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Linux/OSSの導入実態と今後の展望 |
第6回:ソフトウェアのLinux対応動向
著者:矢野経済研究所 入谷 光浩 2005/5/25
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自社サーバでLinuxソリューションを提供するベンダー
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サーバベンダーでもありミドルウェアベンダーでもある日本IBM、NEC、富士通、日立製作所では、ほとんどのミドルウェアについてLinux対応を行っている。自社サーバやミドルウェアで積極的にLinux対応を図り、WindowsやUNIX上で提供しているソリューションをLinux上で提供する体制を整えている。
日本IBMではデータベースであるDB2やアプリケーションサーバのWebSphereなど主要ミドルウェアはほとんど対応している。対応ディストリビューションはRed Hat Enterprise LinuxとSUSE LINUXである。SIerやISVに対してWeb上で対応状況や対応予定を公開しており、IBM製品を採用したLinuxシステムの構築を支援している。
図2:IBM製品のLinux対応に関するWebページ
NECではエンタープライズLinuxソリューションを実現するため対応を積極的に行っている。統合運用管理ソフトのWebSAMを中心にRed Hat Enterprise LinuxやMIRACLE LINUXに対応している。
2005年6月投入予定の基幹Linuxサーバ「PRIMEQUEST」を主力製品として大規模基幹Linuxシステムの構築を提案していきたい富士通も、データベースのSymfoware ServerやアプリケーションサーバのInterstage、統合運用管理ソフトのSystemwalkerなど主要ミドルウェアで対応を進めている。対応ディストリビューションはミッションクリティカル向けOSの共同開発を進めているRed Hat Enterprise Linuxである。
日立製作所もデータベースのHiRDBやミドルウェア製品群のJP1でRed Hat Enterprise Linuxへの対応を進めている。サーバやミドルウェアを用いたLinuxソリューション展開のために、まずは社内のLinuxスキルの向上を強化し、Linuxビジネスの売上拡大を目指す。
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Windows、UNIXと同じ土俵へ 〜 ERPのLinux対応
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SAP R/3、その後継のmySAP ERPで、ワールドワイドでERPの高いシェアを誇るSAPは、早くからLinuxに対応している。SAPのポリシーとして、OSやデータベースの制約を受けないアプリケーションの開発を推進しており、WindowsやUNIXと変わらずLinuxについても公平に対応を進めている。
対応ディストリビューションは、もともと同じドイツに本拠があったSUSE LINUXとRed Hat Enterprise Linuxである。1999年からはドイツにある本社でLinux Labを設立し、IHVやディストリビューションベンダーと共同で、SAP製品群のLinux対応のための研究開発を進めている。
中堅企業向けのERPを手がけている住商情報システム(ProActive)とSSJ(SuperStream)は、両社ともMIRACLE LINUXに対応している。基本的なプラットフォームにOracle Databaseを採用しているため、オラクル製品と親和性の高いMIRACLE LINUXを採用している。
自らが積極的にLinuxを推進していくということはないが、ユーザでLinuxの希望が出た場合にはスムーズに対応が可能で、Linux導入事例を積極的にアピールし、Linux未対応のERPベンダーとの差別化を図っていく。
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書籍紹介
「企業情報システムにおけるLinux/オープンソースソフトウェアの導入実態と今後の展望 2005」
本記事は矢野経済研究所より発刊されている「企業情報システムにおけるLinux/オープンソースソフトウェアの導入実態と今後の展望 2005」から抜粋し、加筆、修正を行ったものです。上記調査資料には、さらに詳しいデータや分析結果が記載されています。調査資料のご購入は下記のリンクより行えます。
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http://www.yano.co.jp/mrnew/2005/01/C46112400.html
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著者プロフィール
株式会社矢野経済研究所 入谷 光浩
民間総合調査会社である矢野経済研究所のITリサーチ部門にて、サーバやミドルウェアを中心としたエンタープライズコンピューティングのリサーチを担当。近年はエンタープライズにおけるOSSの市場動向に着目しリサーチを行っている。
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