vAppで仮想マシン群を一元管理
vAppの活用
vAppには、大きく2つの利用シーンがある。1つは、複数の仮想マシンからなるシステムを一元管理(1システムとして管理)するためのコンテナとして、もう1つは、属性情報を利用した円滑な連携を実現するためのコンテナとして、である。
- 1. 一元管理
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冒頭で述べたように、vAppは複数の仮想マシンを1つの塊として管理することができる。その塊に対する一元管理オペレーションにより、従来に比べて管理性を向上することができる(図2)。
図2: vAppによる一元管理メニュー(クリックで拡大) |
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- 1.1. 一括複製
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従来は、仮想マシンごとに複製を取得する必要があった。これに対してvAppでは、vAppに対して複製の取得を実行することにより、vAppの複製に加えて、vAppにひもづいている仮想マシン群の複製を一括で取得できる。関連性の高い仮想マシンを関連付けて管理することにより、容易かつ正確に複製を取得することが可能になる。ただし、残念ながら2010年6月現在の最新バージョンにおいては、仮想マシンに電源が入っている状態(オンライン状態)では複製を取得できない。
また、削除処理に関しても一括実行が可能である。
- 1.2. リソース配分
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大規模なシステムになるほど、リソースをどのように配分するかを仮想マシンごとに個別に管理することが困難になる。一方、vAppでは、vAppに対してリソースを割り当てることで、vAppにひも付いた仮想マシン群へのリソース割り当てを簡略化できる。
vAppへのリソース配分では、CPUおよびメモリー・リソースの上限値/下限値、共有リソース競合時のプライオリティを設定できる。vAppへの設定値の範囲内で、ひも付けられた各仮想マシン群がリソースを利用する。
結果として、それぞれのvAppの管理者に対してシステム管理の自由を提供しつつ、管理コストの削減を実現できる。
- 1.3. 起動と停止
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OSを起動/停止する順序を守らなければ動作しないマルチティア(多階層)構成で運用しているケースでは、スクリプトを組んでOSの起動や停止の順序を制御していることも多いのではないだろうか。
vAppを利用すると、スクリプトを組むこと無く、非常にシンプルに起動および停止の順序を制御することができる。
まず事前に、vAppにひも付いた仮想マシン群の起動順序を設定する。加えて、起動/停止タイミングや停止操作(パワーオフ/ゲストのシャットダウン/サスペンド)の設定が可能だ。停止順序については、起動順序の逆をたどる。
設定後は、vAppに対して起動/停止操作を実行するだけでよい。これにより、あらかじめ設定した順序に基づいて、個々の仮想マシンが起動/停止する。
ちなみに、vAppには、仮想マシンだけでなく別のvAppも関連づけることができる。つまり、vAppの階層を構成することができる。例えば、図3のような構成をとることも可能である。
図3では、親vAppである"Great vApp"に対して子vAppを含む起動順序を設定し、さらに、子vAppである"人事部"と"経理部"に対して起動順序を設定している。
- SHARE-01(仮想マシン)
- 人事部(vApp)
- HR-02(仮想マシン)
- HR-01(仮想マシン)
- 経理部(vApp)
- FIN-03(仮想マシン)
- FIN-02(仮想マシン)
- FIN-01(vApp)
上記の設定により、起動順序とは逆の順序で停止することができる。
図3: vAppの開始順序設定画面 |