第9回:VMware ESX Serverの性能〜ベンチマークテスト (2/4)

VMware ESX Server サーバ統合ガイド
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第9回:VMware ESX Serverの性能〜ベンチマークテスト

著者:デル   2006/8/29
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Microsoft SQL Server 2000

   今回のテストで使用したSQL Server 2000の仮想マシンは、以前に実施した2回のテストと同じ仕様にしました。詳細は、「The Scalable Enterprise: VMWare ESX Server on theDell PowerEdge 6650」「The Scalable Enterprise: Price/Performance Benefits ofVMWare ESX Server on the Dell PowerEdge 6650 vs the IBM xSeries 445」をご参照ください。いずれも以下のURLから入手できます。

   SQL Server2000のVMには、OLTPデータベースが含まれ、簡単なインターネット・ショップのバックエンド・データベースをシミュレーションします。このデータベースは約1GBという小さなもので、開発やテストに使われるデータベースを想定しています。

   VMに負荷をかけるため、Cプログラムを作成しました。このプログラムは、データベースに接続して、ごくわずかなシンクタイム(入力と入力の間の待ち時間)を挟んだユーザ処理をシミュレーションします。

   シンクタイムをごく短時間にすることで、たとえ、実際のドライバ・システムは1台しかなくても、接続数を抑えたまま、あたかも多数のユーザが処理を行っているかのような重い負荷をかけることができます。

   この「短いシンクタイム」と「1台のドライバ・システム」を組み合わせて再現する負荷と接続パターンは、ミドルティア(中間層)アプリケーション・サーバをデータベースの接続プールとして使うときに見られるデータベースの利用パターンと似ています。

   SQL Server2000の各VMを実行するのは、シングル・スレッドのドライバ・アプリケーションで、シンクタイムは20ミリ秒に設定しています。


SuSE Linux LAMPを使ったDVDショップ

   VMwareを様々な局面からテストするため、また、VMware ESX ServerがLinux仮想マシンとWindows仮想マシンをサポートするという対応能力を確認するため、このテストではLinuxオペレーティングシステムを採用し、さらに、Apache Webサーバ、MySQLデータベース・サーバ、PHP Webアプリケーション言語を使ってDVDショップ用のデータベースとWebベースのアプリケーションを構築しました。

   通常LAMP(Linux/Apache/MySQL/PHPの略)と呼ばれるこのスタックは、すべて、オープンソースから入手できるコンポーネントを使用しています。このテストではスタックの全レイヤを1つのVMに収めていますが、Apache/PHP Webレイヤを別のVM(1つでも複数でも可)に移すことも容易です。

   また、MySQLのレプリケーション機能を使えば、MySQLデータベースをマスターVMだけでなく、1つ以上のスレーブVM上で実行することができます。

   このDVDショップは、外部キー、トランザクション、全文検索など、SQL ServerのVM用ワークロードには使われていないデータベース拡張機能が使用されています。これらの拡張機能はCPUのオーバーヘッドを増やすため、各注文でこのようなデータベース拡張機能が実行されると、1分あたりに処理できる合計注文数は減ります。

   LAMPスタックのドライバは、SQL Serverのテストで使われるドライバとは異なります。LAMPのドライバは、HTTPリクエストを出し、Apache/PHPレイヤから応答されたHTMLコードを受け取りますが、SQL Serverのドライバは、データベースと直接通信します。

   ただし、測定するパラメータは両方とも同じで、アプリケーションが1分あたりに処理する注文数の合計と、顧客(シミュレーションしたユーザ)に表示が返されるまでの平均応答時間を調べます。SuSE LAMPの各VMを実行するのはシングル・スレッドのドライバ・プログラムで、今回のテストでは、シンクタイムを30ミリ秒に設定しています。

   このLAMPスタックの詳細は、「MySQL Network and the Dell PowerEdge 2800:Capacity Sizing and Performance Tuning Guide for Transactional Applications」をご参照ください。この資料は、以下から入手できます。



NetBench 7.03

   「PC Magazine」誌から提供されているNetBench 7.03は、ファイルサーバ環境の負荷をシミュレーションするベンチマーク・ツールです。このベンチマークは、一連のファイルを作成した後、事前定義のスクリプトに従ってこれらのファイルにアクセスします。

   通常、NetBenchは、1台のサーバ上でクライアント・エンジン数を徐々に増やしながら実行していき、一定の接続数でどれくらいのスループット(MB/秒)が達成されるか測定します。

   今回のテストでは、ESX ServerがサポートできるVM数を測定するため、ESX ServerのCPU利用率が85%に到達するまで、VM数とクライアント・エンジン数を同じ割合で増やしていきました。

