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オープンソースの適用可能性を示す |
第13回:クライアントのOSとしてLinuxを検証する
著者:イーシステム 芝 国雄 2006/7/19
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導入のポイントはLinuxクライアントの管理
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ただし、クライアントOSとしてLinuxを使う際に注意すべき点もある。
それは、業務で使用しているLinuxクライアントの管理だ。
現在のWindowsでは、プリンタのセットアップやフォントのインストールなどは、専門の知識を持った技術者でなくても、簡単にできるように配慮されている。だが、Linuxにフォントをインストールする作業は、専門の技術者でないと難しいかも知れない。UNIXを扱ったことのある技術者であれば、それほど困難ではないが、Windowsしか扱ったことのない場合は、マニュアルやインターネットで情報収集をしながら、試行錯誤を繰り返すことになるかも知れない。
そういった場合には、初めはLinuxベンダの開催しているトレーニングコースに参加してほしい。理由は、トレーニングコースに参加することで得られる情報は、自ら1人で収集するそれよりはるかに多く、その質も高いからだ。
具体的には、一般的なシステムの管理方法や、誰もが陥りやすいトラブルの具体的な解決方法、何か問題が発生した際の問題の切り分け方など、近い将来、必要となる有益な情報を収集できるわけだ。
OSSを使う場合、何か問題が発生すれば、最終的に頼るのは自分しかいない。そのため、問題解決のためのノウハウやコツを自ら習得していく必要があるのだ。
ここで1つ、業務で使用している端末で何か問題が発生しても、業務に影響させないコツを伝授しよう。
それは、当該業務に使うソフトやネットワーク接続などの最低限必要な設定を施した、代替機を用意することだ。無償のOSSであれば、ライセンス上の問題は気にしなくてよい。また問題が発生した時に、情報を収集できるWebサイトやメーリングリストをあらかじめリストアップしておくことで、問題解決までの時間を短縮できるだろう。
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PCのシステム障害からOSSのすばらしさを再確認
筆者は普段、2台のノート型PCと4台のデスクトップ型PCを使って業務をこなしている。OSはWindowsとLinuxだ。先日、毎日のように数十通送られてくるスパムメールを処理しようと、インターネットでフィルタリングソフトを探していた。
有償・無償は問わなかったのだが、海外のフリーウェアを集めたWebサイトで、なかなか良さそうなソフトを見つけた。ソフトの機能を紹介しているページには、とても綺麗なスクリーンショットがあった。無償で使えるのははじめの2週間で、継続して使うためには数十ドル支払う必要がある。当該製品専用のWebサイトもあり、ダウンロードの数は数十万と、人気のフリーウェアのようだった。
早速ダウンロードし、念のため、仕事以外で使っているPCにインストールしてみた。すると、フィルタリング機能が高性能なことに驚かされた。9割以上のスパムメールは、受信時にこのソフトによって自動的に特定のフォルダに振り分けられた。まるで「仕分け係り」がいるようで、本当に感動ものだった。
ところが数時間してから、そのPCの動きが遅いことに気付いた。メールの受信に時間がかかるのであれば、仕方ないが、まったく関係ないところでも遅いので、色々と調査してみた。もしかすると、スパイウェアが紛れていたのかも知れないと、ダウンロードしたフィルタリングソフトを疑ったが、結局原因は不明だった。そこで仕方なく、OSを再インストールすることにした。
この時もし、このフィルタリングソフトがOSSであれば、スパイウェアや悪質なコードが含まれていないか確認することも、高機能なフィルタリングのロジックの中味を見ることができたかも知れないと考えた。
改めて、OSSのすばらしさを実感した瞬間だった。
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著者プロフィール
イーシステム株式会社 芝 国雄
グプタ事業部 部長
1995年、日本グプタ(現イーシステム)入社。米グプタ社製品の統合開発ツールの「Team Developer」、RDBMSの「SQLBase」といった製品の日本語化をはじめ技術支援や販売、マーケティング業務に従事。主に、ユーザ企業のシステム開発の現場で、システムの設計に関わる事前調査や助言などの上流工程から、プログラミング時のトラブルシューティングまで、幅広く支援していた。2000年4月、携帯電話を活用したワイヤレスソリューション事業の立ち上げに従事。2001年、グプタ事業に専念し、現在に至る。
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