第2回:アプリケーションサーバの稼働OSはWindowsの比率高まる (3/3)

ミドルウェア市場動向
ミドルウェア市場動向と今後の展望

第2回:アプリケーションサーバの稼働OSはWindowsの比率高まる
著者:矢野経済研究所  入谷 光浩   2006/7/25
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ベンダ別出荷動向

   図4は2005年におけるアプリケーションサーバのライセンス売上高のベンダ別シェアを示したものである。
アプリケーションサーバライセンス売上高ベンダ別シェア(2005年)
図4:アプリケーションサーバライセンス売上高ベンダ別シェア(2005年)

   2005年のベンダ別のシェアはIBMが24%を獲得してトップとなった。IBMはアプリケーションサーバをはじめ、メッセージングミドルウェア、ポータルサーバ、ワークフローなどの開発基盤製品をWebSphereブランドにまとめて、製品の統一感を持たせた。その結果、各製品の相乗効果が発揮されWebSphere全体の売上が拡大しており、その中核となるアプリケーションサーバの売上も拡大しているのだ。

   シェア18%を獲得して2位につけているのはInterstageを販売している富士通、さらに16.8%でCosminexusの日立製作所が3位につけている。両社ともデータベースからミドルウェア、業務パッケージまで揃えており、総合的なSIソリューションの中で自社のアプリケーションサーバを採用し、堅調なビジネスを行っている。また自社や系列会社のSIのERPや業務パッケージに組み込んでいることも強みとなっており、上位を堅持している。

   国産ベンダ2社のすぐ後につけているのはWebLogicを販売しているBEAシステムズだ。同社はSOAを強く提唱しており、SOAを提案していく中で自社製品のシェアを拡大していく方針を打ち出しているのが特徴で、SOAの普及にともなってシェアを伸ばしていくと考えられる。

   下位グループはNECと日本オラクルだ。NECは2004年の9.8%から1.4ポイントアップの11.2%にシェアを大きく拡大している。同社は自社ユーザへの出荷が好調であり、高い成長を続けている。日本オラクルは「Fusion Middleware」というコンセプトのもと、ミドルウェアの拡販に注力している。


今後の展望

   Javaによるシステム構築が増える中、Java2EE(J2EE)に準拠したアプリケーションサーバの出荷が増えているのが現状だ。アプリケーションサーバは単体で導入されるケースは少なく、ポータルサーバやメッセージングミドルウェアと一緒に開発基盤の中の1つとして導入される場合が多い。ただし、ミドルウェアの中で中核となるのはアプリケーションサーバであり、ミドルウェアの売上の多くを占めているのも確かだ。

   また、これまでミドルウェアはベストオブブリードで各製品を組み合わせるケースが多かった。しかし、コスト高や連携性の問題、運用の煩雑さが生じる場合が少なくない。そこで各ベンダはミドルウェアのライアップを揃えてブランドを統一し、製品の連携性を売りにSI案件の中で自社製品を積極的に使うようになった。IBM/富士通/日立製作所/NECはその総合力を武器に、ミドルウェアの拡販に注力し出荷を伸ばしている。

   日本オラクルは「Fusion Middleware」というコンセプトを掲げ、アプリケーションサーバを中心としたミドルウェア群に重点を置いている。RDBMSについてはいわずと知れたトップベンダであり、ERPについても自社のE-Business Suiteや買収したPeopleSoft、CRMではSiebelを買収し、業務系アプリケーションの拡充をはかっている。

   そのような中、データベースと業務アプリケーションの間をつなぐミドルウェアがあまり目立っていなかったが、これからはミドルウェア製品を強化することで、データベースからアプリケーションまでオラクルブランドで構築することを提案していき、総合的なソフトウェアの展開をはかっていく。


SOAへの期待

   最後にSOAについて触れておこう。2004年前半からSOAというコンセプトが盛んに取り上げられ、各ベンダもSOAに対応したミドルウェアを次々に投入している。特に現在はESBやBPMなどの開発が活発化している。

   アプリケーションサーバベンダとして印象が強かった日本BEAシステムズでは、早くからSOAに注力しており、アプリケーションサーバ製品群のWebLogicに加えてSOA対応製品群AquaLogicを発表、またESBの出荷を開始している。自社をSOAベンダと位置づけ、SOAの導入を提案していく中で自社のミドルウェア製品のシェアを拡大していく構えである。

   SOAによりミドルウェア市場が活性化することが期待されているが、まだ具体的なSOAの案件に結びついていないというのが現状だ。ただし、ユーザの興味は非常に強いと各ベンダが揃って述べており、SOAの案件は今後動きがありそうである。2005年は勉強フェーズであり、2006年から具体的に導入が進むと見ているベンダは多く、現在はそれに向けた製品の開発・拡充を行っている段階であるといえる。

   実際SOAの市場が立ち上がるのは2006年の半ばから2007年にかけてだと予想され、アプリケーションサーバを中心にミドルウェア市場に大きな波が来るだろう。


次回は

   今回はアプリケーションサーバの市場動向を紹介した。次回は統合運用管理ソフトの市場動向を紹介する。

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矢野経済研究所
著者プロフィール
株式会社矢野経済研究所  入谷 光浩
民間総合調査会社である矢野経済研究所のITリサーチ部門にて、サーバやミドルウェアを中心としたエンタープライズコンピューティングのリサーチを担当。近年はエンタープライズにおけるOSSの市場動向に着目しリサーチを行っている。


INDEX
第2回:アプリケーションサーバの稼働OSはWindowsの比率高まる
 アプリケーションサーバの市場動向調査の内容
 Windowsの比率高まる
ベンダ別出荷動向
ミドルウェア市場動向と今後の展望
第1回ライセンスからサービスビジネスへ移行するRDBMS市場
第2回アプリケーションサーバの稼働OSはWindowsの比率高まる
第3回セキュリティ管理機能の伸びが著しい統合運用管理ソフト

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