第2回:Red Hat Enterprise Linuxセキュリティの概要と特徴 (3/4)

Linuxディストリビュータが紐解くセキュアOS
Linuxディストリビュータが紐解くセキュアOS

第2回:Red Hat Enterprise Linuxセキュリティの概要と特徴

著者:レッドハット  藤田 稜   2005/11/29
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PIE

   Position Independent Executables(位置非依存実行形式)も、RHEL4の持つセキュリティ機能の重要な1つです。前節でオーバーフローによる攻撃方法を説明しましたが、PIEにおいては通常複数のセクションに分割されているアプリケーションを、実行するたび、つまりメモリに配置されるたびにセクションをランダムにロードします。これによって攻撃者は攻撃コードの配置計画を立てることが難しくなるため、ExecShieldと同様オーバーフローによる攻撃をほぼ不可能にしてしまいます。
セグメンテーションの概念図
図3:セグメンテーションの概念図


ExecShieldとPIEの有効性

   2003年11月1日〜2004年8月11日の間にLinux向けに公表されたセキュリティの問題は16ありました。このうち、11のスタックバッファオーバーフローと1つのヒープバッファオーバーフローはExecShield+PIEで防御可能なものでした。この期間に限っていえば、75%のセキュリティの問題はEnterprise Linuxでは防御可能だったということです。


NIAP/Common Criteria

   ここまで技術的な観点も含めたRHEL4のセキュリティに関する機能について解説してきましたが、Red Hatのセキュリティへの取り組みが、客観的な基準に照らしても評価されています。代表的な評価基準であるCommon Criteriaの認証は、以下の通りです。

バージョン 評価基準 スケジュール
RHEL2.1 EAL 2 2004年2月:完了
RHEL3 EAL 3+/CAPP 2004年8月:完了
RHEL4 EAL 4+/CAPP 2005年10月:完了予定
RHEL5 EAL 4+/LSPP 2005年10月:アナウンス

表1:RHELのCC取得

   RHEL4の次期バージョンであるRHEL5においてもEAL 4+/LSPPを取得するための申請手続きを開始しており、将来にわたって高い評価基準をクリアできる製品です。


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レッドハット株式会社 藤田 稜
著者プロフィール
レッドハット株式会社  藤田 稜
レッドハット株式会社 プリセールスエンジニア
ホスト・オフコンのSIer、WebのSIerを経て様々なOSに触れた結果、これからはLinuxだという確信を持ち2005年4月より現職。レッドハットのOEMパートナーやエンドユーザからの導入検討段階での技術的問題の解決、セミナーなどにおけるRed Hat Enterprise Linuxの技術的情報の広報に従事。


INDEX
第2回:Red Hat Enterprise Linuxセキュリティの概要と特徴
  はじめに
  強制アクセス制御
PIE
  SELinuxのサポート
Linuxディストリビュータが紐解くセキュアOS
第1回 セキュアOSの動向
第2回 Red Hat Enterprise Linuxセキュリティの概要と特徴
第3回 MIRACLE LINUXのセキュリティへの取り組み
第4回 Turbolinuxのセキュリティに対する取り組み
個人情報保護法から見るセキュアOSの必要性
第1回 個人情報保護法とセキュリティ対策
第2回 セキュアOSとは
第3回 セキュアOS紹介(1)〜 MIRACLE HiZARDとLIDS
第4回 セキュアOS紹介(2)〜 Trusted SolarisとPitBull
第5回 セキュアOS紹介(3)〜 SELinux

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