これが新しいiOS 9だ
WWDCでクレイグ・フェデリギは、iOS 9にちなんだiPhoneおよびiPadの多くの変更点を発表した。それらには賢くなったボイス機能やアプリの開発・利用のエクスペリエンスを向上するためのアップデートが含まれる。
アップルのモバイルソフトはこの8日、開発プレビュー版に入った。続いて7月にはβ版に移行し、秋には正式版が出るという。以下がその内容だ。
Siriが賢くなった
フェデリギによると、Siriが大幅に賢くなったという。アップルのデジタルアシスタントは自然言語を理解し、ユーザーの言ったことからに対して意味のある反応を返すという。例えばメールを読んでる時に「家に帰ったらこれのリマインダー出して」とデバイスに語りかければ、Siriは「これ」が意味するところを理解し、然るべきタイミングでリマインダーを出す。
Siriは更に「Proactive(事前行動型)」になる。車に乗ればオーディオブックの準備を行い、交通状況に応じて次のアポに間に合うためには何時に出ればいいかのリマインダーを出す。またヘッドフォンをつなげればすぐに音楽を再生すると言った具合だ。Siriはメールでイベント情報を受け取れば、それをカレンダーに自動で追加する。知らない番号から電話がかかってきた時に、過去のメールをサーチして、可能性があるとしたら誰からの電話か調べたりもする。
Androidユーザーにとってこれらの機能のいくつかは、Google Nowでも提供されている事から馴染みのあるものだろう。しかしGoogle Nowによる予測は当たったり外れたりだ。アップルはこれより明らかに出来が良いものになると考えているが、本当にそうなるかどうかは、人々が新しいSiriを使えるようになる秋になるまで分からない。
アップルの検索APIとディープリンク機能は、iOS 9がどれほど優れたものかをよく表すものだ。Siriおよびスポットライトを使って、ユーザーは音声あるいはキー入力によりWeb、アップルが提供するサービス、あるいはサードパーティー製アプリから検索に対する結果を得ることが出来るようになる。
新しいApple Pay
iPhoneユーザーが好む携帯支払い機能のApple Payも良くなった。
月曜にステージに立ったApple女性幹部の一人、ジェニファー・ベイリーは、Apple Payがより多くの、そして新しい店舗で導入されることになると説明した。この構想を加速するため、アップルはSquareと協力し、新たにApple PayをサポートするSquareのリーダーを開発した。NFCワイヤレス技術を採用したこのユニットにより、店舗のApple Pay導入がより簡単なものになる。Squareは25万台のリーダーを無料で配布する予定だが、後ほどこの価格は49ドルに改められるとの事だ。それでも家族向けの店舗にとって導入しやすい価格である。取引あたりの手数料は2.75%だ。
Apple PayはPinterestで導入されるバイアブルピンや、「Wallet」と呼ばれるPassbookの後継アプリでの支払いにも対応予定だ。
Notes、地図、ニュース、そしてSwift
他の分野の事についても触れられた。Google Keepアプリを模倣したNotes、Mapアプリに加えられた改良および、Flipboardを無意味化するデザインしなおされたNewsアプリなどだ。Newsに関してはこれまでのNewsstandに取って代わるものになるだろう。
Notesには新しくチェックリスト機能が加えられた他、描画機能がサポートされ、ユーザーがアイデアを書き留めておく新しい手段が提供される。Mapアプリではようやく公共交通機関の乗り換え案内が提供される。これまでユーザーがバスや電車の乗換えを調べるためにはサードパーティー製アプリに頼らざるを得なかったが、新しいアプリでは複数経路の乗り換え案内もサポートされたため、必要に応じてユーザーは目的地までの経路を選ぶことが出来る。
もし知ってるのなら話すこともないだろうが、Newsについて言えばユーザーが選んだ出版物や話題に応じたニュースが送られてくる。
これらの変更はこれまでのApple製アプリをより高度なものにするものだが、サードパーティーが取り残されるということにはならない。
事実、Appleはちょうどプログラミング言語、Swiftの第二版をオープンソース化し、外部のアプリ開発者達がSwift2の内部に触れ、それを進化させる機会を得ることが出来るようになった。
