アマゾンのパワープレイ:AlexaがFire TVに。そして数多くの新デバイスが
Fire Phoneは完全に失敗に終わったようだが、アマゾンがハードウェアを諦めた訳ではまだない。同社は先週、タブレットからTV、ストリーミングドングルまで少なくとも7つの新デバイスを発表した。またこれまでアマゾンが発売したデバイスについてもアップデートがある。KindleやEchoの買い替えの為に貯金しておこう。
ハードウェア以上に重要なのが、アマゾンのスマートアシスタントのAlexaがEchoから新しくなったFire TVにやってきたことだ。アマゾンがスマートホームに乗り出すだろうと予想していたが、いよいよ話は動き出したようだ。
これはある意味、アマゾンの新戦略という訳ではない。そもそもアマゾンは自社が提供するサービス(今の所、音楽、動画、電子書籍、そしてワシントン・ポストがある)に顧客を繋げようとしてハードを出荷した訳だ。
しかしAlexaを使って視覚的インターフェイスを持たないホームコントローラーを打ち出してきた事は予想していなかったことだ。アプリを使ってWeb検索、オーディオブックの朗読、交通状況や天気の確認、電灯のオンオフを行うことができる。言い換えればSiriやCortanaと同じようなことが出来、ついでにアマゾンのショッピングカートに商品を放り込むことができるということだ。
アマゾンは開発者達にも乗り出して欲しいと考えているが、開発ツールの提供やサードパーティーの動き出しは素早いものではない。ジェフ・ベゾスはできるだけ多くの人にAlexaを使って貰おうと考えているようで、Fire TVの他、タブレットにもこのアプリが進出することになるかもしれない。
タブレットについて
アマゾンが打ち出す製品の中で、最も話題をさらうであろう物はAndroid市場の最低価格ラインで戦うことになる50ドルのタブレットだろう。同時に子供向けにずんぐりしたケースと未成年に配慮したソフトが入った、99.99ドルのタブレットも販売される。更に8インチ及び10インチのハードスペックが向上したFire HDタブレットも登場予定だ。
Alexaの機能が備わり改良されたFire TVでは4K解像度での動画再生が可能で、Fire TV Stickもアップデートされる。ただしAlexaの機能がフルに使えるわけではなく、音声による操作が出来るまでにとどまる。ゲームに特化したエディッションのFire TVもラインナップに加わる予定だ。
アップルがTVで番組やゲームをしながら野球のスコアをチェックできる様になることを発表したのはつい先日のことだが、アマゾンはまさに同じことをやってきた訳だ。
アマゾン改変版のAndroidデバイスはこれまでユーザーや開発者の獲得に苦労してきた。Windows Phoneと同じく卵が先か鶏が先かといった状況だが、蓋を開けてみれば、スマートパーソナルアシスタントと音声操作は、今の所モバイルデバイスにおいてもっとも進化が見られた分野だ。
マイクロソフトもこの事には気付いており、Cortanaをあらゆるプラットフォームで使える様、急速な拡大を図っている。アマゾンもこの人工知能によるインテリジェントなアプリが、モバイル、スマートホーム、そしてその間にあるあらゆるものの未来を担うものだという認識を同じくしている。ジェフ・ベゾスの取り組みが軌道に乗れば、今後Alexaについて様々なことが聞かれるようになるだろう。
画像提供:Amazon
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※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちらをご覧ください。
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