ITSMパッケージのインストールとOTRSの日本語化
前回はOTRSサーバのインストールまでの手順を紹介しました。今回はITILv3に沿った運用に必要なOTRS ITSMパッケージのインストールと、OTRSの日本語化の方法について説明します。
OTRS ITSMパッケージのインストール前提
OTRSのデフォルトの状態では、サイズの大きいパッケージはインストールできません。インストールするためには、MySQLのBLOB型(画像などのバイナリを入れるカラム)を大きくする必要があります。以下は、デフォルトの1Mバイトから128Mバイトにサイズを変更する例です。
# cd /etc # vi my.cnf [mysqld] max_allowed_packet = 128M //サイズを128Mに変更 # service mysqld restart
サイズが変更されたことを確認します。
# mysql -u root mysql> show variables like 'max_allowed_packet'; +--------------------+-----------+ | Variable_name | Value | +--------------------+-----------+ | max_allowed_packet | 134217728 | +--------------------+-----------+ 1 row in set (0.00 sec)
ITSMパッケージのリポジトリ登録
デフォルトでは、OTRS ITSMパッケージのリポジトリサーバが登録されていないので、ITSMのリポジトリサーバを登録します。
まず、OTRSにログインした状態から「管理(Admin)」→「システムコンフィグ(SysConfig)」をクリックし、左側にある操作内のドロップダウンリストから「Framework」をクリックします。
図1:OTRS ITSMパッケージのリポジトリ登録 |
ここでFrameworkのサブグループの「Core::Package」をクリックします。この設定項目の中にある「Package::RepositoryList」で、以下のようにしてリポジトリを登録します。
- 鍵: http://ftp.otrs.org/pub/otrs/itsm/packages30/
- 内容: [--OTRS::ITSM 3.0 Master--] http://ftp.otrs.org/
OTRS追加パッケージのインストール
OTRSの初期状態では、「Support」という基本的なパッケージしかインストールされていません。iPhoneからOTRSを利用したい、ナレッジ管理を利用したいといった場合、OTRSの追加機能のパッケージをインストールする必要があります。
OTRSの追加パッケージの例
パッケージ名 | 内容 |
---|---|
iPhoneHandle | iPhoneアプリ対応 |
FAQ | FAQ、ナレッジ管理 |
Survey | 顧客アンケート調査機能 |
MasterSlave | チケットのマスター・スレーブ機能 |
SystemMonitoring | システム監視 |
TimeAccounting | 時間会計(要員の工数管理) |
今回インストールするOTRS ITSMパッケージも同様の追加パッケージです。ITILv3に沿った運用を実現するには、以下のパッケージが必要になります。
OTRS ITSMのパッケージ群
パッケージ名 | 内容 |
---|---|
ImportExport | 構成アイテムの登録情報をインポート、エクスポート(CSV形式) |
GeneralCatalog | 一般的なカタログ |
ITSMCore | ITSM基本プロセス |
ITSMChangeManagement | 変更管理プロセス |
ITSMConfigurationManagement | 構成管理プロセス |
ITSMIncidentProblemManagement | インシデント管理、問題管理プロセス |
ITSMServiceLevelManagement | サービスレベル管理プロセス |
OTRS ITSMのインストール
前項の「OTRS ITSMパッケージのインストール前提」で説明した設定が完了したら、インストールに入ります。OTRSにログインした状態から「管理(Admin)」の「パッケージ管理(Package Manager)」をクリックし、該当するリポジトリサーバを選択して、「リポジトリ情報の更新」をクリックします。
- OTRSパッケージ: [-Master-] http://ftp.otrs.org/
- OTRS ITSMパッケージ: [--OTRS::ITSM 3.0 Master--] http://ftp.otrs.org/
図2:OTRS ITSMのインストール |
「オンラインリポジトリ」欄に表示されたパッケージを選択して、「インストール」をクリックすると、利用するパッケージをインストールできます。ここでは、前出の表「OTRS ITSMのパッケージ群」に示したパッケージをインストールします。
図3:OTRS管理画面(クリックで拡大) |
OTRSの日本語化
OTRSをインストールした状態では、日本語化が不十分な部分が多々あります。以下のサイトで提供されている最新の翻訳ファイルを適用することで、未翻訳部分を日本語化することができます。
- ダウンロード先: http://www.tis.jp/service_solution/otrs/
- ダウンロードファイル: language_20111013.tar.gz
日本語ファイルの適用
ダウンロードしたファイルをOTRSサーバの/tmpに格納します。その後の適用手順は以下のとおりです。
# cd /tmp # mv language_20111013.tar.gz /opt/otrs/Kernel/Language/. # cd /opt/otrs/Kernel/Language # tar zxvf language_20111013.tar.gz # ls -l ja* -rw-r--r-- 1 otrs apache 492736 10月 13 17:56 2011 ja.pm -rw-r--r-- 1 otrs apache 27751 10月 13 17:57 2011 ja_FAQ.pm -rw-r--r-- 1 otrs apache 1565 10月 13 17:48 2011 ja_GeneralCatalog.pm -rw-r--r-- 1 otrs apache 119866 10月 13 17:53 2011 ja_ITSMChangeManagement.pm -rw-r--r-- 1 otrs apache 24237 10月 13 17:49 2011 ja_ITSMConfigItem.pm -rw-r--r-- 1 otrs apache 11256 10月 13 17:49 2011 ja_ITSMCore.pm -rw-r--r-- 1 otrs apache 10203 10月 13 17:50 2011 ja_ITSMTicket.pm -rw-r--r-- 1 otrs apache 2529 10月 13 17:48 2011 ja_ImportExport.pm -rw-r--r-- 1 otrs apache 8537 10月 13 17:52 2011 ja_Survey.pm -rw-r--r-- 1 otrs apache 17597 10月 28 19:51 2011 ja_TimeAccounting.pm
最後にApacheを再起動することで、翻訳ファイルを読み込みます。
# service httpd restart
Webブラウザでログインして確認すると、以下のように日本語化されています。
図4:日本語化されたOTRS(クリックで拡大) |
次回は「OTRSの基本設定」について解説します。