YaSTで簡単セッティング!
LVMに関する注意点
パーティション拡張やスナップショット機能を持つLVMは、その運用の柔軟性からエンタープライズサーバで広く利用されています。
LinuxサーバのパーティションをLVMで管理する場合は、LVMで取り扱える最大容量に注意してください。これは、LVMの制限値とファイルシステムの制限値が異なるためです。
また、HAクラスタソフトウェアやデプロイメント管理ソフトウェアなどのミドルウェアを導入する場合は、それらミドルウェアがLVMをサポートしているかを必ず確認しましょう。
例えば、HAクラスタソフトウェアであるServiceguard for Linuxでは共有ディスクのユーザデータ領域をLVMで構成します。しかしローカルディスクのファイルシステムには、ext3やreiserfsを適用します。
システムのバックアップという観点で考えると、共有ディスクのLVM領域を取り扱えるバックアップソフトウェアの導入を考慮しなければなりません。さらに、ユーザデータやデータベースなどにおいて、スナップショットによるバックアップ運用を想定している場合は、それら該当するパーティションをLVMで設定する必要も出てきますので、システム運用時に利用するソフトウェアがサポートするファイルシステム要件を確認してください。
SLES 10におけるパーティション設計の基本
SLES 10のYaSTを使ってディスクパーティションを作成します。ディスクパーティションに対して、「ファイルシステムタイプ」「容量」「マウントポイント」を設定します。
簡単な動作確認程度のテスト環境やクライアント用途のLinuxにおいては、手間を省くために「/bootパーティション」「swapパーティション」「/パーティション」の3つを作成するのが一般的です。エンタープライズ用途における実システム本番環境(開発環境を含む)では、データの保全性を考慮し、細かいパーティションに分けるのが通例となっています。
例えば、「/」と「/var」を別々にすることにより、「/var」などのログ領域の空き容量が0%に陥った場合でも「/」だけは正常な状態に保つことができ、障害復旧が比較的容易になるというメリットがあります。また「/home」などを別パーティションの物理ディスクに分けることで、SAN環境やディスク増設作業が効率的に行えるなどのメリットがあります。これらの設計思想はUNIXサーバから由来する考え方で、Linuxサーバでも同様の設計を行います。
環境や運用によって、パーティションの分け方は変化するため、最適な答えは存在しません。一般に使われるサーバ用途であれば「/var」「/tmp」「/opt」「/usr」「/home」「/data」は、「/」と別に作成するとよいでしょう。とくにログ領域の「/var」は、肥大化していくことが多いため、別パーティションにすることを推奨します。
また、利用しているツールなどによっても、「/」とパーティションを分けた方がよいものがあります。例えば、HPのサーバシステムとSLES 10の組み合わせにおいては、HPが提供するドライバやHP Systems Insight Managerのシステムファイルの保存に「/opt」が利用されるため、「/var」および「/opt」には最低500MB以上の十分な容量を確保する必要があります。
また、SLES 10だけでなく一般的なLinuxサーバで共通の注意点として、OSのシステムファイル、ライブラリ、実行ファイルが格納されている「/bin」「/sbin」「/lib」「/etc」「/dev」は「/」と同一パーティションに存在しなければなりません。