実践!ビジネス・プロセス・インテグレーション 1

O社のネット注文システム用ビジネスプロセス

O社のネット注文システム用ビジネスプロセス

O社のネット注文システムのうちビジネスプロセスを実行する部分は、図1のようなプロセスとして定義することができる。このビジネスプロセスの役割は主にO社に従来から存在するシステムである、注文管理システム、在庫管理システム、発送管理システム、そして社外のシステムのカード決済システムとのデータ連携を行い、注文受信から商品の発送までの一連の流れを1つのサービスとして処理する。

O社のネット注文システムのビジネスプロセス
図1:O社のネット注文システムのビジネスプロセス
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)


このビジネスプロセスの流れが、具体的にどのようなものかをステップごとに説明する。
 

  1. 顧客がWebブラウザなどからインターネット経由で注文情報を入力する。注文データの受信を受けて、プロセスサービスは注文処理プロセスを起動する
  2. プロセスサービスは購買部門にある注文管理システムに対して、注文データを入力パラメータとして「注文情報の入力処理」を呼び出す
  3. 注文データに基づいて、生産部門の在庫管理システムから「在庫の確認と更新処理」を呼び出す
  4. 合計金額をパラメータとして、社外のカード会社のカード決済システムに対して「カード決済処理」を呼び出す
  5. 4のカード決済処理の結果が成功だった場合は6の処理に進み、失敗だった場合はカード情報が無効であることのお知らせを顧客宛にメールで送付する
  6. プロセスサービスは社外の発送会社に対して商品発送の手配を行う。依頼された配送会社は手配を受け付け、現在の配送のキャパシティを元に実際の配送予定日を計算して返す
  7. プロセスサービスは配送会社から受け取った配送予定日を保持する。生産部門の業務担当者はその日付をチェックして、商品の発送可能状況と照らし合わせながら発送予定日の調整をする
  8. プロセスサービスは7の調整結果である発送予定日を顧客にメールで送付する
  9. プロセスサービスは注文の商品が発送予定日に発送できるように生産部門の発送管理システムに対して発送準備の手配を依頼する。発送管理システムは商品の発送準備を行い、発送会社に納品を行う。それが完了後、発送完了したことをプロセスサービスに対して通知する
  10. プロセスサービスは発送完了の通知を発送管理システムから受け取る
  11. プロセスサービスは顧客に対して発送完了のお知らせをメールで送付する
表2:ネット注文システムの処理フロー


以上のような、処理フローをビジネスプロセスとして実装することで、当該のネット注文システムのビジネスプロセス部分を実現することが可能になる。

ビジネスプロセスの実装

BPIの実装手順の一例としてあげたネット注文システム用ビジネスプロセスの開発手順を説明する。具体的な成果物の作成方法の例としては、BPI開発に対応したIBMの開発ツールであるIBM WebSphere Integration Developer Version 6.0(以下WID)を使用した場合の方法を紹介する。WIDはIBMのビジネスプロセス実行環境であるIBM WebSphere Process Server Version 6.0に対応した統合開発環境である。

システムの実装作業のステップを図2に示す。図2では一番左の列が設計作業の各ステップをあらわし、上から下へと作業を進めていく。中央の列は各設計作業で作成される仕様をあらわしており、一番右の列はその仕様に基づいて作成される成果物をあらわしている。

ビジネスプロセス設計ステップ
図2:ビジネスプロセス設計ステップ
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

今回は図2の成果物の列にあるBO定義(XSD)とインターフェース定義(WSDL)について説明する。

この記事をシェアしてください

人気記事トップ10

人気記事ランキングをもっと見る