TOP調査レポート> 当初のPostgreSQLは性能や安定性が不十分
オープンソースの適用可能性を示す
オープンソースの適用可能性を示す

第7回:PostgreSQLを使い切るためのノウハウを徹底解説する その1
著者:SRA OSS  石井 達夫   2006/5/11
1   2  3  次のページ
当初のPostgreSQLは性能や安定性が不十分

   オープンソースソフトウェア(OSS)は、すでに企業で本格的な活用段階に入っている。一時盛んだったOSSのコスト論議やライセンス、法的な問題の議論は出尽くしたようだ。

   これまでOSSは一括りで議論されてきたが、ここから先は個別のOSSに関する議論を深める段階に入ったと見てよいだろう。

   今回から2回にわたり、筆者が長年にわたって関わってきたOSSDBの「PostgreSQL」を例にとって、OSSをよりよく活用するにはどうしたらよいかを考えてみたい。

   「ポストグレス」「ポストグレスキューエル」などと発音されるPostgreSQLは、元々は1980年代に米国カリフォルニア大学バークレー校(UCB)で開発された。当初からソースが公開されて無償で利用できたため、特に研究開発の現場で広く使われてきた。

   当時は問合わせ言語がSQLでなく、性能や安定性の点で今一つだった。それが1996年にインターネット上の開発コミュニティ(http://www.postgresql.org)に引き継がれてからは、SQLが使えるようになり、飛躍的に性能や機能が向上。その結果、特に日本のOSSDBの中では圧倒的なシェアと人気を誇るようになった。

   1999年に入ると、本格的なユーザコミュニティが成立した(日本PostgreSQLユーザ会)。また、商用サポートも提供されることで(http://www.sraoss.co.jp)、OSSDBとしての地位が揺るぎないものになった。

日本PostgreSQLユーザ会
http://www.postgresql.jp

   PostgreSQLは、以下のような特徴を持っている。

SQL言語のサポート
SQL92の大部分と、SQL2003の一部をサポートしている。

稼働するプラットフォームが豊富
Linuxをはじめ、FeeBSDやSolarisなどのUNIX上で稼働するのをはじめ、Windows上でも使える。また、64bit環境もサポートしている。

様々なAPIをサポート
CやJava、PHP、Perlをはじめ、ほとんどの言語インタフェースを備える。

多言語をサポート
日本語をはじめ、各国の言語を扱うことができる。

大規模利用にも耐える
数Gバイトから数テラバイトまでのDBでの利用実績がある。同時に200以上のユーザ/セッションを利用できる。

システムの異常停止やディスク破壊に耐える
トランザクションログやアーカイブログ機能を備え、システムの異常停止やディスク破壊に耐える強固なデータ保全が可能。

トランザクションの並列実行性を向上
行ロックや読み取り一貫性といったトランザクションの並列実行性を高める機能を搭載。

ユーザによる拡張が可能
関数やデータ型、さらには任意のプログラミング言語によるストアドプロシージャまで追加できる。その際、PostgreSQLのリコンパイルが不必要で、かつDBの運用を停止する必要がない。

OSSであり、無償で利用可能
BSDライセンスなので、商用利用も含めて無制限に使える。改造したPostgreSQLを商用ソフトとして販売することも可能だ。

表1:PostgreSQLの特徴

   以上のように、PostgreSQLは商用DBにも匹敵する機能と性能を備えている。事実、ミッションクリティカルな業務にも広く使われている。

1   2  3  次のページ

SRA OSS 石井 達夫
著者プロフィール
SRA OSS,Inc.  石井 達夫
SRAを経て、現在はSRA OSS,Incの日本支社長として、日本でのOSSビジネスを推進する立場にある。個人的にもPostgreSQLの開発、普及活動に取り組んでおり、名実ともにPostgreSQLを最強OSSDBにするのが夢。主な著書は「PostgreSQL完全攻略ガイド」など。

INDEX
第7回:PostgreSQLを使い切るためのノウハウを徹底解説する その1
当初のPostgreSQLは性能や安定性が不十分
  バージョン8.1では2フェーズ・コミットを実装
  PostgreSQL技術者認定試験(PostgreSQLCE)