第4回:OSSはビジネスになるのか?「魔法のお鍋」を読み直す その2 (2/3)

オープンソースの適用可能性を示す
オープンソースの適用可能性を示す

第4回:OSSはビジネスになるのか?「魔法のお鍋」を読み直す その2
著者:ニユートーキヨー  湯澤 一比古   2006/4/4
前のページ  1  2   3  次のページ
アクセサリーモデルで成功を収めたオライリー出版

   セルベッサのマスコットはペンギンで、これは実はテンアートニのものだ。リナックスのマスコットを、オープンソースの象徴として借りてきている。

   そのペンギンにビールを持たせてみた(図2)。このイラストはセルベッサの普及のためということで、何度かパンフレットにも使わせてもらっている。拙著「オープンソースじゃなきゃ駄目」の表紙にも使わせてもらった。テンアートニは、このイラストをラベルにしたトンカツソースをノベルティーで配ったこともある。
セルベッサのキャラクター
図2:セルベッサのキャラクター

   これらのマスコットを使ったティーシャツやビヤマグ、キーホルダーなど商品価値を探るのが、このビジネスモデルだ。もし余裕があれば、オープンソースを発表する度に、マスコットやお洒落なロゴをデザインしておくとよいだろう。優れたソフトを公開し、多くの人に使ってもらえるようになれば、アクセサリーが売れる可能性もある。


フリー化を視野に入れながら

   ソフトを販売するモデルソフトを販売する立場にあれば、前もって不良在庫を持たない工夫をしておける。販売予定のソフトが激しい競争にさらされると予想されたり、市場生命が極めて短そうならば、「将来的にオープンソースにする」と発売当初から宣言してしまうのは、悪くない作戦だ。後発組が対抗商品を開発する意欲を挫くことができる。また、公開にあわせてコミュニティを組織できれば、サポートにかかる費用を抑制できる。

   だがレイモンドは、このモデルはそれ程楽しいものではないという。ソフト開発初期という大切な時期に、開発に協力してくれる仲間を増やせないのだ。

前のページ  1  2   3  次のページ

株式会社ニユートーキヨー 湯澤 一比古
著者プロフィール
株式会社ニユートーキヨー  湯澤 一比古
財務部情報システム室 室長。53年東京生まれ。
75年にニユートーキヨーに入社。8年弱のウエイター経験を経て、システム担当に就任。ニユートーキヨーが「セルベッサ」をオープンソースとして発表した時に、システム担当者として初めてOSSに触れる。現在、同社のシステム室長。OSCARアライアンス、OSSAJなど、複数のオープンソース推進団体に参加。セルベッサ以外にも「ガラガラドア」や「オルット」などのオープンソースシステムを手がけている。


INDEX
第4回:OSSはビジネスになるのか?「魔法のお鍋」を読み直す その2
  オープンソースに対する疑問と回答
アクセサリーモデルで成功を収めたオライリー出版
  ソフトはフリーにしながら
オープンソースの適用可能性を示す
第1回 ユーザ企業におけるOSS浸透のカギはメインフレーム世代のSE
第2回 DB管理ツールを例にOSSの現在の実力を診断する
第3回 OSSはビジネスになるのか?「魔法のお鍋」を読み直す その1
第4回 OSSはビジネスになるのか?「魔法のお鍋」を読み直す その2
第5回 OSSはビジネスになるのか?「魔法のお鍋」を読み直す その3
第6回 OSSはビジネスになるのか?「魔法のお鍋」を読み直す その4
第7回 PostgreSQLを使い切るためのノウハウを徹底解説する その1
第8回 PostgreSQLを使い切るためのノウハウを徹底解説する その2
第9回 PostgreSQL vs MySQL2つのDBMSを検証する(前編)
第10回 PostgreSQL vs MySQL2つのDBMSを検証する(後編)
第11回 OSSのプロがいなくても大丈夫!必要なソフトの情報はこうして探す(前編)
第12回 OSSのプロがいなくても大丈夫!必要なソフトの情報はこうして探す(後編)
第13回 クライアントのOSとしてLinuxを検証する
第14回 バッファオーバーフローとサーバ側のセキュリティ対策を考える

人気記事トップ10

人気記事ランキングをもっと見る