組み込み開発のための開発環境を整備する 2

OSGiによる部品化

OSGiによる部品化

OSGiのフレームワークは、Java VM上で働く、アプリケーション管理のためのミドルウエアです。OSGiフレームワークでは、アプリケーションを「バンドル」と呼ぶ単位で管理します。1つの機能をバンドルとして実装することにより、部品化を容易に実現することができます。

バンドルの実体は、Javaのクラス・ファイルや画像などのリソースや、バンドルの情報を記述したマニフェスト・ファイルなどが入った、JAR(JavaArchive)アーカイブです。OSGiフレームワークは、このバンドル単位で、アプリケーションのインストールとアンインストールを行います。多くの場合、バンドルは1つの機能(例えば、HTTPサーバー機能やデバイス管理機能など)を実装し、その機能をほかのバンドルに提供します。

バンドル同士のコミュニケーションには、サービス・レジストリと呼ぶ仕組みを利用します。バンドルは、OSGiフレームワークにインストールされると、自分の機能を利用するためのインタフェースを「サービス」としてサービス・レジストリに登録します。ほかのバンドルは、フレームワークを通じてこのサービスを利用します。

この仕組みにより、アプリケーション開発者は、さまざまなバンドルの機能を利用して複雑なサービスを構築できます。OSGiの標準化団体であるOSGi Allianceでは、HTTPサーバー機能やXML機能、UPnP機能といった基本的な機能をOSGiの標準サービスとして定め、その仕様とインタフェースを公開しています。

また、OSGiでは、フレームワークがアプリケーションの管理を行います。このため、起動したままでアプリケーションを追加/変更できます。これにより、一部のサービスを提供したままで新たなサービスを追加したり、一部の機能のみを更新したりといった、柔軟な運用が可能になります。

HGWでのOSGiの使われ方

HGW上では、実際に、どのようにOSGiが使われているのでしょうか。HGWには、図2のように組み込みJavaが含まれており、その上でOSGiフレームワークが動作しています。

図2: HGWとOSGi

 

UPnPやHTTP、ZigBeeといった基本的なプロトコルをバンドル化したバンドル・ライブラリを用意することにより、サービス事業者は、少ない工数でサービス・バンドルを開発することができます。

エンドユーザーの視点から見ると、エンドユーザーがサービス事業者からサービスを購入した場合、OSGi管理サーバーからサービス・バンドルがインストールされ、サービスが提供されることになります。この際、システムを止めずに自動的にバンドルがインストールされるので、エンドユーザーはバンドルのインストールを意識する必要はありません。

次のページでは、サービス・バンドルの具体例として、DLNAコントローラを紹介します。

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