Javaアプリケーションサーバのクラスタリング機能比較 9

JBossCache

JBossCache

先ほど、JBossはTomcatの機能を使わず独自の方法でHTTPセッションレプリケーションを実現すると述べましたが、それを実現するのが"JBossCache"です。

JBossCacheはトランザクションやノード間レプリケーションに対応したキャッシュ機構であり、単独でも活用できますがHTTPセッションレ プリケーションに関しては最初から組み込まれており、ユーザはJBossCacheを意識することなくレプリケーションを利用できます (JBossCacheもまた、通信基盤としてJGroupsを使用しています)。

HTTPセッションレプリケーションの細かい設定とチューニングを行いたい場合は以下のファイルを編集します。

  • jboss-web.xml
  • jbossweb-tomcat55.sar/META-INF/jboss-service.xml
  • tc5-cluster-service.xml
表4:HTTPセッションレプリケーションの設定ファイル

jboss-web.xml

"jboss-web.xml"は、"web.xml"と共にWARファイルの"WEB-INF"ディレクトリに収めるJBoss固有のDD(Deployment Descriptor)です。

「replication-config」要素の子要素として"replication-trigger"と"replication-granularity"が設定可能です。

replication-triggerの設定値

アプリケーションがHTTPセッションに対しどのような操作を行ったときに、レプリケーションを実行するかを決定します。設定できる値は以下の通りです。

SET
"setAttribute"メソッドが実行された場合のみ。
SET_AND_GET
"setAttribute"あるいは"getAttribute"メソッドが実行された場合。
SET_AND_NON_PRIMITIVE_GET
"setAttribute"メソッドが実行された場合と、"primitive"でないオブジェクトに"getAttribute"メソッドが実行された場合("primitive"とは、"String"のようにオブジェクトが変更されないもの)。
表5:replication-triggerの設定

デフォルト値は"SET_AND_NON_PRIMITIVE_GET"です。

 

replication-granularityの設定値

レプリケーションを行う粒度を決定します。設定できる値は以下の通りです。

SESSION
HTTPセッションオブジェクト全体をレプリケートします。
ATTRIBUTE
変更を受けた"Attribute"のオブジェクトのみレプリケートします(「変更を受けた」の判定基準は"replication-trigger"に依存します)。
FIELD
変更を受けた"Attribute"のオブジェクトのフィールドのみレプリケートします(AOPにより実現しますが、まだサポートされていません)。
表6:replication-granularityの設定


パフォーマンスを向上させるには"replication-tigger"を"SET"に、"replication-granularity" を"ATTRIBUTE"にするとよいでしょう。ただし"setAttribute"メソッドが呼ばれた場合にのみレプリケーションされるた め、"getAttribute"で取得したオブジェクトを変更した場合には必ず"setAttribute"を実行するようにしましょう。

"replication-trigger"と"replication-granularity"の設定

 


     
          SET
          ATTRIBUTE
     

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