CA AppLogicによる新しいクラウドのかたち
さまざまなコスト削減効果
CA AppLogicは、オール・イン・ワン型のパッケージであり、さまざまな機能をすぐに使えるようにしています。これにより、例えば、以下のようなコスト削減効果を見込めます。
- OSやアプリケーションのライセンス・コストの削減(OSSベースのカタログを同こん)
- 仮想データ・センターの構築とメンテナンスにかかる工数の削減(作成した仮想データ・センターをパッケージング)
- ハードウエア・コストの削減(安価なPCサーバーとL2スイッチだけを使用)
よく比較され、議論の対象となるのが、VMWare ESXやXenServerと比べた際のポジショニングです。CA AppLogicは、従来の仮想化ソフトと1対1で比較することが難しいのですが、理解しやすいように小売業界のマーケット構造(図6)を例に説明します。
百貨店型(VMWare/XenServerなど) | 高機能だがトータルで高価格傾向 |
コンビニ型(AppLogic) | 標準機能だが比較的安価で便利 |
オンライン・ストア型(Amazonなど) | 使いたい時に使いたいだけ |
図6: AppLogicのポジショニング(クリックで拡大) |
百貨店には、高価なブランド品が陳列されています。いろいろな商品を購入する場合、フロアを移動しなければいけません。いい服を購入したら、いい靴が欲しくなります。外商担当の人と相談する必要があるかも知れません。トータル・コーディネートすると素晴らしいものが出来上がりますが、総額は結構な金額になってしまいます。
一方、コンビニエンス・ストアには、高価なブランド品は陳列されていません。しかし、限られたスペースの中に、標準的なものを安価に、ところせましと陳列しています。そこに行けば、そこそこのものがすぐに手に入ります。これがCA AppLogicのポジショニングであり、他の製品/サービスではまねができない点です。
百貨店型の製品/サービスを否定しているわけではありません。機能面や可用性という観点から百貨店型の製品/サービスが必要になるITシステムは、もちろんあります。企業のITシステムのすべてが同じ要件を求めているわけではありません。ITシステムも事業仕訳をすることによって、コスト削減と利便性の両方を追求できるようになります。
われわれが目的に応じて百貨店やコンビニを使い分けているように、企業システムも目的に応じて、従来のITシステムとクラウド化されたITシステムを使い分ければいいのです。
今後の発展
冒頭で少し触れましたが、2010年2月に米CA(現在のCA Technologies)が米3Teraの買収を発表しました。プレス・リリースでも触れられていますが、米CA Technologiesのクラウド戦略の中で、AppLogicは中心的な製品として位置づけられています。
2010年5月17日に米ラスベガスで開催されたプライベート・カンファレンス「CA World 2010」において、米CA Technologiesは「CA Cloud-Connected Management Suite」と呼ぶクラウド管理スイートを発表しました。
このスイートは、
- CA Cloud Insight
- CA Cloud Compose(AppLogicはComposeとして統合される)
- CA Cloud Optimize
- CA Cloud Orchestrate
の4つのコンポーネントで構成しています。ほかのコンポーネントとしては、過去に買収した米Oblicore(サービス・レベル管理ソフト)や米Cassatt(データ・センター自動化)などの要素技術を統合していくようです。
CA Cloud-Connected Management Suiteが製品として出荷されるのは2010年末以降になると思われますが、今後の動向が非常に楽しみです。