はじめに
eikichi(X: https://x.com/eikichi838)と申します。自己研鑽の一環としてKaggleでのコンペティションに参加した経験を通じて、今回「Kaggleはキャリアに役に立つ」というテーマで寄稿させていただきます。
元々機械屋だった私が、どのようにして現在のデータサイエンスR&Dの仕事に至ったのか。その過程をお伝えすることで、これからKaggleに取り組もうとしている方や、キャリアについて悩んでいる方にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。
ボヤッとした不安を持っていた学生時代
私は高専出身です。最近だと知名度も上がっている印象がありますが、履歴書など経歴を書くところに「高専」という選択肢があれば「お、めずらしい」と思うほどでした。
高校進学の時、将来に対してずっとボヤッとした不安があり「普通科だとまずい?」「手に職をつけた方が良いのか」など考え、めちゃくちゃ悩んでました。その一方で技術自体は好きで、新しい技術を見る・使うことに高揚感を感じていました。なので「選択するなら理系だな」という認識はありました。色々調べ悩んだ結果、一度普通科の高校で提出した進路希望を締切1週間後に「待った」をかけ、普通科高校ではなく高専を選択しました(迷惑かけました)。
そして勉強を頑張り、なんとか入学することができました。その後、高専本学5年間、専攻科2年間と計7年間、機械工学について学びました。そのため、就職時も「機械屋」として就活、就職することができました。
がむしゃらだった7年間半
入社してから7年間半は「機械屋(設備屋)」としての職務を必死に頑張っていました。 立場名は「技術営業」でしたが、実際は設備の構想設計から協力会社さんへの見積、受注したらスケジュール管理、設備図面チェック・シミュレーション・図面承認打ち合わせ・事前立ち合い・現地据付管理など色々やりました。
その時はただただ必死で「与えられたタスクを、与えられた期間で、どう完遂させるか」だけを考えて動く日々でした。帰宅は0時を過ぎることも多く、当時は実家暮らしだったので親にも心配をかけていたと思います。同じように別会社で働く幼馴染と、近所のポツンと光る自販機の前で深夜にダベるといったルーティンをしてました。
そのため「自分が本当にやりたいこと」に向き合う余裕もなく、与えられたタスクをただこなす。良くも悪くも、がむしゃらでした。
起点となった客先との会話
あるとき、設備の事前立ち合いで客先と話をしていると「今はできないんだけど、今後〇〇みたいなことってできないのかな」という話をもらいました。要件がソフトウェア側の話だったのでその場では回答ができなかったのですが、聞いているとかなり現実的かつ建設的な話で、私も「これならできるのでは?」と思いました。
そして技術部門と掛け合うことにしたのですが、そうすると
「できない。以上!」
その晩、自分で色々と反芻しながら考えた結果、
「いや、やっぱりできるやろ!」
就職してからこのような勉強はしてきておらず、ほとんど仕事に費やして「経験」を積むことに全振りしていた私。そもそも勉強の仕方さえも分からなかったので、まずは資格勉強をしながら知識を蓄えていくことに。まず「基礎情報技術者」「G検定」を取得し、久しぶりに勉強をすること、資格を取ることで前に進んでいる感覚を取り戻していきました。そんな試行錯誤を続けていくうちに、仕事では悩みながらも狭まっていた視界が広がっていくのを感じました。
データサイエンティストってなに?
そうしてソフトウェアの全体像が見えてきた頃に「これを使う仕事ってどんなものがあるのだろう」「こういう仕事をしてみたい」という気持ちが芽生え、転職イベントに参加したり、面接を受けたりしていた時に、とある転職サイトの職種カテゴリに見慣れない言葉を見つけました。
データサイエンティスト
なんだこれは。データ科学ってどういうこと? と思いながら調べているうちに一気に興味を持ちました。「利用目的に応じて情報を収集・分析し、ビジネス上の意思決定や課題解決に役立つ知見を見出す」そんな風に社会に貢献できるのかと、非常に惹かれたのを覚えています。そこから「データサイエンスを勉強しよう」と心に決めました。
Kaggleとの出会い
とはいえ「データサイエンスって何をすれば良いのだろうか?」と考えながらも、現状資格の上位である「応用情報技術者」を勉強し、その他にも「データを扱うためには統計も必要だろう」と考えて「統計検定2級」の勉強をしてみたり…。そんな試行錯誤をしているときに「Kaggle」と出会いました。
Kaggleは「世界最大級のデータサイエンス・機械学習コンペティションサイト」
Kaggleと出会い、知っていく中で「機械学習でみんなと競い合うことができる。知見も共有できる」そんな世界があるなんて衝撃でした。今まで全て独学でやってきたので、こんなコミュニティがあるなんて。とすぐJoinしました。Titanic、Housing Pricesなど、Playground系を中心に解法を見よう見まねで解きながら学んでいきました(沼)。
Kaggleをやっていて良かったこと【社内公募編】
そんな風に資格勉強とKaggleをプライベートで続けていたある日。社内公募を見ていると、なんと「データサイエンス」の言葉が。その日のうちに職務経歴書を準備して、すぐさま応募しました。私の周りにKaggleを知っている人が1人もいなかったため不安もありましたが、有効なアピールになると信じて職務経歴書にもKaggleという言葉を出し、資格勉強と共に継続していることを記載しました。