開発およびテスト用のツールも改良され、開発はより早く簡単になる。Swift2を使ってOSX用アプリを作ることも出来るようになり、Linux版でAppleプラットフォーム向けのアプリを作る際は、Appleガジェットは必要ない。
iPadは今やコンピュータに
QuickTypeキーボードはiPadをトラックパッドとして使える驚くべき改良が加えられた。バーチャルキーボード上で2フィンガージェスチャーを使って選択が簡単に行えるようになった。これはiPadのプロダクティビティを上げるすばらしい調整だ。
ここ数年噂されていた画面分割によるマルチタスキングもiPadで現実のものになった。しかし全てのiPadで使えるわけではない。フェデリギが行った実演では、スライドオーバーにより二つ目のアプリを立ち上げ、最初のアプリがバックグラウンドに回るというものだった。これはiOS9が動く全てのiPadで利用できる。該当するデバイスにとっては歓迎すべき変更だ。
画面分割機能は更にすばらしい。二つのアプリを一つのスクリーンで同時に動作させることが出来る。Windows7以降のマイクロソフトのSnap機能のようなものだ(サムスンおよびLGのAndroidヘッドセットでも、一部同等の機能がサポートされている)。残念なことにこの機能はiPad Air2だけで提供される。
「One More Thing…」
「One More Thing…」- 先代のスティーブ・ジョブズは新しいハードに関係ないことを公表するときにこう付け加えたものだが、今年のティム・クックの場合、新しく改良されたApple TVについて何か公表されるのではないかと噂されていた。結局この噂は当てが外れたが、代わりにApple Musicについて発表があった。
アップルの新しい音楽ストリーミングサービスは多くの古いアイデアとその他の新しいアイデアがないまぜになったものの様に思える。Spotify、Twitter、Youtube、Rdioが全部一緒に一つのアプリになったようなものだと思えば良い。
まず、Apple MusicはBeats Musicが提供していたものを提供する。個人の好みに合わせて人が選んだプレイリストを作成する事だ。しかしこれはグーグル傘下のSongzaでもサービスされていることだ。どちらもジャンルおよびアクティビティに応じたプレイリストを提供するが、Apple Musicの場合、自社が取り扱う音楽の幅広さの点で分がある。新しいConnect機能により、ユーザーは好みのアーティストをフォローしたり、ツアーや製作現場の舞台裏などのコンテンツをチェックすることが出来る。
最後にBeats Oneについてだが、これはNY、LA、ロンドンから発信される24時間年中無休の音楽ストリーミングサービスであり、恐らくはこのサービス独自のコンテンツも提供される。購読料は聴き放題で1月1人10ドルか、6人家族で15ドルのセット料金になる。iOSで6月30日から提供され始めるが、最初の3ヶ月は無料だ。WindowsおよびAndroidでも今年の秋からスタートする。
「One more things」に限って言えば、機能的には他のサービスでも同じようなものがあるという意味で、個人的にApple Musicは少々ガッカリするものだった。もちろんポイントはアップルが取り扱う商品だ。例えばビヨンセはiTunes限定で2013年にアルバムをリリースし、iPhoneを扱う業者が音楽プラットフォームに置いて以下に興味を集めうるかを示すことになった。
これら機能はユーザーを惹きつけることはできるが、結局の所取り扱う音楽の豊富さが全てだ。アップルが保有するライブラリは、その顧客層と同じく膨大なものだ。この事でアーティストが他所には無いコンテンツを提供しようという動きが出てくれば、Apple Musicが大当りする可能性はある(これに関して言うとジミー・アイオヴィンの件は分水嶺となるだろう)。これが当たらないとすれば、Apple Musicはライブラリは増え続けているが誰もあまり気にかけることがない、サムスンのMilk Musicの後塵を拝することになるだろう。
画像提供: Brian P. Rubin, Richard Procter, Adriana Lee, and Owen Thomas for ReadWrite
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※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちらをご覧ください。
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