COBOLエンジニアが実際のWeb開発業務に携わる際に気をつけるべきこと
学習して得た知識や資格は、そのまま自信につながる
COBOLからWebにキャリアチェンジして1年もたたないうちにプロジェクトを1つ任され、それを遂行している彼は、間違いなくキャリアチェンジ成功組にはいるでしょう。最後に、そんなM氏に、自分のキャリアチェンジが成功した理由を聞いてみました。
「まだ成功とは思っていません。ただ、自分の場合、Off-JTがなかったら、おそらくもっと大変だったんだろうなとは思います。優秀な人はそんなのなくても大丈夫なんでしょうけれど、そうではない人は絶対に最初何らかの形で勉強をしておいた方がいいです。そしてできれば何か資格を取るといいですよ。資格を持っているからといって、その人が即戦力になるとは限らない、という人がいます。その通りかもしれませんが、資格取得は、小さいけれど間違いなく自分の成功体験になるし、成功体験ってそのまま自信になってくれます。転職後はいろんな形で自分の自信や自負がぶっ潰されるので(笑)、結構この自信って大事です。」
「あとは、有償の短期の講座や研修を受けることでしょうか。やっぱり独学だと「これでホントに大丈夫?」という不安がありますし、自分なんて誘惑に弱い一般市民なんで、モチベーションが続かないこともしょっちゅうです。そんな時、有償の講座や研修はいろんな意味で強制力があります(笑)。お金を払った分しっかり聞こうと思いますし、やっぱりそんな講座を受講した後は、勉強に対するモチベーションが上がりますね。PHPやRailsは環境構築自体無償なんだから、それを知識習得の方に回そう!と思って。」
Off-JTの大切さをひとしきり語った後、M氏は最後にこうしめくくりました。
「繰り返しになりますが、COBOL開発のやり方で、Web開発に生かせるものはきっとあると思っています。個人的にはWeb開発では、スピードが大切にされる分、どうしてもCOBOL開発に比べて、レビューが削られがちな印象を受けました。なので、自分は今、リーダーとして、出来る限りソースやテストケースのレビューを増やすようにしています。こちらの方が若手も育つし、コミュニケーションもとれるし、割と評判がいいんです。」
最後に
彼の話の中で「今まで資格試験等で勉強して習得した点の状態の知識が、うっすらと細い線でつながったような気がしました。」という話を聞いて、まず思い浮かんだのはスティーブ・ジョブズ氏の、「connecting the dots」の話でした。
「先をあらかじめ見通して点を繋ぐことはできない。振り返って、繋ぐことしかできない。だから将来何らかの形で、その点が繋がると信じることだ。何かを信じ続けることだ。直感、運命、人生、カルマ、その他何でも。この手法が私を裏切ったことは一度もなく、そして私の人生に大きな違いをもたらした。」
M氏が最初にPHP技術者認定初級試験の勉強を始めた際、決して今のような自分のキャリアパスを描いたうえで着手したのではなかったはずです。でも、彼はそれを見事に生かし切りました。その秘訣は、彼のこの言葉に表われていると思います。
「COBOL開発のやり方で、Web開発に生かせるものはきっとあると思っています」
彼はCOBOL開発での3年間を自分のdotとし、それを繋ぐことをあきらめていません
技術習得活動が自分の中の「dot」をつくり続けていくことであるなら、学んだことを生かすために必要なのは、「dotを繋げることをあきらめないこと、自分のdotが繋がっていくと信じる心を持つこと」なのかもしれません。
以上、「COBOLエンジニアがPHPとRuby on Railsを習得するために必要なこと」について、3回の連載でお伝えしてまいりました。ご愛読ありがとうございました。
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