レシピと味見でおいしいコーディング
制作仕様書は「料理のレシピ」
制作仕様書やコーディングチェックシートと言うと、堅苦しく聞こえるかもしれません。ワークフローや細かなサイト設計に基づいた制作の仕様が記載された制作仕様書は、料理の流れや材料、その分量が書いてある「料理のレシピ」に似ています。
そして制作仕様書通りに制作されたものか確かめるコーディングチェックシートは、料理レシピによって作られた「料理の味見」をする様なものと解釈してみてはいかがでしょうか?
ガイドライン化するメリットとデメリット
制作仕様書には、Webサイト全体の設計方針に分かりやすく書いたものにサイトマップなどを拡張した簡易的なものから、ファイル名や文法表記の統一など詳細情報を事細かに冊子のように厚いドキュメントに記載したものまで多く存在します。
ここではその内容や内容量に問わず制作仕様書が制作者へ与えるメリットとデメリットをご紹介します。
ガイドライン化するメリットは、情報(仕様)をまとめておくことで、プロジェクト担当者のコミュニケーションを円滑にすることができます。「言った、言わない」、仕様の「範囲、範囲外」などコミュニケーションのズレをなくすこともでき、制作中のデスマーチ(プロジェクト進行途中に何度も修正や機能追加が求められるにも関わらず、納期が変わらず、制作時間の増加、動作の不具合などが発生する悪循環のことを指します)を起こりにくくします。
なお同じタイプのプロジェクトは、制作仕様書の内容も似るので「作成作業期間の短縮」や「過去プロジェクト修正時の解析作業の効率化」もでき、今後の運用メンテナンス性も向上します。
さらににファイル名の統一などの細かな仕様を決定することで、スキルの低い担当者でも一定のクオリティを保つことができ、また制作作業の分担や引き継ぎにも有効です。ディレクターの指示がしやすくなるので、作業の効率化もはかれます。
デメリットとしては、まず「制作仕様書の作成作業」に時間がかかってしまうということがあげられます。制作仕様書を作成するには、まとまった資料と時間が必要です。しかも、途中で資料の変更や追加が入ると、さらに時間がかかってしまいます。
もう1つのデメリットは、制作仕様書の取り決めが厳しすぎると柔軟性を奪ってしまうことです。しかし制作仕様書の段階では「仮設計」でしかありません。すべて制作仕様書通りに作る必要は無く、「仮設計」の中からいかに柔軟に開発を進め、良いものづくりを行っていくかは、制作者の腕にかかっています。