第10回:ブレードサーバのLAMP性能特性とサイジング(前編) (1/4)

VMware ESX Server サーバ統合ガイド
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第10回:ブレードサーバのLAMP性能特性とサイジング(前編)

著者:デル   2006/8/31
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概要

   今回は、VMware ESX Server 2.5.1を稼動するDell PowerEdge 1855ブレードサーバで実施した性能評価およびサイジング・テストの結果と考察について説明します。

   デルのスケーラブル・エンタープライズ・チームは、仮想化したLAMP(Linux、Apache、MySQL、PHP)環境で、OLTP(オンライン・トランザクション処理)ワークロードを発生させるシミュレーション・テストを実施しました。

   システムエンジニアやIT設計者の方は、LAMPの典型的なトランザクション負荷がかかるESX Server環境を対象に、VMの最適な構成法やホストするVM(仮想マシン)数を決めるとき、または、処理量と仮想マシン数を増やしてシステムの活用率を上げるとき、本連載の分析内容が参考になります。


今回のテストからわかったこと

   今回行ったテストによって、明らかになったことを表1にまとめます。

  • 1台のESX Serverシステムで3台のVMを稼動すると、2台のVMを稼動したときよりサポートできるOPM(1分あたりの受注処理件数)が25%向上します。また、CPU利用率を22%上げることで、スループットが25%増えます。

  • ハイパースレッディングは、OPMの向上に有効です。これは、ESX Serverシステムが、ハイパースレッディングを通して4基に増えたLCPU(論理CPU)を活用し、VMに割り当てた仮想CPUに、より多くのCPUサイクルが提供できるからです。

  • CPUのL2(2次)キャッシュ容量が増えると、ESX ServerホストのCPU利用率を最大20%下げることができます。これにより、もう1台の仮想マシンをホストするリソース上の余裕が生まれ、ひいては、ESX Serverホストの活用率も向上できます。

表1:今回のテストのまとめ

   それでは、詳細について解説していきます。


はじめに

   LAMP(Linux、Apache、MySQL、PHP)は、オープンソース・コミュニティから提供されるWebプラットフォームとして定評があります。最近では、オペレーティング・システムを変更せず、そのまま「ゲストOS」として仮想マシン(VM)内で稼動させ、これをVMware ESX Server上で管理するという運用形態が注目を集めており、採用も広がっています。

   小〜中規模なエンタープライズがWebベースのアプリケーション開発をホストする場合、VM上でオープンソースのLAMPスタックを実行すれば、強力で堅牢なプラットフォームとなります。また、仮想プラットフォームは柔軟性が高いので、サーバのコンソリデーションや災害復旧の強化も容易になり、価格性能比の面からも有利になります。

   デルのスケーラブル・エンタープライズ・チームは、このような仮想化のメリットを詳しく調べるため、Dell PowerEdge 1855ブレードサーバを使用し、ESX Server 2.5.1がホストするVMの性能評価とサイジング・テストを実施しました。

   OLTPワークロード向けのテスト環境は、LAMPスタックの各コンポーネント、PowerEdge 1855サーバ、Dell|EMCストレージを使って構成しました。負荷の生成には、デルが開発したDVDのオンラインショップ用アプリケーション、「Online DVD Store」(注1)を利用しました。VMとESX Severの活用率を上げるため、LAMP VMあたりのOLTPワークロード(処理量)を増やしながら、ESX Serverホスト上で実行するVM数も徐々に増やしていきました。

注1: 「Online DVD Store」ツールは、デルが開発したオンライン電子商取引用テスト・アプリケーションです。このアプリケーションには、データベース・コンポーネント、Webアプリケーション・レイヤ、マルチスレッド駆動プログラムが含まれ、オンライン・トランザクション処理(OLTP)を発生させます。このアプリケーションは、以下のURLからダウンロードすることができます。
http://linux.dell.com/dvdstore/

   それぞれにOLTPワークロードをかけたVMを複数同時に実行することで、Dell PowerEdge 1855ブレードサーバ上のESX Serverは、処理量の増加に対応できるだけでなく、物理サーバとストレージ・リソースを効率的に活用できることが確認されました。

   本連載は、性能評価およびサイジング・テストの結果やその分析からわかったことをご紹介しています。システムエンジニアやIT設計者の方が、仮想マシンの活用率を改善するときや処理性能を上げるときは、本連載の内容が参考になります。

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デル株式会社
著者プロフィール
著者:デル株式会社
デルはスケーラブル・エンタープライズ戦略の重要な要素の1つとして、VMware社の仮想化技術を用いたサーバ統合ソリューションを提供しています。業界標準技術を採用した、デルのPowerEdgeサーバとDell | EMCストレージから構成されるハードウェアプラットフォームと、仮想化ソフトウェア「VMware ESX Server」、仮想マシン管理ツール「VirtualCenter」、仮想マシンの無停止マイグレーション技術「VMotion」を組み合わせることにより、柔軟でコストパフォーマンスに優れるサーバインフラストラクチャが構築可能です。

http://www.dell.com/jp/


INDEX
第10回:ブレードサーバのLAMP性能特性とサイジング(前編)
概要
  各コンポーネントの構成
  MySQLとPHPのインストール
  LAMPスタックの構成
VMware ESX Server サーバ統合ガイド
第1回 VMware関連基礎用語
第2回 仮想化環境の設計と物理サーバから仮想マシンへの移行方法
第3回 サーバの構成
第4回 インストール時の注意点とチューニングポイント
第5回 SANブート
第6回 ブレード・サーバへの導入
第7回 Dell PowerEdge 1855ブレードサーバのVMware VMotion性能
第8回 ブレードサーバで構築するVMware ESX ServerのVLANネットワーク
第9回 VMware ESX Serverの性能〜ベンチマークテスト
第10回 ブレードサーバのLAMP性能特性とサイジング(前編)
第11回 ブレードサーバのLAMP性能特性とサイジング(後編)
第12回 メール・プロトコル環境における仮想CPU(導入編)
第13回 メール・プロトコル環境における仮想CPU(仮想化CPU機能編)
第14回 メール・プロトコル環境における仮想CPU(リソース管理編)
第15回 デュアルコア・サーバによるVMware ESX Serverの性能向上

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