WCF+Silverlightで作るリアルタイムWeb(前編)
はじめに
第3回の今回は、WCF+Silverlightでの双方向通信を解説します。
WCF+Silverlightでのシステムの構成は、サーバーとクライアント双方にメッセージ開始のメカニズムを作成するという構成になります。WCF+Silverlightの場合、Cometのようにシンプルなクライアントでは、双方向通信を実現できません。そのため、クライアント側にも大量のプログラムが必要になります。
この大量のプログラムをVisual Studioが自動生成する「プロジェクション」という仕組みがあり、その構築工数を格段に下げることができます。プロジェクションとは、サーバーのオブジェクトをクライアントに射影する技術で、クライアント、サーバー間のプログラム作成やデバッグ作業を軽減することができます。Visual Studioは、サーバーのオブジェクトをクライアントで操作するためのプログラムコードを自動生成します。
WCFサービスの場合は、サービスコントラクトというインターフェースをクライアントに公開します。このコントラクトに属性を設定することで、サービスを利用するクライアントプログラムを作成する際に、[サービス参照の追加]を行うと、この属性ごとにクライアント側に必要なプログラムコードが自動生成されます。
また、Silverlightによって、クライアント側のコードが隠ぺいされるため管理がしやすいというメリットもあり、双方向通信の3つのアプローチで、最もすぐに開発を開始でき、挙動を確認できるのがWCF+Silverlightでの実装です。
→今回のサンプルファイルはこちらからダウンロードできます (zip形式/887KB)。
開発環境 | バージョン |
---|---|
Windows | Windows 7、Vista、XP SP2以上、および2003以上のサーバーOS ※WCFのコアとなるDLLは、System.ServiceModel.dllで提供されるもので、上記のOSでは、既定でインストールされています。 ※双方向通信を行うPollingDuplexHttpBindingはIIS 7.0以上で利用できます。Windows 2003 Serverで提供されるIIS6.0では、HTTP通信のみをサポートします。そのため、IISのWebサービスでなくWindows OSのWindowsサービスとしてWCFをサービスすることでPollingDuplexHttpBindingが使えます。 |
.NET Framework | .NET Framework 2.0以上 |
統合開発環境 | Visual Studio 2008 SP1以上の開発環境 |
Silverlight | Silverlight 3以上+SDK ※双方からWCFサービスを公開するためのPollingDuplexHttpBindingはSystem.ServiceModel.PollingDuplex.dllで提供されており、このDLLはSilverlight 3 Toolsから提供されています。 |
つまり、Silverlight SDKの追加インストールのみで開発環境を構築できます。 皆さんの環境に合わせて、以下をインストールしてください。
開発環境のリスト
- Visual Studio 2008 SP1評価版
- Visual Studio 2008 SP1 Express
- Visual Studio 2008 SP1 用 Microsoft Silverlight 3 Tools
- Visual Studio 2010 評価版
- Visual Studio 2010 Express
- Microsoft Silverlight 4 Tools for Visual Studio 2010
▲Silverlightデベロッパーセンターより ※ToolsにはSDKが含まれています。
本稿ではVisual Studio 2010とSilverlight 4、.NET4.0のC#を使った解説を行っています。皆さんの環境に合わせて読み替えてください。