マルチパスの種類
マルチパスの種類
一般的に使用されている、マルチパス構成を実現するドライバには、次に述べるようなものが存在する。
QLAフェイルオーバードライバ
QLogic社のHBAドライバをフェイルオーバーモードでインストールすることで、マルチパス構成が可能となる。本ドライバでマルチパスが可能な ストレージは種類も多く、LifeKeeperにおける導入の実績も豊富である。LifeKeeperとの組み合わせでマルチパスに対応するストレージと しては、HP社製のストレージデバイスやADTX社のArrayMasStor Lなどがある。
http://support.qlogic.com/support/※対象ページ閉鎖
セキュアパス
セキュアパスは、HP社のストレージデバイスでマルチパス構成を実現するためのソフトウェアである。Linux環境においては、United Linux 1.0、SLES 8 SP3、RHEL 3などのカーネル2.4系までの対応となっている。
Hitachi Dynamic Link Manager(HDLM)
HitachiのSANRISEシリーズで使用されるソフトウェアであり、FCパスの管理を行うためのユーティリティとしての役割を持っている。
LifeKeeperとの組み合わせは、LifeKeeper v4.6.2とカーネル2.4.21-27.ELの環境が必要となる。今後はHDLMで冗長化されたデバイスをLifeKeeperで保護するにあたっ て、特別な制約を不要とするべくHDLMリカバリキットの開発が予定されている。
http://www.hitachi.co.jp/Prod/comp/storage/diskarray/pressroom/criticism/hitac
/200201/sam.pdf※対象ページ閉鎖
GRマルチパスドライバ(GRMPD)
FujitsuのETERNUS 3000/6000などで使用されるマルチパスドライバである。V1.0とV2.0の2種類のバージョンがあり、現在のところLifeKeeperではV1.0のみの対応となっている。
http://storage-system.fujitsu.com/jp/products/software/grmpd/
ETERNUSマルチパスドライバ(Linux版)サポートOS・機種、接続条件
http://storage-system.fujitsu.com/jp/products/software/eternusmpd/support/pdf
/eternusmpd_installation_linux.pdf
PowerPath
EMC(DELL)のCLARiX CXシリーズで使用するマルチパスドライバである。PowerPath自体はオープンプラットフォームであり、EMC(DELL)以外のストレージでも冗 長構成を可能とする。PowerPathを用いて冗長化されたFCパスをLifeKeeperで保護するには、別途PowerPath ARKを用いる必要がある。
http://japan.emc.com/local/ja/JP/products/software/powerpath.jsp※対象ページ閉鎖
サブシステム・デバイス・ドライバー(SDD)
IBMのDS6000/8000シリーズ、ESSシリーズに付属するマルチパスドライバである。
SDDを用いて冗長化されたFCパスをLifeKeeperで保護するには、別途SDD ARKを用いる必要がある。
Redundant Disk Array Controller(RDAC)
IBMからソースコードが提供されているマルチパスドライバである。
LifeKeeperではDS4000シリーズでの使用がサポートされている。RDACを使用する際には、LifeKeeperのハートビートの チューニングが必要となる。詳細はLifeKeeperのRelease Notesか、RDACのパッケージに付属のreadmeで確認してほしい。
http://www-06.ibm.com/jp/domino01/mkt/linux_i.nsf
/499721c3388537bd49256b1a001aab28/49256dcd002a869a49257004001c9ddb/$FILE
/LinuxRDAC9.12%E6%A7%8B%E6%88%90%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89(xSeries).pdf
マルチパス実現のための注意
マルチパス構成自体は、各ハードウェアベンダーの提供するマルチパスドライバによって実現するものであるが、実際にLifeKeeperと組み合わ せた際に正しく動作するかはマルチパスドライバの種類だけでは判断できないため、LifeKeeperのRelease Notesで、採用する構成での動作実績の有無を事前に確認する必要がある。
またRelease Notesには、テストで使用したHBAやドライバの情報を公開している。ストレージを選択する際には必ずご一読いただきたい。特にマルチパス構成の場合 は、LifeKeeperで保護するための要件がシビアになる傾向があるため、ストレージの機種、HBAとHBAのドライバ、マルチパスドライバのバー ジョンなどについても確認してほしい。
運用とメンテナンス
今回紹介した冗長化の手法は、フェイルオーバーによるサービス停止を避けるために、LifeKeeperには障害として検知させずに復旧させることを目的としている。
これは障害が発生したとしても、LifeKeeperからは検知できないことを意味する。仮にBondingデバイスがNICの障害により片系のみ の動作となっていたとしても、LifeKeeperからそのことを知ることはできない(LifeKeeperのバックアップインターフェースを使用した場 合は、ログに記録される)。
システム管理者がこの状態に気が付くこともなく、OSの再起動を行ってしまった場合、障害箇所や障害原因がわからなくなってしまうこともありうる。 LifeKeeperの動作とともに、冗長化されたデバイスの動作を監視するための監視ツールなどを用意するべきだろう。
最後に
今回紹介した冗長化を用いることで、ハードウェアに起因する障害についての耐障害性は向上するが、先に述べた通り何でも冗長化すればよいというもの ではない。必要な機能と許容される停止時間、また費やすことのできるコストを考慮の上、最適な手法を検討していただきたい。
(監修:サイオステクノロジー株式会社 小野寺 章)