Google Glassは再考と再開に向けて進行中
今年の1月19日、Google Glassはエンドユーザー向けの販売を終了した。冷ややかな見方と大きな期待の両方を呼んだデバイスの物語の第1章が終わりを告げたのである。「われわれは将来に向けて開発を続けています。用意が整い次第、次世代バージョンのGoogle Glassをご覧に入れることになるでしょう」とグーグルは宣言した。
それ以来、Google Glass担当部門は舞台裏でゴソゴソと活動している模様だった。同部門は現在、グーグル帝国Nest地域の責任者、トニー・ファデルの管轄下にある。どうやら彼の仲間たちはまだ望みを捨てておらず、Google Glassの開発チームは次世代の製品を計画中のようだ。
開発チームは規模を増している。先週末、グーグルは「スマート・アイウェアと関連製品」に従事する新しい技術者を数名採用し、次のリリース時にはGoogle Glassと同時にスピンオフ端末も提供される予定だというニュースが報じられた。
Business Insiderに掲載された求人票は、オーディオ、RFシステム、オートメーション、人間工学的デザインなどの分野にわたる。点と点をつないで、自由に想像してみよう。グーグルの追求する領域が拡大していることは確実だ。
先月、ファデルは同部門の責任者に就任してから初の公式な表明を行った。「われわれはどんな点にも注目し、検討することにし、あらゆる聖域へと踏み込んで、前進への方策を見出しました。チームのメンバーは熱心にこのプロジェクトに取り組んでいます。彼らは今後を非常に楽しみにしており、多くの成果をまもなく得られると期待しています」と彼は述べた。
開発チームは1度目の失敗で痛手を負ったのではなく、2度目の挑戦へと準備を整えたようだ。「聖域」という言葉は、Google Glassの再検討にあたっては、いかなる制約も受けないことを示唆しているのだろう。
風景が一変する
Google Glassのバージョン2.0がどのようなものになるかはほとんど明らかになっていないが、バージョン1.0が相手にしたのとは全く違う市場に参入するのは確実なようだ。例えば、マイクロソフトのHoloLensはGoogle Glassが販売を中止して数日後に発表された。
拡張現実とWindowsが調和したHoloLensは、今月開催されたマイクロソフトの開発者会議、Build 2015で登場し、聴衆に印象づけられた。同製品はGoogle Glassよりもだいぶ不格好ではあるが、かえって魅力的な点も多い。
最大の違いは、Google Glassがウェアラブルなスマートフォンの延長として、常に装着するのを前提とした設計であることだ。一方、HoloLensは室内、あるいは野外で装着するための専用ヘッドセットであり、常に装着することを目的として設計されているわけではない。
Oculus RiftやHTC Vive、その他のVRヘッドセットに対する反応から、やはりユーザーはヘッドマウント型のテクノロジー製品を熱望していることが明らかとなった。Google GlassはVRヘッドマウントディスプレイではないが、大まかに言って同じタイプの製品であり、このようなテクノロジーに従事する技術者らが、風景を一変させるということに対し、非常に注目していることは間違いない。
Google Glassの復帰が決まれば、バーチャルで拡張された現実がより一般に浸透した現在、もっと歓迎されることになるだろう。今に始まったことではないが、Google Glassの登場はどうやら早すぎたようだ。
エリック・シュミットによれば、Google Glassの事業が中断したのは「ユーザーに心の準備をしてもらう」ためというのも一因だ。バージョン2.0が日の目を見るまでには、おそらくユーザーも心構えができるだろう。
画像提供:
トップ画像:Ted Eytan(Flickrより)
HoloLens画像:Microsoft
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※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちらをご覧ください。
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