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現場の業務カイゼンを最大限にはかれる日本型SOA
第1回:長年のSIノウハウと先端アークテクチャを融合した日立のSOA
株式会社日立製作所 林重年

株式会社 日立製作所 ソフトウェア事業部 第2ネットワークソフト設計部 部長   林 重年
1989年に日立製作所に入社。開発環境製品やオーサリングツールの開発に従事した後にデータベース製品「HiRDB」の企画・開発プロジェクトリーダーを務める。現在はJ2EEやSOAをはじめとするユニバーサルアプリケーションプラットフォーム「Cosminexus(コズミネクサス)」の企画・開発プロジェクトリーダーを務める。

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日立製作所ではCosminexusのサービスインテグレーション製品群を中核に、次世代アーキテクチャであるSOAを実現するための包括的なソリューションを提供している。本インタビューでは、日立が考えるSOAの在り方やその実装に向けたアプローチについて、日立製作所 ソフトウェア事業部 第2ネットワークソフト設計部 部長である林 重年氏に伺った。

— 日立製作所ではSOAをどう捉えていますか


林氏:企業を取り巻くビジネス環境が急速に変化する現在、変化に柔軟かつ迅速に対応できる情報システムが求められています。その要件を満たすシステムアーキテクチャとして注目を集めているのが、SOA(Service Oriented Architecture:サービス指向アーキテクチャ)なのです。SOAでは、ESB(Enterprise Service Bus)に「サービス」という業務に近い単位で標準技術を用いて連携することができるので、効率のよい柔軟なシステム連携を可能としています。

そうしたニーズの高まりを示すように、昨年あたりから「SOA対応」の製品やサービスのリリースも目立つようになってきました。しかし、その対応範囲や実装方法だけではなく、SOA自体の捉え方についてもベンダごとに異なっているのです。


— 日立製作所のSOAに対する取り組みを教えてください


林氏:日立製作所(以下、日立)では、企業のITインフラの現状を踏まえた上で課題を明らかにし、その解決のためにSIerとして長年培ってきたシステム構築・連携ノウハウとSOAの先端アーキテクチャとを融合することによって、変化に強いITインフラを実現しています。


— SOAの実現によって、業務システムが解決すべきことは何でしょうか


株式会社日立製作所 林重年 林氏:現状の業務システムが解決すべき課題は主に2つあります。1つ目の課題は「業務ごとに個別最適化されたシステムからの脱却(全体最適化)」です。個別最適のシステムのままでは業務間の情報のやり取りはユーザの努力(手作業)で対応しなければなりません。

2つ目の課題は「新製品やサービスの迅速な開発」および「ユーザの業務効率化に向けたシステムの生産性向上」です。

日立はシステムインテグレーターとしての豊富な経験を通じて、こうした課題を様々な現場で直接ユーザから吸収してきました。これらの課題を解決するために、日立では「インターフェース」「プロセス」「情報」という3つのレイヤの統合を実現したのです。


— 3つのレイヤの統合はどのように課題を解決するのですか


林氏:インターフェースの統合とは、ユーザが利用する複数の業務システムを1つのポータル画面からできるようにして業務のワンストップ化をはかることです。SOAの中核となるのがプロセス統合であり、プロセス統合はサービスをビジネスプロセスで統合します。そして、情報統合は社内に散在している情報を新規データベースの作成やシステムを変更することなく、一元化することができます。

3つのレイヤのシステム統合
図1:3つのレイヤのシステム統合
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

これらの統合アーキテクチャを具現化する製品が、日立のアプリケーションプラットフォーム「Cosminexus」なのです。Cosminexusでは以前から独自のノウハウでサービス指向を取り入れてきましたが、2006年春に出荷開始された最新バージョンではBPEL(注1)などの標準化技術を取り入れることにより、SOAへの対応を大幅に強化しました。

※注1: BPEL:Business Process Execution Languageの略。XMLベースのワークフロー記述言語であり、複数のWebサービスを連携させることで複雑なプロセスフローを定義することができる。


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INDEX
第1回:長年のSIノウハウと先端アークテクチャを融合した日立のSOA
日立製作所ではSOAをどう捉えていますか
  Cosminexus Version 7の機能について教えてください
  BPELによってすべてのビジネスプロセスを自動化することが可能なのですか