第7回:Dell PowerEdge 1855ブレードサーバのVMware VMotion性能 (1/4)

VMware ESX Server サーバ統合ガイド
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第7回:Dell PowerEdge 1855ブレードサーバのVMware VMotion性能

著者:デル   2006/8/23
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今回の概要

   VMware社のESX Serverは、強力な仮想化ソフトウェアです。その一機能であるVMotionは、仮想マシン(VM)を稼動させたまま別の物理サーバに移動することができます。今回は、Dell PowerEdge 1855ブレードサーバ上でこれらのソフトウェアを実行し、そのパワーを評価すると共に、業務用ネットワークとVMotionネットワークの共有が仮想マシンの性能に与える影響を検証しました。

   その結果、たとえ、一般的なVMotion運用よりはるかに多くのVMotion処理(たとえば負荷分散、フォルトトレランス、定期メンテナンスなど)を発生させても、仮想マシンのアプリケーション性能にはほとんど影響を与えず、快適に運用できることがわかりました。

はじめに

   Dell PowerEdge 1855は、高さ7U(約31cm、12.25インチ)のシャーシに入れて使うブレードサーバ。シャーシ1台につき、最大10台のブレードが収納できます。この高性能・高密度でコストパフォーマンスに優れたプラットフォームは、「スケールアウト」型のサーバファームを構築するのに向いています(スケールアウト=システム台数を増やしていく拡張法)。このようなサーバファームで威力を発揮するのが、VMware社のESX Serverソフトウェアです。

   1台の物理サーバで、複数の仮想マシン(VM)をインストールすることができます。VMwareは、ESX Serverホスト・ファーム用の管理ソフトウェア「VirtualCenter」や、ESX Serverホスト上のVMを別のホストに稼動させたまま移動することのできる「VMotion」など豊富な機能を提供しています。PowerEdge1855ブレード上でこれらのVMwareソフトウェアを活用すれば、サーバ・アプリケーションのホストに優れたプラットフォームとなります。エンタープライズのデータセンタにとって特に有用なのが、ESX Serverホスト間で稼動中のVMを移動できるVMotion機能。

   たとえば、ESX ServerファームでVMの動的な負荷分散を実行したり、障害が差し迫るESX ServerホストからVMを移動させて事前にフェイルオーバーを実行したり、稼動中の全VMを別のESX Serverホストに移し、元のホストをダウンさせて定期メンテナンスを行うなど、さまざまな用途に活躍します。いずれの用途でも、VMotionの実行中は、VM上でアプリケーションを利用しているユーザに性能低下などの悪影響を与えないことが望まれます。

   Each PowerEdge 1855ブレードサーバには、2個のオンボードGigabit Ethernet(GbE)コントローラを標準搭載しています。これらは、ブレード・シャーシの回路を通じて、シャーシ背面にある2個のGbEスイッチか、パススルーモジュールに接続されます。さらに、各ブレードサーバで、オプションのデュアルポート・ドーターカードも利用可能。これで、Ethernetポートを増やしたり、ファイバチャネルや赤外線などのI/Oインタフェースを追加したりすることができます。

   VMwareでVMotionを使用するには、ブレードを外部のDell|EMCストレージ・エリア・ネットワーク(SAN)に接続する必要があるため、ドーターカード・スロットにはファイバチャネル(FC)ドーターカードをインストールすることになります。したがって、VMwareでVMotionをセットアップする場合、PowerEdge1855ブレードサーバのGbEネットワーク接続は、2個までに限定されます。

   今回のテストの目的は、ネットワーク接続が2個に限られたPowerEdge 1855ブレードがESX Serverのホスト・マシンとして活用できるか、また、典型的なVMware処理を実行したとき、性能上に何らかの影響が出ないか評価することにありました。PowerEdge 1855の2個のネットワーク接続を使ったESX Serverのさまざまな構成例は、デルのホワイトペーパ「Dell PowerEdgeブレード・サーバを対象としたVMware ESX Server 2.5.1の導入」をご参照ください。

Dell PowerEdge ブレード・サーバを対象としたVMware ESX Server 2.5.1の導入
http://www.dell.com/downloads/global/solutions/vmware_deployment_blades.pdf

   今回のテストで採用したのは、最もシンプルな構成方法です。すなわち、1つ目のNICをESXサービス・コンソール用に割り当て、2つ目のNICをVMとVMotion用に割り当てました。よって、2つ目のNICは、ブレード間でVMを移動するVMotionトラフィックと、ブレード上で稼動するVMトラフィックの両方を処理します。言い換えれば、VMから発生するネットワーク・トラフィックと、VMotion処理用のネットワーク・トラフィックが1つのNICのバンド幅をめぐって競合することになります。

   本テストでは、2基のPowerEdge 1855ブレード上で計20台のVMを稼動し、一定のデータベース負荷をかけました。そして、ブレード間を移動させるVM数を徐々に増やしていったところ、10分間に20台すべてのVMを移動させた過酷なテストでさえ、良好な性能が維持できることがわかりました。

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デル株式会社
著者プロフィール
著者:デル株式会社
デルはスケーラブル・エンタープライズ戦略の重要な要素の1つとして、VMware社の仮想化技術を用いたサーバ統合ソリューションを提供しています。業界標準技術を採用した、デルのPowerEdgeサーバとDell | EMCストレージから構成されるハードウェアプラットフォームと、仮想化ソフトウェア「VMware ESX Server」、仮想マシン管理ツール「VirtualCenter」、仮想マシンの無停止マイグレーション技術「VMotion」を組み合わせることにより、柔軟でコストパフォーマンスに優れるサーバインフラストラクチャが構築可能です。

http://www.dell.com/jp/


INDEX
第7回:Dell PowerEdge 1855ブレードサーバのVMware VMotion性能
今回の概要
  ブレードサーバ・ソリューション
  ESX Serverの最適化
  テスト結果
VMware ESX Server サーバ統合ガイド
第1回 VMware関連基礎用語
第2回 仮想化環境の設計と物理サーバから仮想マシンへの移行方法
第3回 サーバの構成
第4回 インストール時の注意点とチューニングポイント
第5回 SANブート
第6回 ブレード・サーバへの導入
第7回 Dell PowerEdge 1855ブレードサーバのVMware VMotion性能
第8回 ブレードサーバで構築するVMware ESX ServerのVLANネットワーク
第9回 VMware ESX Serverの性能〜ベンチマークテスト
第10回 ブレードサーバのLAMP性能特性とサイジング(前編)
第11回 ブレードサーバのLAMP性能特性とサイジング(後編)
第12回 メール・プロトコル環境における仮想CPU(導入編)
第13回 メール・プロトコル環境における仮想CPU(仮想化CPU機能編)
第14回 メール・プロトコル環境における仮想CPU(リソース管理編)
第15回 デュアルコア・サーバによるVMware ESX Serverの性能向上

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