それが功を奏したのか書類選考を通過し、面接を受けることに。その面接でもKaggleで勉強をしていることを伝え、無事採用、部署異動することになりました。
後々上長に話を聞いてみると、 面接に辿り着くまでの倍率もかなり高かったらしく「Kaggleを含め資格勉強など、自主的に取り組んでいるところに熱意を感じた」と言っていただきました。例え未経験でも表面的なことだけではなく、Kaggleなど実践的な取り組みをしていたことが採用に繋がったのかなと思っています。何にせよ、未経験の私を拾ってくださった職場には本当に感謝しています。
Kaggleをやっていて良かったこと【仕事編】
その年から、データサイエンティストとしての職務に就きました。もちろんIT業界で働くのは初めてだったため、焦らず、さまざまなことを学びながら仕事を進めていました。
最初に担当したのは財務情報の可視化案件でした。私はPMの立場でPoCからシステムローンチまでを担当させていただきました。さまざまな部署や社外の協力会社の方々を巻き込みながら進める必要のあるプロジェクトでしたが、皆さまの協力があり、また個人としても、これまで機械屋で培ってきたPL経験や資格勉強で得た知識がうまくかみ合い、やり遂げることができました。
その後も可視化案件でPMを務める機会を複数いただきました。一方で、異動した当初から「機械学習に興味がある」と言い続けていたこともあり、当時の業務は可視化案件が中心ではあったものの、そうした業務に取り組みながら、数少ない機械学習案件にも携わらせていただきました。
しかし、実際に業務を進めてみると機械学習モデルそのものの改善に取り組む時間はそれほど多くなく、要件整理や必要なデータがどのDBに存在するのかを探したり、見つかったデータのオーナーに利用許可を相談したりなどなどといった、機械学習前の仕事が全体のほぼ9割を占めるという、参考書に載っていた現場の実情を肌で感じました(笑)。機械学習部分では、Kaggleで機械学習の流れを一通り経験していたことで、データを確認する、特徴エンジニアリングを行う、機械学習モデルを構築するといった作業を具体的にイメージできており、それが大きな支えになっていたと感じています。
Kaggleをやっていて良かったこと【人との出会い編】
そうしてKaggleや資格など、過去に勉強してきたことが仕事に活きていることを実感し、さらに人生で初めてKaggleをやっている人たちと出会いました。その方々は駆け出しの私からすればもちろんレベルが高く、それでも「一緒にKaggleをしよう」と言ってくださり、非常に嬉しかったことを覚えています。
社内での活動に加えて、社外イベントに参加させていただく機会も増えました。もともと、個人で社外イベントに参加すること自体ほとんど経験がなかったのですが、関西Kaggler会を皮切りに、関東Kaggler会などのKaggle関連イベントや機械学習系の勉強会イベントにも参加するようになりました。
そうすることで新たな仲間もでき、その繋がりで少人数での勉強会に参加するようになり、気づけばそうした活動が日々の生活の中に溶け込んでいきました。
そういった日々を過ごす中でKaggle活動はブーストがかかり、おかげさまでCompetition Masterになることができました。チームを組んでくださった方、関わってくださった皆様方には感謝です。
さらに、Kaggleを通して会社対抗のコミュニティコンペに参加することにもなりました。部署移動をして4年、データサイエンスの様々な経験を積ませてもらいつつも「新たなチャレンジもしてみたい」と思っており、このコンペも何かのきっかけになればと思って参加しました。 そんな中でチームメンバーとして出会った方とお話ししているうちに、その方のやっている仕事に興味を持ちました。実際に詳しい話を伺うと「自分もやりたい」という思いに。その方に協力していただき、また自身の上長にも相談し承諾を得て、半年後にはその方のいるデータサイエンスのR&D組織に異動しました。
そして今
データサイエンスのR&D組織に異動して2年が経ちましたが、物体検知、回帰タスク、異常検知、生成タスク、最適化、マテリアルインフォマティクスと様々な案件に携わらせていただいています。
その他では、社内イベントではありますが技術論文がアクセプトされての発表、去年はさらにまたKaggleのご縁でUdemy講師としてデビューする機会もいただきました。
そして、この記事もKaggleの縁があって書かせていただいている次第です。
最後に
振り返ると、Kaggleのおかげで学び、人と繋がり、キャリアを変えることができたと感じています。私にとってKaggleは、いろんな人・出来事を繋げてくれる「コネクタ」になってくれました。機械屋 → データサイエンティスト → R&Dというキャリアの流れは、Kaggleをやっていなければあり得ませんでした。
自分がやりたいと思えたら、少しでもいいので行動してみる。私の場合、その行動の1つがKaggleでした。これからも好奇心を持って、チャレンジしていきたいです。この記事が誰かの行動のきっかけになれば嬉しいなと思います。ありがとうございました。
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