チーム開発ここまできた、個人からチームの生産性向上へ 2

無駄な時間の削減

無駄な時間の削減

中規模以上の開発になると、プログラムも並行開発することが多くなります。プログラムの本数もそれなりになりますから、VSSの場合では全ソースコードをチェックアウトするのに数十分かかってしまうこともありました。

またVSSは、ソースコード管理システムのアーキテクチャとして、既定でロック方式を採用しています。あるファイルを修正するためには、そのファイルに対する排他ロックを取得し、所有権を得てからでないと変更・チェックインができない方式です。

例えば、Visual Studioのインテリセンス機能を利用してソースコードに書かれているクラスのメソッドの一覧を見たいとき、思わず癖で「.」を入力してVSSからチェックアウトを促されて困ったことはありませんか。

VSSの既定のロック方式では、一時的であってもロックをはずす必要があり、「.」を入力した段階でチェックアウトを要求されてしまいます。そのため、いやがおうにもチェックアウトするわけです。その後、チェックアウトの取り消しを忘れてしまい、他人がチェックアウトして作業したいのにできないということが頻繁に発生してしまうのも当然です。

これらの問題をVS2005 TFSでは、マルチチェックアウトとパフォーマンスによって解決できます。

 

マルチチェックアウト

マルチチェックアウトは、複数人が同時にチェックアウトできる機能です。

チェックアウトをより細かく制御するために、VS2005 TFSではロック方式に以下の3つがあり、選択可能です。
 

ロックなし
複数のユーザの同時チェックアウトを許可する。VS2005 TFSの既定の動作。
チェックインロック
チェックインロック中、他のユーザはチェックアウトはできるがチェックインはできない。
チェックアウトロック
チェックアウトロック中、他のユーザはチェックアウトもチェックインもできない。VSSと同じ動作。

表4:ロック方式

ロック方式の選択
図11:ロック方式の選択
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

VS2005 TFSの既定では、上記「ロックなし」であるマルチチェックアウトモードになっています。VSSと同じようなチェックアウトロックのみの動作を行いたければ、チェックを外すことで可能になります。
 

マルチチェックアウトモード
図12:マルチチェックアウトモード
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

このように、VS2005 TFSでは既定でマルチチェックアウトになっています。誰かがロックしているために作業が遅延してしまうといったことは今後なくなるでしょう。

 

パフォーマンス

VS2005 TFSのパフォーマンスはどのようにはかったらよいでしょうか。

一般的にコンピュータシステムのパフォーマンスの指標は、やっぱりスループットとレスポンスタイムだと考えます。マイクロソフトの資料によるとVS2005 TFSは最大500人のユーザをサポートしており、VSSより高速であると記述されています。

実際にそれほどのユーザで試したわけではないですが、明らかにVSSよりもパフォーマンスは上です。

ですのでチェックアウトしている間、我々が暇をもてあます時間はなくなるでしょう。

 

おわりに

VS2005 TFSの変更管理の有効性について考察してきましたが、いかがでしたでしょうか。

ただ、究極に向かっていることは確かなのですが、不満がないというわけではありません。例えば、ラベルは自動的に連番で設定された方が、後になってある時点でのソースコードの状態を取得できて便利であるとか、チェックインノートにファイルを添付できたらよいなどです。

とはいえ、VS2005 TFSはVSSと比べはるかに多くの情報を管理してくれます。

よってこれからは数人の小規模な開発もしくは個人管理はVSSを使い、中規模以上の開発はVS2005 TFSを使うかたちで使い分けるのがよいでしょう。

 

この記事をシェアしてください

人気記事トップ10

人気記事ランキングをもっと見る