iOSでつくる2011アプリ開発状況 3

ゲームプラットフォームとしてのiOS

ゲームプラットフォームとしてのメリットiPhoneアプリは今やApp Storeで数十億のダウンロード数を誇るプラットフォームとなりました、その中でも最も人気のあるカテゴリーが「ゲーム」です。個人開発者から大手ゲームメーカーまでさまざまなデベロッパーがiPhone向けにゲームをリリースしています。

北村 真二

2011年1月21日 20:00

ゲームプラットフォームとしてのメリット

iPhoneアプリは今やApp Storeで数十億のダウンロード数を誇るプラットフォームとなりました、その中でも最も人気のあるカテゴリーが「ゲーム」です。個人開発者から大手ゲームメーカーまでさまざまなデベロッパーがiPhone向けにゲームをリリースしています。

iPhoneとApp Storeが登場する以前は、ゲームを開発して収益をあげようと思えばゲーム専用機を販売しているメーカーと契約しそのハード向けにゲームを開発するか、パソコン用のパッケージソフトやオンラインソフトとして開発して販売するしかありませんでした。しかしiPhoneとApp Storeの登場によりその状況は激変しました。年間わずか1万円程度の契約費で個人がアプリを大手メーカーと同じ立場でしかも世界に向けてリリースできるのですから他のゲームプラットフォームでは考えられないことです。開発者の立場からするとこれば革命的とも言えるメリットです。

開発を始めるための最低限の投資は「アップルとのデベロッパー契約料」「開発用のMac」「実機確認用のiPhone/iPod touch/iPad」くらいです。SDKなどの必要な開発環境はMacを買えば無料でついてきますし、デベロッパー契約をすればいつでも開発者サイトから最新のSDKをダウンロードできます。

他のゲーム専用機との比較

iPhoneを「携帯ゲーム機」としてみた場合に、ライバルとなる携帯ゲーム機として最もポピュラーなものは「ニンテンドーDS(以下DS)」と「プレイステーション・ポータブル(以下PSP)」でしょう。これらとiPhoneを比べた場合どうでしょうか?

  DS PSP iPhone
ゲーム専用機とiPhoneのハード比較
画面解像度 256×192
(※上下2画面合わせると256×384)
480×272 320×480
(※iPhone 4の場合、640×960)
インターフェース 抵抗膜式タッチスクリーン(下画面のみ)、十字キー、入力ボタン8つ 方向キー/アナログパッド、入力ボタン8つ 静電容量式タッチスクリーン、加速度センサー
通信機能 IEEE 802.11対応および任天堂独自のプロトコルに対応 インフラストラクチャーモード、アドホックモード(最大16台同時接続) 3G回線、wi-fi、Bluetooth、GPS使用可能

図1:ゲーム専用機とのスクリーン解像度の比較図

まず、画面解像度だけをみるとiPhoneが他のゲーム専用機を上回ることがわかります。また、3機種ともに無線による通信機能を備えていますが、もともとが携帯電話であるということに加え、他にもGPSなどを備えたiPhoneに分があるのではないでしょうか。webサーバーとの連携も簡単に行うことができます。また加速度センサーといった他のプラットフォームにはない機能もあります。このようにiPhoneはハード面からみても他のゲーム専用機と比べて遜色(そんしょく)がないことがわかると思います。

ゲーム専用機であるDSやPSPがiPhoneと大きく異なる点は、物理的な入力装置があるか無いかということです。iPhoneの操作は基本的にタッチスクリーンで行います。物理的な入力装置を使用しないことから自由なUI設計が可能と言えますが、一方で物理的なボタンを備えるDSやPSPは、ユーザーが確実に入力できるという利点があります。

次に、タッチスクリーンを持つDSとiPhoneですが、タッチ感知の方法に違いがあります。DSの抵抗膜式はタッチスクリーンへの物理的な接触を検知し、iPhoneの静電容量式は指などの接触による電気の変化を感知します。

DSが採用している抵抗膜式の場合、タッチペンなどを利用すれば細かな点の感知が可能です。これにより精度の高いタッチを要求するゲーム性を追求することができます。しかし、マルチタッチが感知しにくいというデメリットもあります。

iPhoneが採用する静電容量式は指などの電気を利用するため、基本的にタッチペンなどには反応せず抵抗膜式とは逆に細かな入力には不向きな面がありますが、マルチタッチの検知が容易というメリットがあります。

この記事のキーワード

この記事をシェアしてください

人気記事トップ10

人気記事ランキングをもっと見る