テレビ搭載OS、Hadoop、NoSQL、OpenStack等々…、2015年注目のOSS動向を探る
こんにちは、日立ソリューションズの吉田です。新年明けましておめでとうございます。
今週は、新年第1回の特別企画として、さまざまな立場の方を対象に、今年注目のOSSについてご紹介したいと思いますので、最後までお付き合いいただけければと思います。
テレビは搭載OSで選ぶ?
まずはホットな話題から。1/6から米国ラスベガスで開催されている北米最大の家電見本市「2015 International CES」で、パナソニックが「Firefox OS」を搭載したスマートTVを発表しました。また「Firefox OS」ベースのスティック型ストリーミングデバイスを開発するMatchstickが、同社のストリーミングプラットフォームを採用したハードウエアの開発でPhilips/AOC、TCLとの提携を発表しました。
パナソニックは昨年1月にMozillaとの提携によるスマートTVの開発を発表しており、今回はその製品化の第一弾と位置付けられています。「Firefox OS」を採用したことで、ユーザーがコンテンツにすばやくアクセスできるようになるようです。また、Matchstickは、「Firefox OS」ベースのストリーミング技術を展開するプラットフォーム「Flint」を発表し、2015年中にHDTV,モニターなどにこの「Flint」の採用をハードウェアパートナーと計画しているようです。
また、ソニーは米国グーグルが2014年に発表したテレビ向けOS「Android TV」を採用すると発表しました。Android TVにより、スマートフォン、タブレット、テレビの間でシームレスにコンテンツを楽しむことができるようになり、操作も簡単で、スマートフォンを使って音声検索ができるなどのメリットがあるようです。
このように、どのOSが搭載されているかによって機能差や特徴が語られるようになってくると、TVの選択基準に「OS」というキーワードが増やされていくかもしれません。
2015年はHadoopの年か?
Forresterによると、2015年は、オープンソースのビッグデータテクノロジー「Hadoop」が分析やSQLデータベースクエリの処理に使われるようになり、企業での導入が急増し、2015年はHadoopが企業に普及する年になると予測しています。はたして、本当のそうなるのでしょうか?
確かに、従来のコスト削減のためのITから、企業の新しい価値を産み出すためのITへと考え方を変えることが、今後の企業のビジネス戦略に欠かせなくなるのは、間違いないと思います。
Hadoopの登場当初は、使いこなすためにかなりのスキルが必要で、なかなか広まりにくかったことも事実だと思いますが、YARNの登場により、すく数の並列分散処理エンジンを併用できる環境を利用できるようになりました。この取り組みの一つが、「SQL on Hadoop」と呼ばれるHadoop上での処理をSQLで記述する取り組みです。
従来からも「Hive」を記述することでクエリを発行することができましたが、さまざまな制約はありましたが、この「SQL on Hadoop」では、SQL標準に対応しようとしています。
代表的なものとしては、米国Clouderaの「Impala」や米国MapRの「Drill」、米国Facebookの「Presto」などがあげられます。これらを活用することにより、既存の構造化データを格納しているDBMSとHadoop上に格納されている非構造化データを等価で扱うことができるようになるため、Enterprise環境でのHadoopの活用が進むことになり、Hadoopのキラーアプリケーションになるかもしれません。
NoSQLの可能性
- 「NoSQL」は根付いた(参照記事)
- 「NoSQLデータベース」とは--その本質と必要性を考える(参照記事)
- RDBからNoSQLへの移行はこうして本格化する--Couchbase CEOが展望する2015年(参照記事)
本格的にNoSQLの導入が2015年から始まる可能性があると言うのは、CouchbaseのCEOであるBob Wiederhold氏です。現在、企業ではアプリケーション単位でNoSQLで採用していますが、2015年の後半までには、「NoSQLを大規模に導入する」というアプローチに変わると語っています。
もちろん、移行元は現行のリレーショナルデータベースで、Oracleだけではなく、DB2やSQLServerなどにとって代わることになります。
一般的に移行先として検討されるNoSQLは、MongoDB,Cassandra,Couchbaseの3つになります。
従来のデータベース製品では、構造化データの取り扱いには長けていますが、データ容量や処理能力に対する要求が大きくなるとともに、サーバ群の垂直拡張、水平拡張が必要となってきます。そのような負荷の増大に対して、Intelベースのサーバを多数配備し、負荷分散することで容易に対応できるようになります。まさに、NoSQLの出番です。NoSQLを活用することで、構造化されていないデータを簡単に処理でき、アジリティの高いシステムを実現することができます。
- 毎秒1400万回のライト(write)を行うNoSQLデータベースFoundationDB、ACIDの条件も満たす(参照記事)
従来のNoSQLでは、一般的にトランザクションシステムに必要となるACID(Atomicity:不可分性、Consistency:一貫性、Isolation:独立性、Durability:永続性)に対応していないという説があった。現実に、MongoDBやCassandra,Riakなどは対応していない。ところが、このACIDに完全対応したKeyValue型のNoSQLの新版が登場した。「FoudationDB」という名前のこのNoSQLは、ACIDに対応しただけではなく、毎秒1,400万回のWriteを実行することができる代物です。このNoSQLの実力が本物であれば、従来のDBを使用しているユーザーは新しい時代への移行を検討し始めるかもしれません。
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