IPMIを使ったコマンドラインによるハードウェア管理
IPMIを使ったコマンドラインによるハードウェア管理
BIOSでIPMIが適切に設定されたら、次に管理サーバからIPMI対応の管理コマンドで管理できるかをテストします。HP ProLiant DL140G3には「Lights-Out 100」とよばれるIPMI対応の管理チップがオンボードで搭載されています。

図1:IPMI対応の管理チップ
管理対象サーバのDL140G3側のIPMIの設定が適切に行われていれば、遠隔地に存在するLinux管理サーバから「ipmitool」コマン ドで管理対象のDL140G3の電源オン/オフ、BIOS設定が可能となるほか、telnetコマンドを使えばコンソール出力なども可能です。
IPMIによる遠隔地からのコンソール出力
遠隔地から管理対象サーバのコンソール出力を行うには、telnetコマンドを使います。ここでのコンソール出力とは、管理対象サーバのIPMI管理用LAN経由でBIOSやPOST画面を出力することを意味します。
# telnet 管理対象サーバのIPMIデバイス(Lights-Out 100)の管理用LANのIPアドレス telnetコマンドの後にIPMIデバイスの管理用LANのIPアドレスを入力し、IPMIデバイスにアクセスします。以下はIPMIデバイスの管理用LANのIPアドレスが172.16.1.18の場合の例です。
# telnet 172.16.1.18
Trying 172.16.1.18...
Connected to 172.16.1.18 (172.16.1.18).
Escape character is '^]'.
*** IPCOM ***
login: admin
Password:
Lights-Out 100 Management
Copyright 2005-2006 ServerEngines LLC
Copyright 2006 Hewlett-Packard Development Company, L.P.
/./->
上記ではBIOSのIPMI設定画面で事前に作成しておいた管理用アカウント「admin」でログインしていることがわかります。IPMIデバイス に設定した管理ユーザ(admin)でログインすると、プロンプト「/./->」があらわれます。このプロンプトがあらわれた後に、キーボードから 「ESC+q」を押すと管理対象サーバのコンソールが出力されます。
図2は管理対象サーバのDL140G3の電源投入直後のPOST画面と、BIOS画面をコンソール経由で閲覧している様子です。
これより管理対象サーバのDL140G3のPOST画面でのハードウェア認識の進捗状況がIPMIの管理コンソール経由でリアルタイムに表示されていることがわかります。また表示だけでなくキーボード入力も受け付けます。
ProLiantサーバではBIOSへの移行はF9キーなどで行いますが、もしF9キーにショートカットが割り当てられている場合は、「gnome-terminal」の設定を事前に無効にするなどの設定を行っておいてください。
図3はIPMIによる管理コンソールでキーボード入力を行い、ProLiantが搭載するBIOS画面を表示、設定している例です。
OpenIPMIによる遠隔地からのハードウェア管理
Red Hat Enterprise Linux 5やSUSE Linux Enterprise Server 10には「OpenIPMI」とよばれるIPMIデバイスのドライバや管理ツールが同梱されたRPMパッケージが用意されています。管理サーバ側にインス トールする「ipmitool」はRed Hat Enterprise Linux 5ではOpenIPMI-tools RPMパッケージ、SUSE Linux Enterprise Server 10ではipmitool RPMパッケージに含まれています。
Red Hat Enterprise Linux 5付属のipmitool
# rpm -qf /usr/bin/ipmitool
OpenIPMI-tools-2.0.6-5.el5.3
SUSE Linux Enterprise Server 10付属のipmitool
# rpm -qf /usr/bin/ipmitool
ipmitool-1.8.9-2.7
OpenIPMIに同梱されているipmitoolコマンドを用いることで、遠隔地にある管理対象サーバの電源や温度、FANの情報を取得すること ができます。またこのコマンドを使うことで電源のオン/オフはもちろん、サーバの状態を示す「UID」と呼ばれるLEDのオン/オフを制御することも可能 です(対応サーバのみ)。
ipmitoolコマンドを使って遠隔地からサーバを制御したい場合、以下のオプションを付加します。
| オプション | 機能 | 注意事項 |
|---|---|---|
| -I | IPMIの選択 | IPMI v1.5の場合はlanを指定。 IPMI v2.0の場合はlanplusを指定 |
| -H | IPアドレス | IPMIデバイスに付与されたIPアドレスを指定 |
| -U | 管理ユーザ名 | IPMIデバイスに設定した管理用ユーザ名を指定 |
| -P | パスワード | IPMIデバイスに設定した管理用ユーザのパスワードを指定 |

