性能監視がデータセンターにもたらす大きな価値とは
クラウド環境になり、運用監視の手法も従来とは変わらざるを得なくなってきている。しかし、これは見方を変えればチャンスであり、運用監視/性能監視を高付加価値サービスとして提供できる可能性があるということでもある。ユーザーの期待以上のサービスとして性能監視を提供することで、ユーザーの満足度を高めることが可能だ。
高付加価値サービスとしての性能監視
データセンターは“場所貸し”ではない
インターネット・コンピューティングが爆発的に拡大していく時代、データセンターに求められた機能は、“サーバ等のIT機器を安全に運用し、十分な電力とネットワーク帯域を提供する”というファシリティサービスとしての面が強く、極端な場合には“場所貸し”“不動産業”などと言われることすらあった。
しかし、データセンターの本質はサービス提供である。これは、サービス提供を本業とするデータセンター事業者/サービスプロバイダはもちろん、企業内データセンターであっても本質は変わらない。そのため、データセンター自体の運用に関わるコストは可能な限り低く抑えつつ、ユーザーに対しては高品質なサービスを提供していくことが求められるわけだが、これは簡単なことではないのは当然だ。
運用監視サービスは、以前からユーザーからのニーズは高く、既にサービスメニューに含まれている例も少なくないが、ユーザー満足度は必ずしも高くはないのではないだろうか。ユーザーとしては、24時間態勢で運用監視サービスが提供されている以上、何か問題が発生すればいち早く対処し、連絡してもらえるものと期待するだろう。
これはサービスを提供するデータセンター側でも同様だと思うが、実際には既に紹介したとおり、データセンターの運用監視体制が十分に整っておらず、ユーザーの期待するサービスレベルに達していない例が少なくない。これは、従来の死活監視を中心とした対応では現状の仮想化/クラウド化するITインフラの稼働状況を把握することはできないためで、SNMPベースの性能情報収集を行う必要があるからだ。
図1:顧客満足度向上のために必要となる運用管理(クリックで拡大) |
情報を取得してリアルタイムに対応できるツールが普及する
SNMPベースのツールでも、物理サーバ上に多数の仮想サーバが集約されている環境では多少の煩雑さが生じてしまうが、仮想環境に対応したツールの準備も整いつつある。
例えば、現在アイビーシー社のSystem Answerでリリース準備を進めている新機能では、物理サーバ上で仮想サーバの管理を行っているハイパーバイザから情報を取得することで、全仮想サーバの性能情報を一括で取得する。こうすれば、仮想サーバが新規に作成され、稼働を始めると同時に性能監視を開始するなど、ハイパーバイザしか知り得ない情報に基づいた性能監視が可能になる。
SNMPベースの性能監視でも、現状では仮想サーバに関しては従来の物理サーバと同様の扱いをすることで対応してきたが、仮想サーバの場合は新しいサーバがいきなり稼働を開始したり、停止したりすることもあるなど、従来以上にダイナミックに運用環境が変化する。ハイパーバイザから情報を取得すれば、こうしたダイナミックな運用状況にリアルタイムで自動的に対応できるため、今後こうした監視手法が普及していくことが予想される。