   NetBench 7.03と、これに添付されている標準のDiskMixスクリプトを使い、シンクタイムを0.6秒に設定して、各VMに2つのクライアント・エンジンを接続しました1。このテストは、ファイルサーバのコンソリデーションを再現しており、1台のESXサーバで何台のファイルサーバがホストできるか測定します。

   クライアント・エンジンを実行するドライバ・システムは、テストで使うすべてのVM にドライブを割り当てていきました。NetBenchテストのディレクトリ・パス用ファイルを変更して、後続のクライアント・エンジンが追加されるたびに、次のドライブ文字(すなわち、次のVM)が割り当てられるようにしました。


Exchange 2003とLoadSim 2003

   他のテスト同様、Exchange 2003テストの目的は、Outlookメール・ユーザの接続数を増やしてき、1台のESXシステムがいくつのExchange 2003 Server VMまでサポートできるか調べることにあります。

   LoadSim 2003は、Outlook MAPIベースのユーザ・プロファイルと処理パターンをシミュレーションすることで、典型的な企業メッセージング環境を再現します。LoadSim 2003は、一般的な営業日を想定したメッセージング負荷をかけて、バックエンドExchange 2003 Serverの処理能力を調べるのに有用なツールです。

   LoadSim 2003が生成するI/Oは、実際のOutlookユーザが行う処理を模倣しているため、Exchange 2003 Server VMのサブシステム(CPU、メモリ、ネットワーク、ディスクI/O)には、いずれも比較的重い負荷がランダムにかかります。

   このようにLoadSim 2003のワークロードは、ESXがホストする仮想化ハードウェアの全コンポーネントを使いながら負荷をかけるため、サポートするVM数を調べれば、ESXで仮想化した1台のPowerEdgeサーバに、何台のメッセージング・サーバがコンソリデーションできるか評価することができます。

   LoadSim 2003の詳細は、「MMB3 Comparative Analysis」をご参照ください。この資料は、次から入手できます。


   他の3種類のワークロードでは、小さなVMを多数使いましたが、Exchangeの場合は、大きなVMを少数使う方が、より現実に即しています。バックエンドのExchange 2003サーバで通常必要になるメモリやストレージ容量を考えると、小さなExchange VMを多数使うケースは稀であると思われ、この点が、多数のVMを使うファイルサーバ、小さなSQL Serverデータベース、LAMPスタック・アプリケーションと異なります。

   テストに大容量のディスク、RAM、高速なプロセッサが必要になる大きなVMを含めることで、多面的な検証も可能になります。

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デル株式会社
著者プロフィール
著者:デル株式会社
デルはスケーラブル・エンタープライズ戦略の重要な要素の1つとして、VMware社の仮想化技術を用いたサーバ統合ソリューションを提供しています。業界標準技術を採用した、デルのPowerEdgeサーバとDell | EMCストレージから構成されるハードウェアプラットフォームと、仮想化ソフトウェア「VMware ESX Server」、仮想マシン管理ツール「VirtualCenter」、仮想マシンの無停止マイグレーション技術「VMotion」を組み合わせることにより、柔軟でコストパフォーマンスに優れるサーバインフラストラクチャが構築可能です。

http://www.dell.com/jp/


INDEX
第9回:VMware ESX Serverの性能〜ベンチマークテスト
  はじめに
Microsoft SQL Server 2000
  PowerEdge 2850サーバ上のESX:ハードウェアの概要
  PowerEdge 6850サーバ上のESX:ハードウェアの概要
VMware ESX Server サーバ統合ガイド
第1回 VMware関連基礎用語
第2回 仮想化環境の設計と物理サーバから仮想マシンへの移行方法
第3回 サーバの構成
第4回 インストール時の注意点とチューニングポイント
第5回 SANブート
第6回 ブレード・サーバへの導入
第7回 Dell PowerEdge 1855ブレードサーバのVMware VMotion性能
第8回 ブレードサーバで構築するVMware ESX ServerのVLANネットワーク
第9回 VMware ESX Serverの性能〜ベンチマークテスト
第10回 ブレードサーバのLAMP性能特性とサイジング(前編)
第11回 ブレードサーバのLAMP性能特性とサイジング(後編)
第12回 メール・プロトコル環境における仮想CPU(導入編)
第13回 メール・プロトコル環境における仮想CPU(仮想化CPU機能編)
第14回 メール・プロトコル環境における仮想CPU(リソース管理編)
第15回 デュアルコア・サーバによるVMware ESX Serverの性能向上

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