アップルがグーグル検索に代わる機能、PeekとPopを発表
今月9日のメディアイベントで、アップルは予想どおりスマートフォンのラインナップを更新し、iPhone 6Sと6S Plusを発表した。本製品では内部のチップやカメラも新たに生まれ変わる。
この新製品で、開発者にとってただ一つ最も重要な機能は画面上にある。スクリーンで新たに繊細なタッチ操作を行えるようになったのだ。 アップルはこの機能を3D Touchと呼んでいる。
PeekとPop―検索は必要ない
どうやら、Apple WatchとMacBookで攻撃的な名前をつけられたForce Touch機能が、マシな名前に商標を変更したのが3D Touchのようだ。3D Touchは位置だけでなく、圧力を感知し、端末では今までと違うインタラクションが可能となる。
アップルはこのインタラクションを「Peek」と「Pop」と呼んでいる。ユーザーは、使用しているアプリ内のリンクをPeek(のぞき見する)、つまりプレビューでき、写真を見たり、住所を確認したり、マップやSafariを起動せずに、テキスト・メッセージの会話に出てきたウェブページを閲覧したりすることが可能だ。プレビューをもう少し深めにプレスすると、Pop(飛び出す)、つまりその情報を扱うアプリを直接起動させることができる。
iPhoneのホーム画面で、アプリのアイコンを長めにプレスすると、ユーザーはいくつかのアクションを選ぶことができる。アップルの幹部、クレイグ・フェデリギは、ユーザーがDropboxでファイルのアップロードを直接起動したり、Instagramで最近のアクティビティにすぐジャンプしたりできるのを示した。
多機能化でアプリは減少
ここにアプリ開発者へのヒントがいくつかある。
一つは、Facebookがコア・モバイル・アプリからMessengerを生んだ例のような個別アプリの登場が、この機能によって押しとどめられるかもしれないということだ。1回のタッチと1回のタップで特定の機能を起動できるのなら、開発者にとって別のアプリを作る意味はあまりなくなってしまうだろう。これは、有名アプリのブランドにとっては好都合だ。例えばYelpは、店を調べ、レストランを予約するなどの新機能をコア・アプリ内に構築したが、PeekとPopのおかげで、この機能をもっとスピーディーに利用できるようになる。
もう一つは、グーグルや、アップル独自のビルトイン・アプリと競合するようなアプリを独自に生み出している、その他少数の有名開発者にとってのヒントだ。グーグルは、グーグルマップをダウンロードするよう多数のiOSユーザーを促してきたが、テキスト・メッセージ内の住所を表示する場合は、アップルのマップがPeekとPopで開く。ウェブアドレスの場合に起動するのは、ChromeではなくSafariだ。
モバイル端末のユーザーがモバイル・ウェブブラウジングよりもアプリを非常に好むことは既に知られている。ウェブ検索をするのは、ある機能がアプリ内で奥深くに埋め込まれているからという場合が多い。あるアプリからの別のアプリへのリンクやディープリンクによって、間にウェブ検索をはさまず、アプリからアプリへとユーザーを移動させる場合がますます増えている。3D TouchのPopとPeekは、ある意味で、iPhoneのホーム画面やメッセージのようなビルトイン・アプリにとってのディープリンクなのである。
グーグルや、このインターフェースの変更によって不利となるような開発者たちは、もちろん、これを利用したり、自分のiOSアプリを3D Touchに対応させたりして応じる可能性もある。例えばYouTubeは、クリップの視聴やコメントへの返信から動画のアップロード機能を抜き出そうとするかもしれない。
ここで制限されるのは、ユーザーに注目される時間だ。ユーザーは馴染みのあるアプリの方に惹かれるので、時間とともに新しいアプリがダウンロードされる機会は減ってしまう。PopとPeekが予兆するのは、ユーザーは気に入っているアプリにもっと多くの時間を費やすようになり、他のアプリはチラ見するだけ、という未来である。
スマートフォンはデスクトップ向けアプリをますますモバイル向けのものにしようとしている。今度はPopとPeekによって、Apple Watchに備わっていた、動作とチラ見による簡潔な操作と、スマートフォン向けに簡略化されたアプリが導入されることになる。「Retina(網膜)ディスプレイ」はより大きく、より美しくなっているが、われわれの網膜がPopとPeekで一日のうちに見られるものは限られているのだ。
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※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちらをご覧ください。
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