英語の発音が良くなる! おすすめ勉強法

2022年6月24日(金)
宮園 順光(みやぞの よりみつ)

はじめに

「ネイティブみたいな発音で、ペラペラな英語を話したい!」

英語を勉強する人は、きっと誰もが一度はそのように思ったことがあるのではないでしょうか。英語が第一言語である人達の人口より、英語を外国語として話す人口の方が断然多い今の時代、実際のところ「ネイティブのように発音できる」ことよりも、「情報を正しく相手に伝えられる」ことの方が大切であると言えます。

しかし、「ハリウッドの映画俳優のような発音で英語をペラペラ話したい」というのは、多くの学習者にとって夢や憧れであることに変わりはありません。大人になってから良くするのはとても難しいと言われる英語の発音ですが、発音を矯正するために有効な勉強方法があります。

1. 「ペラペラな英語」の発音に必要な3つのもの

ネイティブが話すような発音がきれいでリズム感のある、いわゆる「ペラペラな英語」を使えるようになるためには、主に次の3つが大切になります。

  1. しっかりとした英文を作るための知識
  2. 英語の発音の理解
  3. 英語の音の変化の理解

これらがどういったものか1つずつ見てみましょう。

1つ目のしっかりとした文を作るための知識は「文法」「単語」「表現」の知識を指します。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、どれだけ発音がきれいな英語を話したくても、そもそもアウトプットする文がしっかりしていなければ、スムーズな会話はできません。そのために必要なものが、主にこれら3つの知識、そしてそれらを知っているだけでなく、会話でも使えるという経験と自信です。これがまだ不十分と感じる方は、きれいな発音を意識しつつも、伝えたいことを正しく伝えるための知識と経験を増やすためにより多くの時間を割くようにしましょう。

2つ目の英語の発音の理解は、正しい英語の音の知識を持ち、それを再現できるようにするということです。ここで言う「正しい発音」とは、ネイティブと全く同じように発音できるという意味ではなく、発した音が相手に正しく伝わるという意味です。例えば、日本語の訛りが含まれていたとしても、Sという音が含まれる単語を言った場合、相手にそのSの音が含まれる単語が伝わるということが、ここでの「正しい発音」になります。

3つ目の英語の音の変化の理解は、発音を気にしている学習者でも、意外にその重要性に気付いていない方が多いものです。英語を聞いて、ゆっくりであれば聞き取れるけれど、普通の速度で話されると聞き取れないという経験をしたことはありませんか。

例えば「ワチョネー?」と言われたら頭の中には疑問符が飛び交うと思いますが、「ワッツ・ユア・ネーム?」と言われたら問題なく理解できますよね。ゆっくりであれば理解できるということは、内容理解の問題でも個別の音が聞き取れないという問題でもありません。原因は、英語特有の音の変化の知識、そしてそれを聞き取る経験が足りないことです。

1つ目の「しっかりとした英文を作るための知識」については、こちらの記事をご覧ください。今回は、2つ目の「英語の発音」と3つ目の「英語の音の変化」を良くするための勉強法を紹介します。

2. 日本人が苦手な音を言えるようにする勉強法

英語の発音には、日本人が苦手とするものが多数あります。どういったものがあると思いますか。恐らく多くの人達にとって天敵であるrをはじめ、fvsshthuなど、多くの音が思い浮かぶのではないでしょうか。

英語の音を正しく言えるようにするためには、理想としては英語が話せる人に指導、または確認してもらうことです。音を正しく出すためには、口の形や舌の動きが重要になるため、それを客観的に見て音を聞きながら教えてくれる人がいると断然改善速度は増します。

しかし、英会話学校やオンライン等でレッスンを受けていない限り、なかなかハードルは高いですよね。でも心配はいりません。もし誰もいなかったとしても、今から紹介する方法とやる気があれば、誰でも発音を良くすることができます。

それでは早速方法を見ていきましょう。学習を始める前に、音源(CD等)が付いているスクリプトを用意してください。これは今持っているスピーキング教材やTOEICの問題集等で問題はありません。

STEP 1:スクリプトの内容を確認する

発音だけ練習するのであれば、実は意味が分からなくても練習はできますが、折角練習するのであれば、意味を理解した上で練習した方が単語等の知識も増やしながら学習できます。

STEP 2:音源を聞いて、文字を目で、音を耳で確認する

一度では音の確認が十分にできないので、何度も繰り返し聞きましょう。その際に、しっかりとそれぞれの単語の綴りと音を入念に確認しましょう。簡単だと思う単語でも、意外に発音を間違って言っていることもあります。

STEP 3:録音しながらスクリプトを読む

自分で発音を矯正する際にとても重要なのは、客観的に自分の発音を聞くということです。最初は恥ずかしいと思うかもしれませんが、録音をしてみましょう。

STEP 4:自分の発音と音源を比較する

録音した自分の発音と音源の発音を比べてみましょう。これによって、自分の頭の中では正しく言えていると思っていた発音でも、実は違ったということに気付く可能性があります。

