徹底比較!! エンタープライズサーバOS 1

Linuxの“波”に乗ってよいのか?

Linuxの“波”に乗ってよいのか?


順調に伸長するLinuxだが、果たしてユーザーはこの波に乗っても良いのだろうか。

亦賀氏は「Linuxをはじめとするオープンソースソフトウェア(OSS)は話題先行であり、優位性がアピールされがち」と警鐘を鳴らす。


OSSについては、ほとんどのコンピュータベンダーが新しい収益源となることを期待して真剣に取り 組んでいることは確かである。製品戦略に組み込んで、ベンダー間の競争を優位に進めようとする傾向も現れている。一方で、政府が主導となって経済活性化と 技術力の向上を目指し、オープンソース戦略を打ち出している。対Windowsのバランサーとしての役目も大きい。そして、ユーザーは選択肢が増えること に期待しつつも、オープンソース=無償=コスト削減という図式を描いている。
 

 

「しかし、現実は、すべてをOSSで構築する場合、結果としてコスト高になる可能性もあります。また、現場にスキルがない、サポート体制がない、システムの完成度が保障されないなどの懸念事項も否めません」(亦賀氏)

 

UNIXやWindowsは終えんを迎える?


Linuxの市場シェアの伸長を手放しで喜べない人たちもいる。言うまでもなく、UNIXやWindowsでビジネスを展開するベンダー各社だ。

特に、UNIXベンダーにとっては、UNIXをベースに作られたLinuxにどう取り組むのか、真剣に考えなければならない問題である。だが、UNIXには優れた点が豊富にある、と亦賀氏は見ている。


「例えば、サーバの仮想化、パーティショニングなどの技術は、UNIXが優位であることは間違いありません。そうした優位性のあるUNIXが再考されてもよいでしょう」(亦賀氏)




 
これは、対Windowsにも言えることだ。

「Windowsは、サーバOSとしても成熟してきました。OSSも今後成熟度を向上さ せる必要があるでしょう。OSSを導入すれば、確かにソフトウェア・ライセンスにかかるコストは削減できます。しかし、現状のOSSでは、導入する側にス キルが求められ、リスクも高まります。ブームに乗っただけで導入した場合、Windowsに戻る可能性も高くなるでしょう」(亦賀氏)
 

つまり、安易にOSSに飛びつくのではなく、自社システムにOSSを導入できるかという見極めが肝要なのである。




【ガートナーの概要】
1979年に創設されたガートナーは、米国コネチカット州スタンフォードに本拠地を置き、世界規模で IT(情報技術)に関するリサーチおよび戦略的分析・コンサルティングを行っている企業です。ガートナーの提供するサービスは、世界規模での情報収集力、 産業調査力、さらには産業全体を見渡す視野の広さ、知識と経験の豊富なアナリスト、そして世界共通の定義に基づいて構築された膨大なデータベースとそれに 対する高い分析力によって支えられています。
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【ガートナーのアナリストの紹介】
亦賀 忠明 (またがただあき)
ガートナー リサーチ
エンタープライズ・インフラストラクチャ担当
主席アナリスト

 
亦賀忠明
1985年、大手ベンダー入社。メインフレーム、ネットワーク、オー プン・システムに至るさまざまなシステム開発業務に従事。米国製品の受け入れと導入、客先へのシステム提案、設計、開発、運用といったシステム開発工程全 般を手がける。1997年にガートナー入社後、サーバ市場、インフラストラクチャ・ソフトウェア市場を中心に調査分析を担当。市場データによる定量分析に 加え、技術動向、ベンダー戦略などを踏まえた定性分析を基に、様々な提言・アドバイスを行っている。

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