共用サーバーと専用サーバー双方のメリットを合わせ持つ VPSの基礎知識

2013年10月16日(水)
波田野 裕一

はじめに

つい数年前まで、インターネット上でサービスやコンテンツを公開するには、廉価な共用サーバー(ホスティングサービス)の契約をして限られた機能とリソースを利用するか、自社内もしくはデータセンターに高価な専用サーバーを設置して全ての機能とリソースを利用するか、のどちらかで行うのが一般的でした。

図1:専用サーバーと共用サーバーの違い(クリックで拡大)

近年のコンピュータ仮想化技術の急速な普及に伴い、比較的廉価ながらほぼ専用サーバーと同様に利用できる「VPS(Virtual Private Server:仮想専用サーバー)」が多くの事業者から提供されてきています。

本連載ではこのVPSの特徴とその活用方法について解説していきます。

VPSとは

VPS(Virtual Private Server:仮想専用サーバー)とは、コンピュータの仮想化技術を使って1台の物理サーバー上に構築された専用サーバーのことです。
物理サーバー上に複数台のVPSを構築し、物理サーバー上にあるCPU、メモリ、ハードディスクなどの物理的なリソースを、それら複数のVPSで共有して利用します。
これにより、通常の専用サーバーよりも大幅に安価に利用することが可能になっているのです。

一方で、VPSからはそれ自身が稼動している物理サーバーや同一物理サーバー上の他のVPSが利用しているリソースが見えないため、利用者からはあたかも単一のサーバーを利用しているように見えます。そして、VPSの利用者はサーバー管理者として、好きなときにそのVPSを起動、構成変更、廃棄することができるのです。

このように、共用サーバーのコストメリットと専用サーバーの自由度の高さを合わせ持っているところがVPSの魅力と言えます。

運用設計ラボ合同会社 / 日本UNIXユーザ会

ADSLキャリア/ISPにてネットワーク運用管理、監視設計を担当後、ASPにてサーバ構築運用、ミドルウェア運用設計/障害監視設計に従事。システム障害はなぜ起こるのか? を起点に運用設計の在り方に疑問を抱き、2009年夏より有志と共同で運用研究を開始し、2013年夏に運用設計ラボ合同会社を設立。日本UNIXユーザ会幹事(副会長)、Internet Week 2013プログラム委員、Internet Conference 2013実行委員など各種コミュニティ活動にも積極的に参加している。

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