Dockerオーケストレーションツールが一般提供、OpenShift Commons設立、ほか

2015年3月6日(金)
吉田 行男

こんにちは、日立ソリューションズの吉田です。

まだまだ、北日本を中心に雪が降っていますが、関東地方から西では、暖かい日も増えてきたように思います。今年の桜(ソメイヨシノ)の開花日は概ね平年並みのようで、早いところでは3月中旬から咲き始めるようです。

桜の開花を待つまでもなく、あいかわらずオープンソースの世界はさまざまなニュースがあふれています。今週も注目すべきトピックをまとめましたので、ゆっくりとご覧下さい。

「Docker」のオーケストレーションツールが一般提供

2014年12月に発表したオーケストレーションサービス群(「Docker Machine」「Docker Swarm」「Docker Compose」)が、一般に利用できるようになりました。これらのツールは、開発者やシステム管理者がマルチコンテナ分散アプリケーションの作成や管理を支援するためのツールです。12月に発表したアルファ版では、何が可能になるかを示すことを目的とした、ただ動くだけの例でしたが、今回の公開したものはベータ版であり、より実用の段階へと進んだものになっています。
(参照記事:http://japan.zdnet.com/svc/nls/?id=35061042

ミドクラ、OpenStack Junoをサポートしたネットワーク仮想化ソフト「MEM」新版

ミドクラジャパン株式会社は26日、IaaSクラウドに最適なネットワーク仮想化ソリューション「ミドクラ・エンタープライズ・ミドネット(Midokura Enterprise MidoNet:MEM)」の最新版を発表しました。今回の最新版では、OpenStack Junoをサポートしたほか、OpenStack Neutron連携機能が改善されました。特に、Load Balancing as a Service(LBaaS)機能の改善により、OpenStack Horizon UI経由でテナントごとにロードバランサーを生成できるようになりました。
(参照記事:http://cloud.watch.impress.co.jp/docs/news/20150227_690283.html

富士通研、PostgreSQLの分析処理を50倍以上高速化できる技術を開発

富士通研究所は26日、サーバー1台でPostgreSQLの分析処理を50倍以上高速化できる列形式のデータ格納技術とデータベース処理エンジンを開発したと発表しました。これにより、メモリ搭載量が小さい中小規模のシステム上において、従来は不可能であった大量データのリアルタイム分析が実現でき、ビッグデータの活用が広がるものと期待されます。今後、富士通のデータベース製品「FUJITSU Software Symfoware Server」への装備に向け、同技術の2015年度中の実用化をめざしています。
(参照記事:http://cloud.watch.impress.co.jp/docs/news/20150226_690073.html

パフォーマンス大幅向上、「MySQL Cluster 7.4」GAリリース

「MySQL Cluster」は、99.999%の高可用性と拡張性、OSSによる低TCOを兼ね備えたオンライントランザクション向け分散型DBで、SQL、NoSQL双方のAPIを備えており、単一障害点を持たず、大手通信事業者からWeb/クラウド/ソーシャル/モバイルのアプリケーションプロバイダーまで、幅広い用途で利用されています。 最新版では、メモリ最適化テーブルやリニアなスケールアウト性能により、NoSQLで2億クエリ/秒の読み出し(32データノード)、SQLで250万回/秒のSQL文実行(16データノード)などのパフォーマンスを実現しています。
(参照記事:http://ascii.jp/elem/000/000/985/985073/?mail

レッドハット、PaaSのオープンソースコミュニティ「OpenShift Commons」を設立

「OpenShift Commons」は、OpenShiftの関係者、顧客、利用者、パートナー、開発者などの横断的なコミュニティで、OpenShiftに関する情報や事例などの共有を通してそれぞれの成功をめざ組織と説明されています。デル、Docker、シスコ、Cloudera、CA、Hortonworksなどが参加を表明しています。PaaS基盤としては、すでに「Cloud Foundry」が市場をリードしており、昨年12月には「Cloud Foundry Foundation」を設立しているため、巻き返しを図るレッドハットが設立したようです。
(参照記事:http://japan.zdnet.com/svc/nls/?id=35061113

◆編集後記◆

先週の「オープンソースカンファレンス」で開催されたシンポジウム「クラウド×OSS ~ “攻めのIT”への転換」では、基調講演や発表講演をはじめ、パネルディスカッションにも大勢の方にお越しいただいて、大変盛り上がりました。特にパネルディスカッションでは、大変熱い会話が交わされ、皆様に参考になったのではないかと思っています。今後、今回浮き彫りになった問題の解決や将来に向けての提言をどのように具体化していくかがこれからの課題です。関係各位の皆様とこれからも努力しなければと思った一日でした。

2000年頃からメーカー系SIerにて、Linux/OSSのビジネス推進、技術検証を実施、OSS全般の活用を目指したビジネスの立ち上げに従事。また、社内のみならず、講演執筆活動を社外でも積極的にOSSの普及活動を実施してきた。2019年より独立し、オープンソースの活用支援やコンプライアンス管理の社内フローの構築支援を実施している。

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