第9回:PostgreSQL vs MySQL2つのDBMSを検証する(前編) (3/3)

オープンソースの適用可能性を示す
オープンソースの適用可能性を示す

第9回:PostgreSQL vs MySQL2つのDBMSを検証する(前編)
著者:イーシステム  芝 国雄   2006/5/24
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バージョン5.0では機能が豊富

   バージョン5.0よりも前のMySQLには、ストアードプロシージャやトリガーといった、他のDBには標準的に実装されている機能がなかった。そのため、採用を見送ったユーザも多いだろう。ただし、商用・OSSを問わず、標準で実装されているストアードプロシージャだが、筆者はなるべく使わないようにしている。使うのは、ストアドプロシージャによって、開発工数が劇的に削減できる場合と処理性能が劇的に向上する場合だけだ。

   また、システムの規模に関係なく、DBをチューニングすることで処理速度がまったく異なる。重要なことは、DBのチューニングやテーブルの定義、SQLコマンドの記述を適切に実施することだ。これは、商用のDBであっても同じことがいえる。どんなに優れたDBやハードウェアを使っても、間違ったSQLコマンドを使っては何にもならない。


バックアップの手順書を運用マニュアルとともに用意

   次に、DBのデータのバックアップと、リカバリーについて触れておきたい。

   システム開発が終了に近づき、運用に入る前には、DBはコールドバックアップ(オフラインバックアップ)を行う。そして、システムの運用が始まってからは、ホットバックアップ(オンラインバックアップ)を使う。

   バックアップの運用計画は、システムの運用形態に依存するので、OSSに限った話ではない。重要なのは、手順書を作成して運用マニュアルとともに保管しておくことだ。そうすれば、障害が発生しても、所定の時間内にDBを復旧でき、またDBを定められた時点の状態に戻すことが容易になる。

   加えてリカバリー作業は、事前に経験しておいた方がよいだろう。バックアップは、ほとんどのユーザが運用開始前にテストするが、リカバリーについては、おろそかにされることが少なくないからだ。また、バックアップしたファイルの保存は、DBサーバ以外にすべきだ。DBサーバのディスクが壊れてしまったら、DBだけでなくバックアップファイルまで失うことになるからだ。


次回は

   既に、OSSのデータベースは業務システムにも十分対応できるものであることがわかっただろうか。次回は、トラブル時の対応の仕方を説明するとともに、商用RDBMSの無償版からOSSのRDBMSの動向をみる。

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イーシステム株式会社 芝 国雄
著者プロフィール
イーシステム株式会社  芝 国雄
グプタ事業部 部長
95年、日本グプタ(現イーシステム)入社。米グプタ社製品の統合開発ツールの「Team Developer」、RDBMSの「SQLBase」といった製品の日本語化をはじめ技術支援や販売、マーケティング業務に従事。主に、ユーザ企業のシステム開発の現場で、システムの設計に関わる事前調査や助言などの上流工程から、プログラミング時のトラブルシューティングまで、幅広く支援していた。2000年4月、携帯電話を活用したワイヤレスソリューション事業の立ち上げに従事。2001年、グプタ事業に専念し、現在に至る。

INDEX
第9回:PostgreSQL vs MySQL2つのDBMSを検証する(前編)
  はじめに
  バージョンアップにともなう変化
バージョン5.0では機能が豊富
オープンソースの適用可能性を示す
第1回 ユーザ企業におけるOSS浸透のカギはメインフレーム世代のSE
第2回 DB管理ツールを例にOSSの現在の実力を診断する
第3回 OSSはビジネスになるのか?「魔法のお鍋」を読み直す その1
第4回 OSSはビジネスになるのか?「魔法のお鍋」を読み直す その2
第5回 OSSはビジネスになるのか?「魔法のお鍋」を読み直す その3
第6回 OSSはビジネスになるのか?「魔法のお鍋」を読み直す その4
第7回 PostgreSQLを使い切るためのノウハウを徹底解説する その1
第8回 PostgreSQLを使い切るためのノウハウを徹底解説する その2
第9回 PostgreSQL vs MySQL2つのDBMSを検証する(前編)
第10回 PostgreSQL vs MySQL2つのDBMSを検証する(後編)
第11回 OSSのプロがいなくても大丈夫!必要なソフトの情報はこうして探す(前編)
第12回 OSSのプロがいなくても大丈夫!必要なソフトの情報はこうして探す(後編)
第13回 クライアントのOSとしてLinuxを検証する
第14回 バッファオーバーフローとサーバ側のセキュリティ対策を考える

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