ITSMパッケージのインストールとOTRSの日本語化

2011年12月8日(木)
櫻井 耕造

前回はOTRSサーバのインストールまでの手順を紹介しました。今回はITILv3に沿った運用に必要なOTRS ITSMパッケージのインストールと、OTRSの日本語化の方法について説明します。

OTRS ITSMパッケージのインストール前提

OTRSのデフォルトの状態では、サイズの大きいパッケージはインストールできません。インストールするためには、MySQLのBLOB型(画像などのバイナリを入れるカラム)を大きくする必要があります。以下は、デフォルトの1Mバイトから128Mバイトにサイズを変更する例です。

  # cd /etc
  # vi my.cnf
  [mysqld]
  max_allowed_packet = 128M //サイズを128Mに変更
  # service mysqld restart

サイズが変更されたことを確認します。

  # mysql -u root
  mysql> show variables like 'max_allowed_packet';
  +--------------------+-----------+
  | Variable_name      | Value     |
  +--------------------+-----------+
  | max_allowed_packet | 134217728 |
  +--------------------+-----------+
  1	row in set (0.00 sec) 

ITSMパッケージのリポジトリ登録

デフォルトでは、OTRS ITSMパッケージのリポジトリサーバが登録されていないので、ITSMのリポジトリサーバを登録します。

まず、OTRSにログインした状態から「管理(Admin)」→「システムコンフィグ(SysConfig)」をクリックし、左側にある操作内のドロップダウンリストから「Framework」をクリックします。

図1:OTRS ITSMパッケージのリポジトリ登録

ここでFrameworkのサブグループの「Core::Package」をクリックします。この設定項目の中にある「Package::RepositoryList」で、以下のようにしてリポジトリを登録します。

  • 鍵: http://ftp.otrs.org/pub/otrs/itsm/packages30/
  • 内容: [--OTRS::ITSM 3.0 Master--] http://ftp.otrs.org/

OTRS追加パッケージのインストール

OTRSの初期状態では、「Support」という基本的なパッケージしかインストールされていません。iPhoneからOTRSを利用したい、ナレッジ管理を利用したいといった場合、OTRSの追加機能のパッケージをインストールする必要があります。

OTRSの追加パッケージの例

パッケージ名 内容
iPhoneHandle iPhoneアプリ対応
FAQ FAQ、ナレッジ管理
Survey 顧客アンケート調査機能
MasterSlave チケットのマスター・スレーブ機能
SystemMonitoring システム監視
TimeAccounting 時間会計(要員の工数管理)

今回インストールするOTRS ITSMパッケージも同様の追加パッケージです。ITILv3に沿った運用を実現するには、以下のパッケージが必要になります。

OTRS ITSMのパッケージ群

パッケージ名 内容
ImportExport 構成アイテムの登録情報をインポート、エクスポート(CSV形式)
GeneralCatalog 一般的なカタログ
ITSMCore ITSM基本プロセス
ITSMChangeManagement 変更管理プロセス
ITSMConfigurationManagement 構成管理プロセス
ITSMIncidentProblemManagement インシデント管理、問題管理プロセス
ITSMServiceLevelManagement サービスレベル管理プロセス

OTRS ITSMのインストール

前項の「OTRS ITSMパッケージのインストール前提」で説明した設定が完了したら、インストールに入ります。OTRSにログインした状態から「管理(Admin)」の「パッケージ管理(Package Manager)」をクリックし、該当するリポジトリサーバを選択して、「リポジトリ情報の更新」をクリックします。

  • OTRSパッケージ: [-Master-] http://ftp.otrs.org/
  • OTRS ITSMパッケージ: [--OTRS::ITSM 3.0 Master--] http://ftp.otrs.org/

図2:OTRS ITSMのインストール

「オンラインリポジトリ」欄に表示されたパッケージを選択して、「インストール」をクリックすると、利用するパッケージをインストールできます。ここでは、前出の表「OTRS ITSMのパッケージ群」に示したパッケージをインストールします。

図3:OTRS管理画面(クリックで拡大)

OTRSの日本語化

OTRSをインストールした状態では、日本語化が不十分な部分が多々あります。以下のサイトで提供されている最新の翻訳ファイルを適用することで、未翻訳部分を日本語化することができます。

日本語ファイルの適用

ダウンロードしたファイルをOTRSサーバの/tmpに格納します。その後の適用手順は以下のとおりです。

  # cd /tmp
  # mv language_20111013.tar.gz /opt/otrs/Kernel/Language/.
  # cd /opt/otrs/Kernel/Language
  # tar zxvf language_20111013.tar.gz
  # ls -l ja*
  -rw-r--r-- 1 otrs apache 492736 10月 13 17:56 2011 ja.pm
  -rw-r--r-- 1 otrs apache  27751 10月 13 17:57 2011 ja_FAQ.pm
  -rw-r--r-- 1 otrs apache   1565 10月 13 17:48 2011 ja_GeneralCatalog.pm
  -rw-r--r-- 1 otrs apache 119866 10月 13 17:53 2011 ja_ITSMChangeManagement.pm
  -rw-r--r-- 1 otrs apache  24237 10月 13 17:49 2011 ja_ITSMConfigItem.pm
  -rw-r--r-- 1 otrs apache  11256 10月 13 17:49 2011 ja_ITSMCore.pm
  -rw-r--r-- 1 otrs apache  10203 10月 13 17:50 2011 ja_ITSMTicket.pm
  -rw-r--r-- 1 otrs apache   2529 10月 13 17:48 2011 ja_ImportExport.pm
  -rw-r--r-- 1 otrs apache   8537 10月 13 17:52 2011 ja_Survey.pm
  -rw-r--r-- 1 otrs apache  17597 10月 28 19:51 2011 ja_TimeAccounting.pm

最後にApacheを再起動することで、翻訳ファイルを読み込みます。

  # service httpd restart

Webブラウザでログインして確認すると、以下のように日本語化されています。

図4:日本語化されたOTRS(クリックで拡大)

次回は「OTRSの基本設定」について解説します。

TIS株式会社 IT基盤サービス本部 DCアウトソーシング第1部 主任

システム運用、システムインテグレーションなどを経験後、TISの先端技術センターにてOTRSのR&Dを実施。OSS保守サービス「Tritis」の事業を企画し、事業の中核であるOTRSを2011年8月にOTRS AG(ドイツ)による国内初のOTRS認定技術者となる。

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