Visual Studio 2005を活用した、テスト駆動開発とソフトウェア品質向上アプローチ 2

「統合」開発環境のメリット

「統合」開発環境のメリット

コード分析に基づく修正やリファクタリング作業は機能を変更しないことが重要です。

しかし所詮は人間が行う作業ですから、必ずミスが発生します。コードのすべてを把握することは困難であり、修正による副作用がどこにでてくるかわからないためです。

つまり、すでに動作するコードを変更することはデグレードの危険をともなう非常にリスクのある作業であり、コード改善による保守性の向上とのトレードオフになってしまうわけです。

ところが、ユニットテストを使用していつでもテストを実行できる環境を用意しておくことで、このリスクは解消されます。修正作業の後にテストを実施すれば、デグレードが発生している(レッド)のか否(グリーン)かを検知できます。デグレードが発生していればグリーンになるまで修正すればよいわけです。

このように、これまで紹介した機能は組み合わせることでその真価を発揮します。各機能がVS2005 Team Systemという単一の製品に統合されていることで、操作性が統一され、単一の画面で操作可能になるため、生産性の向上に大きく寄与するでしょう。

また、今回取り上げた機能はVS2005 Team Systemに標準で搭載されています。VS2005 Team Systemと同等の機能を様々なツールの組み合わせで実現することを考えてみてください。それぞれのツール単体は安価でも、その導入や利用方法の習得のコストが余分に発生します。VS2005 Team System単体では高価なツールですが、導入・習得は一度で済み、さらにほぼすべての.NET開発で通用することは大きなメリットといえるでしょう。

 

プロセスとツール

では、ユニットテストを使用すればリズムにのれるのでしょうか。

ユニットテストを使用して従来通り、ソースコードを作成してからテストコードを作成する開発者がいるかもしれません。

その場合、リファクタリング機能を使えばコードは十分洗練されるでしょうか。適用箇所は開発者次第ですし、パターンも一部分しか搭載されていません。

また、コード分析を使っていれば保守性の高いコードが記述できるでしょうか。ガイドラインを無視しても、警告は大量に表示されるかもしれませんが、コンパイルも実行も可能です。

これまで、テスト駆動開発を進めるために、VS2005 Team Systemが有効であることを述べてきました。しかし上記の通り、VS2005 Team Systemを使用すればテスト駆動開発ができるわけではありません。開発者がテスト駆動開発という「プロセス」を十分に理解することで、ツールとしてのVS2005 Team Systemがいかされテスト駆動開発が実現可能になります。

 

おわりに

今回紹介した機能は、主に「Visual Studio 2005 Team Edition for Software Developers」に含まれています。製品名が示す通り、これらの機能は実装を担当する人が使うことを想定しています。つまりユニットテストもコード分析もリファクタリングも開発者が実装フェーズで利用することを想定した機能ということになりますので、実装時に「機能」「保守性」といった品質を確保することが可能になります。

今回はテスト駆動開発を効率的に進めるためのVS2005 Team Systemの機能に焦点をあてましたが、テスト駆動開発だけですべての品質を向上できるわけではありません。次回は異なる観点からソフトウェアの品質を向上するために有効なツールの紹介をします。

 

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