スクウェア・エニックスプロデューサー安藤氏を迎えた、FIXER主催講演会レポート

2013年8月9日(金)
作原 英輔

昨今、ゲーム業界において、ゲームの開発や運用に活用しようと、クラウドの存在感が増しています。

日本におけるゲーム会社の老舗ともいうべき株式会社スクウェア・エニックス(以下、スクウェア・エニックスと表記)では、1年以上前からWindows Azureを採用されています。

今回、ゲームづくりでどのようにWindows Azureが利用され、有用なのかを解説するセミナーが開催されましたので、その内容をレポートします。

2013年7月25日、株式会社FIXER(以下、FIXERと表記)主催、『未来のソーシャルゲームはこうつくる!クラウドを活用したスマートで迅速なゲーム開発!』をテーマとした講演会を、協賛していただいた日本マイクロソフト株式会社セミナールームにて開催しました。

講演会の講師には、スクウェア・エニックス特モバイル二部ジェネラルマネージャー兼プロデューサー 安藤武博氏、及びFIXER代表取締役 松岡清一が務めました。

安藤氏の講演『しゃべる!スマゲ☆革命』

講演の前半はスクウェア・エニックスが活用したWindows Azureについて、後半はスマートフォン向けゲーム(略称:スマゲ/スマホゲーム)の現状と今後の展望について、語っていただきました。

ゲーム業界で著名な安藤氏の講演とあって、平日の夜にもかかわらず、続々と席が埋まっていきました。

ゲーム業界においても、ますます存在感を増している
Windows Azure

まず安藤氏が語ったのは、ゲーム開発・運用においてWindows Azureを実際に使ったプロデューサーとしての、生の声でした。

第一に、「Windowsの感覚で使えるので使いやすい」。

クラウドと言ってもWindows Server ベースのため、Windows系エンジニアにとっては、馴染みやすい操作性。エンジニアは自分が使ったことのない技術は敬遠しがちだが、Windows Azureはエンジニアにも好評だった。

第二に、「急なサーバの増強に対応できる」。

『ロード オブ ヴァーミリオン 煉』(モバゲー)はサービスイン初日からかなりのアクセスが殺到し、当初の予想アクセス数を大幅に上回った。しかし、事実上作業時間30分~1時間でサーバ規模を5、10倍と増強できたのは驚いた。なかなか他のサーバだとこのような対応はできないと思った。

第三に、「Photon Serverに対応している」。

Windows Azureを利用できるPhoton Serverを使えば、比較的簡単にリアルタイム、マルチプレーヤーといったゲームを開発できる。Photon ServerとWindows Azureはとても相性がいい。

第四に、「開発環境を用意しやすい」。

次々と出てくる施策を実際に開発し確認するために、複数のテスト環境を即座に準備することができた。クラウドの特性が最大限に生かされた、環境の複製の素早さと手軽さを実感した。

このように、さまざまな利点を、Windows Azureを使って実感されたようです。
しかし、改善してほしい点があることも率直に発言されていました。
具体的には、Windows Azureの知識が豊富な会社が少ない、日本語資料が少ない、既存サーバの知識が通用しないケースがある、Windows Azureへの深い知識がないと大きな案件ではリスクがある、といった内容でした。

しかし、筆者の所属するFIXERには、Windows Azureについて十分な知識と理解と経験、及びクラウド利用での豊富な実績があります。そういったノウハウを持つ企業と組めば、Windows Azureを活用することは「最強のソリューション」になる、ということでした。

さらに、1年以上Windows Azureを利用し、ネイティブ、ブラウザ、GREEプラットフォーム、モバゲーと、さまざまなプラットフォームで問題なくサービスできたことは、「最強のソリューション」の証明、とも述べられました。

安藤氏の後半の講演は、スマートフォン向けゲーム(以下、スマゲと表記)の現状と今後の展望について、歯に衣着せぬトークを展開。

誌面やWebでは語られない本音トークが次々と飛び出し、市場の動きが激しいスマゲ業界の真っ只中にいるプロデューサーらしい、軽妙な口調でありながら辛辣な言葉を交えつつ、鋭い分析と見通しを披露し、聴衆は熱心に耳を傾けていました。

安藤氏の将来予想は、「スマゲにおいても、開発者の熱意をベースに、世界観がしっかりと練られ、緻密に構築された高品質のゲームが勝つ」というものでした。

(左)スクウェア・エニックス 安藤武博氏と講演を熱心に聞く受講者たち/(右)スクウェア・エニックス 安藤武博氏(クリックで拡大)
株式会社FIXER クラウドインテグレーション事業部 部長

Webシステム開発会社に入社後、大手コンビニエンスストアのホームページシステムのインフラ運用を担当。その後、大手証券会社のオンライン取引システム構築プロジェクトのインフラチームに参画。豊富な実績を経て、多数のプロジェクトを掛け持ちするプロジェクトマネージャーとなる。新規のシステム構築提案を行っていく中で、従来のオンプレミスだけではなく、クラウド提案の必要性を実感し、株式会社FIXERに入社。現在、今までのシステム構築のノウハウを携え、クラウドプラットフォームWindows Azureのエキスパートとして縦横無尽に活躍中。

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