標を設定し、やる気を継続させることもできますし、目標達成のための効果的な学習方法を確認することもできます。
ぜひ、この機会に自分が「なぜ英語が必要なのか」と考えているのか、そして「どの程度の英語力が必要なのか」を確認してみてください。