STEP 5:口の形や舌の動きを確認する

正しい発音を身につけるために重要なのは、口の形や舌の動きも真似するということです。これは耳だけで分かるものではありません。耳で音を聞くことに加え、口や舌の動きを目で確認する必要があります。そこでおすすめするのはYouTubeです。YouTubeには、こういった動きを説明する動画もあるので、活用してみてください。YouTubeが難しいという方は、動画が付いている市販の発音教材もあるので、そういったものを使って確認しましょう。

発音の矯正はとても時間がかかる作業なので、途中で諦めてしまう人も多くいます。しかし、これらのステップを習慣化して繰り返し行うことで、少しずつ「ペラペラな英語」に近づくことができます。

3. 英語独特の音の変化を使えるようにする勉強法

英語をペラペラに話せるようになるためには、英語の音を正しく言えることに加え、英語特有の音の変化にも対応できるようにする必要があります。

例えば、下記のような英文があるとします。

There’s a bug in your pocket.
 (あなたのポケットの中に虫がいます。)

この文に音の変化を加えて話した場合、下記のように聞こえます。

デルザ バッギンニョー ポケッ

カタカナなので少し分かり難い部分はありますが、こういった音の変化を理解して話す際に加えられると、目指している話し方に近づけます。

英語の音の変化には、下記の6つの種類があります。

  1. 連結
  2. 脱落
  3. 同化
  4. 変形(ら行化)
  5. 弱形
  6. 短縮

まずは、これらの音の変化がどういったものかを理解するところから始めましょう。こちらの記事では1~3について動画付きで説明しているので、確認してみてくださいね。

それでは、この音の変化を使えるようにするための勉強法を紹介していきます。用意するものはスクリプトと音源です。すでに紹介した「正しい発音の勉強法」を行う方は、同じものを使っても問題ありません。

STEP 1:スクリプトの意味を確認する

まずは使うスクリプトに書かれている内容を理解しましょう。分からない単語や表現があれば辞書で調べてみましょう。音の変化の練習でも、意味をしっかりと理解して練習することで「これはどういう意味なんだろう?」といった余計な疑問を持たずに音の変化の練習に集中できます。

STEP 2:音源を聞いて目でスクリプトを追う

次に、音源を聞きながら音の変化を耳で、文字を目で確認しましょう。どのような文字の組み合わせが、どういった音の変化につながるかしっかりと確認します。このステップは、一度でなく何度も繰り返し行い、音の変化が起こっている部分に気付けるようにしましょう。

STEP 3:音の変化をスクリプトに書き込む

実際に声に出して読む前に、音の変化がある箇所に印をつけましょう。これにより、声を出して練習する際に、そういった部分を見逃すことがなくなります。印をつける方法は、独自にルールを決めて問題ありません。例えば、下記のように音がつながる(連結する)部分に下線をつけたり、音が落ちる(脱落する)部分は( )や〇で囲ったりすると分かり易いでしょう。

There’s a bug in your pocke(t).

STEP 4:録音しながら音の変化を再現する

印を付けたら、次は実際に音の変化を再現するように声に出して練習しましょう。その際、録音することを忘れないようにしましょう。何度も繰り返し練習して、ある程度言えるようになったと感じた時点で録音します。全部を録音する必要はありません。また、最初から上手には言えないので、真似できないと思う部分があっても、それは当たり前だと思って練習しましょう。

STEP 5:録音と音源を比較し、繰り返し練習する

録音した自身の音声とCD等の音声を聞き比べてみましょう。客観的に言えている部分と言えていない部分が分かります。言えていない部分はスクリプトを確認して、どのように言えば良いのか再度確認し、「聞く」→「録音しながら読む」→「比較する」を繰り返し行います。

これらのステップは1日で終わりにするのではなく、同じものを何日も繰り返し行い、ある程度自分の中で納得がいくようになったら、新しいスクリプトに挑戦するようにしましょう。時間はかかりますが、少しずつ音の変化にも慣れてきます。

おわりに

ネイティブの話し方に近づきたい方は、ぜひ「英語の音」と「英語特有の音の変化」を意識しながら今回の勉強法を実践してみてください。ただし、発音を良くするには、勉強方法以外に時間と根気が必要です。発音は上達がとても分かり難いものでもありますが、努力を継続することで必ず発音は良くなるので、それを信じて頑張りましょう!

著者
宮園 順光(みやぞの よりみつ)
株式会社グローレン
株式会社グローレン 取締役。小学校〜高校卒業までをベルギーで過ごす。上智大学を卒業後、大手英会話スクールにて7年間教務主任として多くのクラスを担当。外国人講師の指導にも従事。マンツーマン英会話教室の代表を経て、2014年から現職にて語学プログラムの総監修を務める。これまで1万人以上にレッスンを提供。TOEIC990点、英検1級。

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