WCF+Silverlightで作るリアルタイムWeb(前編)

2011年3月15日(火)
高尾 哲朗(監修:山田祥寛)

はじめに

第3回の今回は、WCF+Silverlightでの双方向通信を解説します。

WCF+Silverlightでのシステムの構成は、サーバーとクライアント双方にメッセージ開始のメカニズムを作成するという構成になります。WCF+Silverlightの場合、Cometのようにシンプルなクライアントでは、双方向通信を実現できません。そのため、クライアント側にも大量のプログラムが必要になります。

この大量のプログラムをVisual Studioが自動生成する「プロジェクション」という仕組みがあり、その構築工数を格段に下げることができます。プロジェクションとは、サーバーのオブジェクトをクライアントに射影する技術で、クライアント、サーバー間のプログラム作成やデバッグ作業を軽減することができます。Visual Studioは、サーバーのオブジェクトをクライアントで操作するためのプログラムコードを自動生成します。

WCFサービスの場合は、サービスコントラクトというインターフェースをクライアントに公開します。このコントラクトに属性を設定することで、サービスを利用するクライアントプログラムを作成する際に、[サービス参照の追加]を行うと、この属性ごとにクライアント側に必要なプログラムコードが自動生成されます。

また、Silverlightによって、クライアント側のコードが隠ぺいされるため管理がしやすいというメリットもあり、双方向通信の3つのアプローチで、最もすぐに開発を開始でき、挙動を確認できるのがWCF+Silverlightでの実装です。

今回のサンプルファイルはこちらからダウンロードできます (zip形式/887KB)。

開発環境 バージョン
開発に必要な構成
Windows Windows 7、Vista、XP SP2以上、および2003以上のサーバーOS
※WCFのコアとなるDLLは、System.ServiceModel.dllで提供されるもので、上記のOSでは、既定でインストールされています。
※双方向通信を行うPollingDuplexHttpBindingはIIS 7.0以上で利用できます。Windows 2003 Serverで提供されるIIS6.0では、HTTP通信のみをサポートします。そのため、IISのWebサービスでなくWindows OSのWindowsサービスとしてWCFをサービスすることでPollingDuplexHttpBindingが使えます。
.NET Framework .NET Framework 2.0以上
統合開発環境 Visual Studio 2008 SP1以上の開発環境
Silverlight Silverlight 3以上+SDK
※双方からWCFサービスを公開するためのPollingDuplexHttpBindingはSystem.ServiceModel.PollingDuplex.dllで提供されており、このDLLはSilverlight 3 Toolsから提供されています。

つまり、Silverlight SDKの追加インストールのみで開発環境を構築できます。 皆さんの環境に合わせて、以下をインストールしてください。

開発環境のリスト

Silverlightデベロッパーセンターより ※ToolsにはSDKが含まれています。

本稿ではVisual Studio 2010とSilverlight 4、.NET4.0のC#を使った解説を行っています。皆さんの環境に合わせて読み替えてください。

著者
高尾 哲朗(監修:山田祥寛)
WINGSプロジェクト

有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表:山田祥寛)。おもな活動は、Web開発分野の書籍/雑誌/Web記事の執筆。ほかに海外記事の翻訳、講演なども幅広く手がける。2011年3月時点での登録メンバは36名で、現在もプロジェクトメンバーを募集中。執筆に興味のある方は、どしどしご応募頂きたい。著書多数。
http://www.wings.msn.to/

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