組み込みウィンドウズの世界へようこそ 3

組み込み機器向けの仮想化環境

組み込み機器向けの仮想化環境

さて、残りのスペースを使って「仮想化」について組み込み機器でどのようなことが起こっているのかお話ししたいと思います。

仮想化を実現するためには、CPUとOSの間に仮想化を提供するサービス層を挟み込む必要があります。これはサーバーの世界などではよく使われていますし、マイクロソフトもVirtual PCとしてパソコン向けに仮想化環境を提供しています。

組み込み機器での仮想化も似たようなコンセプト(同じCPU上で異なる環境を並行して動作させる)ですが、仮想化のためのサービス層の実装が異なりますし、オーバーヘッドを少なくするために工夫が行われます。

.NET Micro frameworkのサイト(クリックで拡大)

 

例えば、同じCPU上で2つの異なるアプリケーション実行環境を提供するという点では、.NET Micro frameworkを提供しています。日本では、株式会社コアがT-Kernel[*2]上に.NET Micro framework を提供し.NET アプリケーションとT-Kernelのアプリケーションのいずれをも動作可能なハイブリッド環境を提供しています。

実はWindowsも同じで、Windows OSのネイティブAPIと.NETのAPIといずれでもアプリケーションを開発することができますから、これをほかのOSの上でもできるようにしているのが、いかにも組み込み向けといえるでしょう。

 

  • [*1]Digital Rights Managementの略。デジタルコンテンツを配信する際に、コンテンツを再生するために鍵をかけておき、再生する際には鍵が必要となり、送信側と同じ技術を使う必要がある。例としては、送信側でWindows Media DRMを使っている場合、Windows Media DRMを端末(再生装置)で使用する必要があるということ。
  • [*2]T-KernelはT-Engineフォーラムで策定された日本発の組み込みOS。

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