RAD開発の応用 - RESTを使ってつながるシステムに拡張する
RadPHPでRESTクライアントを作成する
実行したサーバーはそのままにして、今度はクライアントを作成してみましょう。RESTサーバーを作成したため、クライアントの作成には、さまざま言語を選択できるようになりました。ここでは、以前紹介したRadPHPを用いて、PHPによるWebクライアントを作成してみましょう。
[ファイル|新規作成]で「RPCLアプリケーション」を選択します。
次に、[ファイル|新規作成]で「その他」を選択し、「新規追加」ダイアログを表示します。[RadPHPプロジェクト|PHPファイル]カテゴリから、「DataSnap RESTクライアントモジュール」を選択し、[OK]ボタンをクリックすると、「DataSnap RESTクライアントモジュールの作成」ダイアログが表示されます。
図9:DataSnap RESTクライアントモジュールの作成 |
ウィザードでは、使用するプロトコル、呼び出しに用いる言語(PHPかJavaScriptか?)を選択できます。「ホスト」と「ポート」を指定し(必要に応じてその他のオプションも指定します)、[OK]ボタンをクリックすると、RESTサーバーに接続して、必要な情報を取得し、コードを生成します(このとき、RESTサーバーは起動していなければなりません)。
ウィザードは、2つのユニットを作成します。ClientModuleUnit1.phpは、Delphiで作成したWebモジュールと同じように、必要なコンポーネントが配置されたモジュールクラスです。ここには、サーバーとの接続を確立するためのメソッドがあります。
もうひとつは、ClientClassUnit1.phpです。こちらには、リモートメソッドを呼び出すための、クライアントスタブが定義されています。
/** * @param string $Value [in] * @return string */ function EchoString($Value) { $params[1]=@func_get_arg(1); $params[2]=@func_get_arg(2); $params[3]=@func_get_arg(3); $returnObject = $this->executor->executeMethod('EchoString', 'GET', array($Value), $params[1], true, $params[2], $params[3]); if (@func_get_arg(1) === FALSE) { if (($returnObject != null) && ($returnObject->result != null) && (is_array($returnObject->result))) { $resultArray = $returnObject->result; $resultObject=new DSObject(); $resultObject->Value = $Value; $resultObject->result = $resultArray[0]; return $resultObject; } return $returnObject; } } /** * @param string $Value [in] * @return string */ function ReverseString($Value) { $params[1]=@func_get_arg(1); $params[2]=@func_get_arg(2); $params[3]=@func_get_arg(3); $returnObject = $this->executor->executeMethod('ReverseString', 'GET', array($Value), $params[1], true, $params[2], $params[3]); if (@func_get_arg(1) === FALSE) { if (($returnObject != null) && ($returnObject->result != null) && (is_array($returnObject->result))) { $resultArray = $returnObject->result; $resultObject=new DSObject(); $resultObject->Value = $Value; $resultObject->result = $resultArray[0]; return $resultObject; } return $returnObject; } }
RESTクライアントのGUI設計
これらのクライアントモジュールを使ってリモートメソッドを呼び出す処理を、先ほど作成したRPCLアプリケーションunit1.phpに記述します。まず、GUIを設計します。
図10:GUIの設計(クリックで拡大) |
図のようにフォーム上に、ラベル、エディット、ボタンを配置します。ボタンをクリックすると、エディットに入力された文字列をサーバーに渡します。そして戻された値をラベルに表示します。うまくいけば、文字列は反転して表示されることでしょう。
フォームからリモートメソッドを呼び出すには、もうひとつ準備作業が必要です。[ファイル|ユニットを使う]メニューを実行して、ClientModuleUnit1.phpを選択します。これで、unit1には、以下のコードが追加されています。
require_once("ClientModuleUnit1.php");
実際のクライアントクラスは、ClientClassUnit1.phpにありますが、このユニットは、ClientModuleUnit1.phpから使うように定義されていますので、ここで選択するのは、ClientModuleUnit1.phpだけで十分です。
フォームに配置したボタンをダブルクリックして、OnClickイベントのイベントハンドラを記述します。
function Button1Click($sender, $params) { global $ClientModuleUnit1; $this->Label1->Caption = $ClientModuleUnit1->ServerMethods1Client->ReverseString( $this->Edit1->Text)->result; }
以上でクライアントは完成です。[実行]ボタンを押して、アプリケーションを実行します。
図11:クライアントアプリケーションの実行(クリックで拡大) |
文字列を入力してボタンをクリックすると、反転した文字列がラベルに表示されます。
以上の手順は、こちらのビデオでもご覧いただけます。
もちろんPHP以外でも…
ここではPHPを使ってDelphiのRESTサーバーにアクセスしましたが、JavaScriptなどさまざまな言語からも利用できます。また、RESTサーバーも他のWebサービスを利用することができるので、例えば、ソーシャルネットワークやクラウドサービスなどと通信する機能をサーバーに実装し、これをクライアントアプリケーションから利用するといった形態も考えられます。
さまざまなプラットフォームやデバイスが台頭してきている現在、ひとつの開発言語、ひとつのプラットフォームですべてを開発するという時代から、適材適所で使い分け、それらをつないでいくシステムの時代に変わろうとしています。このような中、RAD技術は、既存アプリケーション資産を新しいテクノロジーを結びつける方向へと進化を続けているのです。